本文の先頭へ
LNJ Logo 「請負だから労働法は適用されない」に立ち上がるアマゾン労働者
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1123hokoku
Status: published
View



「請負だから労働法は適用されない」に立ち上がるアマゾン労働者

レイバーネットTV176号の報告です。 古巣に返ってきた土屋トカチさんと松元ちえさんのリラックスした雰囲気に、スタジオ内 も柔らかな空気が流れた。初登場の菅俊治弁護士の労働問題を生きがいだと楽しそうに話 される姿にも心あたたまった。 ■レイバーネットTV・第176号放送  2022年11月23日                    報告:笠原眞弓 最近増えてきた請負労働契約。そこで行われてる人権無視 今広がっている個人事業主としての働き方。労働者の権利はまもられているのか?   <テーマ> ワンクリックで送料無料!? アマゾン配達員の窮状 動画:https://www.youtube.com/watch?v=h_hOt-TEymU          企画・司会: 土屋トカチ(労働者の映画を撮る映画監督) ゲスト:菅俊治(労働問題に生きがいを感じる弁護士)     松元ちえ(国際的な労働問題を得意とするジャーナリスト) 映像出演:現役アマゾン配達員(命を大事にした職場の改善を願う                                                                                                              ◆アマゾンの歴史から 今回の企画は『プラットフォームビジネス「自由な働き方」の罠』の 監督、土屋トカチさんで、その映画のように、実際にアマゾン 配達員を体験したかと思ったら、さすがにそこまではしなかったと。でも土屋さんはちょ うどアメリカでアマゾンの事業が始まったころ、書店で仕事をしていて「日本に上陸した ら大変だ」と噂をしていたという。そんな彼がまず、2000年のアマゾンの日本上陸当時か らこれまでの配達システムの歴史を解説。 現在の配達は中小の輸送会社や個人事業主が担う。扱う商品も1億もするロボットから宝 石、日用品まで多様になり、一定の条件で送料は無料。注文確定のクリックをしたら、翌 日には品物が届くという驚異的なシステムになっている。 2005年に市川市に物流センターが出来、現在はベルトコンベアーで動いている。このよう な物流センターが毎月どこかで出来ている。 ◆送料無料、翌日配達完了/請負労働の実態は ・日当から割り出される時給が最低賃金を下回る労働基準法違反  (日給から税金、車の使用量+ガソリン代を差し引き、実働時間から計算) ・与えられる配達件数が多すぎて運転に無理が生じて、事故が多くなる ・人身事故でなければ、事故証明をとる時間がなくて自分で修理費などまかなう  (どんな事故でも「アマゾン」という名前は出てこない) 驚いたのは、車が横転する事故を起こしたときのこと。事故報告をすると、早速代車が手 配され、けがをしているのに荷物を積み換えてそのまま配達を続けたということだった。 小さな怪我(私にとっては小さくないが)、例えば階段から落ちたり、足をくじいたり。 重い荷物を足の上に落とすなどは、しょっちゅうとか。 インタビューした配達員は、神奈川県横須賀市で、坂が多いという地域性があり、場所に よっては、車が入らず背負うなどの人力で運ぶところもあったが、それも全く配慮されず 、1日に何個運ぶと決められ、毎日休憩なしで働いたとか。30キロのマットレスを0キロと して一人で運んだのは、労働法に抵触しないためだろう。 ◆アマゾンから示された配達すべき量をその日のうちに処理すること アマゾンとの契約を守ることが、絶対の条件であるのだが、彼らもその日のうちに何が何 でも配達しようとする。その理由をこう語る。 「お客さんが、今日届くと待っているから……」。 この言葉を聞いて、私は日本人の特性を思わずにはいられなかった。 ◆AIで管理されるということ アマゾンは企業として人権・環境を守るなど決められているが、その実態は… ・休憩も取らなければならないが、実態はほぼ取れないが、アプリを操作すると、取った ことになる ・配達受け持ち地域が以前は決まっていて、地図に沿って効率よく配れたが、AI(アプリ) 管理になってから、全く無視され、地名は同じでもそこに行くのは大回りを強いられる ことも  (これについては、苦情を申し入れたら改善されたようだ) ・オーバーワークになりそうになると、他人のアカウントを使う(個人情報違反) ◆乱鬼龍の川柳コーナー  アマゾンは命を削るほど搾り  乱鬼龍              雇用せずアプリで管理酷使させ 笑い茸 ◆人間の換えはいくらでもある この句にもあるように、アプリ利用から見えて来るものは、テクノロジーは本来人間より 賢くなるはずなのに、最大限に人間を酷使するものということだ。 ◆組合を立ち上げる 全国の配達員に呼び掛けたい 事件が起きる。下り坂でドライブに入れたまま車を離れ、自分や駐車中の車に当たり、塀 にぶつかって止まった。 この事故を起こした人を含め、職場で普段の怒りを集約して組合を立ち上げる。それまで 口をきいたことのない者同士署名活動をはじめたところ、意思疎通もできるようになり、 その後会社側もガラッと変わり、労務の改善がなされてきたとか。 少しずつ組合を作る機運が熟してきている。その活動の相談に乗った菅俊治弁護士から「 組合を作る仕事に生きがいを感じている」との力強い言葉があった。 ◆アメリカではじまった「make Amazon pay」 アメリカなどでは、感謝祭が終わると一斉にクリスマスセールが始まる。今年はそれに向 けて、アマゾンの働き方を含めたキャンペーンが始まる。日本でもアマゾン労働者の労組 が出来たことで、それに呼応して「アマゾン ハタラキゾン」と銘打ったキャンペーンが 始まる。 請負労働が広がる中、労働者の人権を守ろうとする機運が少しずつ広がっている。世界は 動いているなぁと思ったのだった! 来月のレイバーネットTVは、年末バージョンで、いつもと違うパターンで行う。 次回 177号:12月7日 「東京オリンピックのその後」企画担当は根岸恵子さん 178号:12月14日。恒例「本と映画で振り返る2022年」(アンケート募集中)企画担当は 堀切さとみさん

Created by staff01. Last modified on 2022-11-29 11:33:53 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について