アリの一言:日曜日記191・その時記者はどうした?―陸自の「反戦デモ」敵視 | |||||||
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<新たな戦いに「反戦デモ」 20年資料 陸自、テロと並べ例示> 3月31日付の琉球新報はこの「ニュース」を1面トップで報じた。他の地方紙にも同じ記事が出ているから、これは共同電だ。 「陸上自衛隊が2020年2月に実施した記者向け勉強会で配布した資料に、「予想される新たな戦いの様相」として、テロやサイバー攻撃と共に「反戦デモ」を例示していたことが分かった。記者から不適切だとの指摘を受け回収し修正」したという。 琉球新報が1日付社説で、「思想統制、言論弾圧につながる危険な兆候だ。…反戦の声を上げる市民に敵意を向けた自衛隊の暴走を見過ごすわけにはいかない」と指弾したのは当然だ。 しかし、自衛隊が「反戦デモ」を敵視するのは、いわば「犬が人を噛む」類で、それほど意外性はない。むしろ驚いたのは、この事実が2年以上たったいま、共産党の国会質問(3月30日の衆院外務委員会での穀田恵二議員)で明るみに出たことだ。 問題の発生場所は「記者向け勉強会」だ。おそらく防衛省記者クラブに加盟しているほとんどのメディアの記者は参加していただろう。記者たちは、なぜその時点で問題にしなかったのか。「記者から不適切だと指摘を受け回収」したというから、記者(たち)は「不適切」(そんな生易しいものではないが)だとは思ったわけだ。ならばなぜ記事にしなかったのか。 疑問はそれだけではない。 問題はまだある。 陸自(防衛省)は「反戦デモ」と同様に「報道」を「新たな戦い」の対象に挙げているのだ。その資料が「記者向け勉強会」で公然と配られた。しかしそれは問題にならなかった。訂正もされていない。 いわば“お前たちと戦う”という“宣戦布告”を目の前に突き付けられたわけだ。それても記者たちは、声を上げなかった。「反戦デモ」敵視を問題にしている共産党議員の追及や共同の記事、それを受けて独自の取材やコメントを行っているメディアも、これを問題にしていない。 これはたんなる手抜かり、不注意ではない。構造的問題だ。 メディアはマヒしている。現場の記者たちはクラブ制度で国家権力に飼いならされ、思考停止に陥っている。本社の幹部たちは総務省の許認可権限を背景にした政府・自民党の圧力に屈服している。「権力の監視」どころか、目の前に“宣戦布告”を突き付けられても、抗議の声さえ出さない、出せなくなっているのだ。 今回の陸自資料問題は、日本のメディアの絶望的な腐敗・堕落を改めて示している。 Created by sasaki. Last modified on 2022-04-04 08:05:19 Copyright: Default |