●韓国サンケン労組を支援する会・2月24日第70回木曜行動報告
韓国KBSの特集番組に大きな反響!サンケン電気の悪評が世界に拡散
2月24日、木曜行動は70回目を迎えた。韓国では南端の馬山でさえ、まだ零下の寒さが続いている模様だが、日本では寒さがだいぶ和らいできた。埼玉県新座市内のサンケン電気本社前から志木駅南口、南池袋のサンケン電気東京事務所ビル前の昼休み集会まで延べ参加者は約90人となった。
2月17日夜の韓国KBSのドキュメンタリー番組が韓国国内でかなり反響があり、韓国サンケン労組には激励のメッセージが次々と寄せられ、ソウルのサンケン・コリア前の籠城テントを訪れる人も多いと伝えられる。オンラインで届けられる韓国の仲間たちのアピールにも、これまで以上に力がこもっているのを感じる。番組はYouTubeでも配信されているので、労組との話し合いから逃げ回り、韓国人労働者へのあからさまな民族差別を恥じないグローバル企業・サンケン電気の悪評は、日韓両国内に留まらず全世界に拡散しつつある。支援する会の尾澤孝司事務局次長への弾圧の不当性も番組でしっかりと描かれている。日本語字幕版も以下のサイトで視聴できる。
https://www.dailymotion.com/video/x883z27
サンケン電気の経営陣、和田会長、高橋社長は、このまま労組の要求を無視してやり過ごせると思っているなら、大きな間違いだ。本社が解決に乗り出すしか解決の道はない。
≪2月24日 7時過ぎ 本社正門前「札束で頬をひっぱたく、そんな理不尽に負けてはいられない!」≫
支援する会の仲間の発言で木曜行動スタート。
韓国サンケン労組のキム・ウニョン副支会長からオンライン・アピール。
「サンケン電気は日本国内の事業所の統廃業をする際には社員や労組と1年以上前から事前に協議をして進めるのに、韓国では工場の解散にも労働者と労組に全く話し合いがない。サンケン電気社員のみなさん!周辺住民のみなさん!サンケン電気の素顔をご存知でしょうか?先週の木曜日の夜、韓国の公共放送テレビKBSで50分の特集番組が全国放送され、今ではネットで全世界に拡散している。番組の反響の大きさに私たち自身も驚いている。『サンケン電気は酷すぎる』『どんなことをしたのか?』、YouTubeには激励の書き込みが続々と届いている。日本のみなさんの熾烈な連帯闘争も伝わった。番組の中で連帯闘争に参加している日本のみなさんが登場し、なぜ闘うのかを語っていた。韓国ではサンケン電気と事業提携しているLG電子への批判も強くなった。LGに対する取り組み強化を求める声も高まっている。番組を見て、ソウルのサンケン・コリア前の籠城テントを訪れ、差し入れをして激励する人も増えている。闘いはもうすぐ600日になる。韓国サンケンの労働者と家族が厳しい生活を強いられている。馬山からソウルに上京する組合員は、2週間子どもと離れざるを得ない。自分の子どもの宿題を見てあげることもできない。解雇されて連れ合いに負担を強いる組合員もいる。子どものいる組合員は、鳴き声に耳を塞いで、毎朝、心を鬼にして闘いに出る、そんな生活が600日も続いている。闘いが長引き、怒りが収まる人もいるし、鬱を発症する組合員もいる。毎日の闘い、寒さの中で立ち続けることで腰や膝を痛める組合員もいる。体調を崩し、不眠症になる組合員もいる。そんな厳しい中でも、お互いを支え合い、闘いを進めている。サンケン電気経営陣は、金持ちの連中は、札束で頬をひっぱたけば貧乏人をどうにでもできると思うのか!そんな理不尽に、負けてはいられない。貧乏人を札束でどうにでもできると考えているなら、とんでもない勘違いだ!韓国サンケンの工場は雨漏りするような職場だったが、私たちにとっては生活の場、青春が込められた職場だ。