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レイバーネットTV175号詳細報告/右傾化する政府と闘うフランス市民たち
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レイバーネットTV175号詳細報告

右傾化する政府と闘うフランス市民たち

報告:笠原眞弓

・アーカイブ視聴サイト https://youtu.be/mAX9zWfUu-E

◆サブ企画「韓国サンケン弾圧事件・尾澤孝司裁判」

 司会:後呂良子 ゲスト:尾澤孝司 尾澤邦子

ちょうどこの日(11/9)に第1回公判がさいたま地裁で開かれた。公判を終えたばかりの尾澤孝司さんと尾澤邦子さんにスタジオにお越しいただき、裁判の様子をうかがった。

・刑事裁判

韓国サンケンからも代表者が駆け付けるなど、100人を超える人が傍聴に集まったと、裁判の様子を克明に描いたものを手に説明して下さる。

この事件は、もともと韓国サンケンの労働争議で、尾澤さんたちが定期的にサンケン電気本社前で支援スタンディングをしている。その日は本社と話し合いをしたいという韓国サンケンの労組からの委託を受けた要望書を直接担当者に渡したいと門に近づくと、警備員に阻止され、まるで打ち合わせていたようにいつもより多い警察官によって逮捕されたというものだ。

暴行罪と威力業務妨害罪の2つで起訴されている尾澤孝司さんは開口一番、自分と傍聴人に対する余談と偏見に満ちた裁判だったという。

起訴内容そのものも、韓国サンケンの労働争議で、彼らの委託を受けての日本での正当な労使交渉であるにもかかわらず、単なる警備員に対する暴行事件としたい意図がありありとうかがえたとか。さらに、傍聴人数の制限など、どこまでも傍聴人を締め出し、法廷そのものを公開したくない雰囲気だったという。(憲法82条公開法廷の原則違反ではと指摘)

逮捕の原因になった動画が法廷で上映されたが、被害者の警備員の顔が映るからと傍聴席からは見えないようにしたうえ、弁護士のこの映像のどこが傷害罪に当たるのかという質問に検察は答えられなかったという。

見せたくないのが、裁判官の意図ではないか。この「事件」はどこから見ても仕組まれたものである。全体に予断に満ちた裁判であると縷々述べられた。

・質問に答えて 

  1. 暴行罪で訴えられているが、実際に怪我などしたのか。医師の証明書があるのか?
    →双方、小さな押し合いで終始し、けが人もいなかった。ただし暴行罪は広い概念を持っていて、暴行を加えて相手が脅威を感じたら怪我をしなくても暴行罪が成立する。怪我をすれば障害罪なのだそうだ。
  2. 警備法廷ということだが、まるで軍事法廷と思う。退廷者は?
    →あらかじめ退廷しないようにしようと傍聴者で示し合わせ、最後まで裁判を監視した。

今後の公判の日程も発表された。

◆乱とジョニーの5ミニッツ

川柳2句 世界から貧困なくす日が待たれ  乱鬼龍
     ほろ苦くやせて悲しい新さんま  奥徒
替え歌 マクロンがロウで付けた翼が、太陽で溶けて落ちたイカロスになった歌。「ワンサカワンサカ諸行無常(レナウン娘〜枯葉)

メイン企画 ◆立ち上がるフランスの人たち ―物価高騰・気候変動・極右の台頭

企画担当=土田修 司会:土田修・後呂良子 

パリから:飛幡祐規(たかはたゆうき)・根岸恵子

・ヨーロッパの物価高/10万の市民デモは何を訴えているのか 10月のユーロ圏では10%を超える物価高だった。5月のおよそ2倍という上昇率という。ここで、フランスの物価高に反対する10万人を超える市民の行動(デモ)映像が流された。

 デモが訴えていたのは、大統領選後相変わらずのインフレの進行で、マクロン政権に対する不満がくすぶり、新民主連合(NUPES)でメランションが率いる「屈しないフランス」が中心になって、労組なども加わり「物価凍結」「最低賃金を上げろ」「労働時間の短縮」「自然資源などを憲法で保護」他、気候問題に関しても訴えている。

・いま被害を被っているのは若い世代―だから運動に参加している

飛幡さんは、中でも気候変動の弊害が大きくなってきて、今のネオリベラルの資本主義の元ではだめだと、運動が勧められているとのと、若い人にアッピールしていることがフランスの特徴。フランスの学生の貧困にふれ、聞けば日本と同様に、食料配布に並ぶ学生が増えていると。そして気象問題は、自分たちが将来リスクを大きく被ると自覚しての運動参加だとか。

・ト―タルという石油会社へのデモ

また、多国籍企業であるト―タルは、フランスに税金を払っていないし、労働者への賃金は変えずに社長の報酬を大幅値上げしたことに対する不満と、便乗値上げに対する不満が語られる。

・フランスの大規模デモ 貯水池の建設反対に立ち上がる人々

動画が流される。何もない草原のようなところに人々が集まり、歌いながら訴えている。これは、サントスリーヌで起きた、大型の貯水池を作ることに反対する人たちのデモだという。今のフランスでは、旱魃が続いている中での大企業による大型農場の計画が持ち上がり「水の強奪だ」と反対する人たちがいる。

しかもここは、希少生物の宝庫。それを壊すことに若者を中心に反対運動が起き、予定地に住みついての阻止運動をしている。この運動に警察が介入すれば、フランス中から何万人も集まってくるという。彼らは、組織立っているわけではなく、ネットなどで呼びかけて、それぞれが個人として参加してくるという。それが日本と大きく違うところだとか。

根岸さんはフランスばかりでなくヨーロッパ各国で起き、ドイツのにも参加したことがあるといい、飛幡さんはこの運動形態は新しい民主主義、つまり新しい生き方の提案ではないかという。一方で、デモ隊はやりたい放題なので「エコテロリスト」と呼ばれ、規制しようともしている。

・欧州の右傾化はどうなっている

現在ヨーロッパの各国が右に偏ってきていて、フランスも例外ではない。現大統領マクロンは票を減らし、極右のルペンが伸びた。マスメディアを買収している右派は、左派連合のメランションの足を引っ張る報道をしていたが、それにも負けず、左派の組織的サポートで野党第一党になれた。とはいえ、次回の大統領選挙ではどうなっているかと心配する。

・会場からの質問や感想に応えて

大統領選、反対運動を見ても国は強権的だが、日本と違うのは、野党がしっかりしているし、若者を中心に市民がはっきりと反対を唱えているとの感想があった。

根岸さんは、物価の安かったブタペストの物価高が、市民を直撃している様子などを語る。物価高の具体例として、お金が無くなると食べるパスタが、20%以上、ワインも18%の値上がりとなっている。


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