私たちが作り上げた職場であり、その工場を離れて私たちの人生を語ることはできない。そんな工場を一方的に清算するのが許されるのか!私たちは工場と生活を守るために、闘いを進める。『もう韓国サンケンの工場は無いではないか?』、そう言う人もいる。しかしサンケン電気は韓国内での事業を拡大している。生産工場を買収し、サンケン・コリアという営業拠点もある。私たち12人の雇用を確保することはできるはずだ。サンケン電気は話し合いに応じなければならない。私たちは最後まで闘いを続ける。勝利まで闘いを止めない。日本のみなさんと握った手を放すことなく、闘い続けましょう!闘争!」
ペク・ウンジュさんが続く。
「サンケン電気社員のみなさん、私たちの闘いが何日になるか知っていますか?みなさんが想像もできないような時間が流れています。『自分とは関係ない。韓国のことだから関係ない』と言う人もいるかもしれない。私たちは馬山でもソウルでもテントを張って籠城している。暦の上では立春だが、朝鮮半島南端の馬山でも零下を下回る寒い日々が続いている。社員のみなさん、少し耳を傾けて話を聞いてください。労働者が労働者の側に立たねば、誰が労働者を守るのか?私たちがなぜこれほどまでに粘り強く闘い続けるか理解できるでしょうか?一方的な廃業・解雇が余りに悔しく、ひどい仕打ちだから、闘い続ける。私たちはゴミのように、消耗品のように扱われたくない。私たちは人間だから、闘い続ける。47年間税制の恩恵を受けて、一方的に労働者の首を切って説明もしない、そんなことが日本で他にありますか?明らかにサンケン電気による韓国サンケン労組への弾圧だ。先週の木曜夜に50分の特集番組がKBSで全国放映された。放送される前から、番組の問い合わせがたくさんあった。番組のインタビュー場面で日本の人たちが連帯闘争に参加してくれる理由、背景を知り、涙を抑えることができなかった。朝早くから電車を乗り継いで駆けつける人がいた。『韓国サンケンの闘いは日本人である自分自身の闘いでもある』と語るのを聞いて本当に驚いた。私自身が韓国の外国人労働者の解雇を自分自身の闘いとして連帯できるだろうかと考えさせられた。日本のみなさん、尊敬しています。闘いを孤立させないという思いがひしひしと伝わってきました。全世界に、サンケン電気の差別的な扱いが拡散されている。サンケン電気は、悪辣な企業として烙印を押されることを望むのか?一日も早く話し合いをすべきではないか。真実は私たちの側にある。韓国内の他の工場ではなく、韓国サンケンの工場を正常化して投資し再建するべきだ。サンケン電気経営陣の賢明な判断を求める!」
続いてキム・ヒョンガン事務長がオンライン・アピール。
「サンケン電気社員のみなさんの出勤する姿を画面越しに見て、羨ましく思います。サンケン電気は私たちの出勤を、職場への出勤でなくテント出勤にした。5年前と同じように、また解雇して闘わざるを得ない状態に私たちを追い込んだ。賃金が減っても会社のためにと、黙々と真面目に働いてきたのが韓国サンケンの労働者だ。そんな私たちの首を一方的に斬るような仕打ちが許されるのか!サンケン電気は、いつか工場が元通りに動くだろうという私たちの期待を、ことごとく裏切ってきた。別の工場に投資して生産してきた。私たちの期待と信頼を裏切った経営陣が、本当に恨めしい。47年間も優遇され、低賃金労働力で利益を上げた企業が、簡単に韓国人労働者の首を斬ることは許されることではない。先週放映されたKBSの特集番組を見た。私の兄が、『労働組合のことは分からないが、食い逃げ企業と言うのは分かる、韓国労働者を差別している』と言っていた。サンケン電気社員のみなさん、同じグループの一員として私たちのことにも目を向けてください。世の中の間違いを正すには、多くの人が声をあげる必要があります。サンケン電気に抗議の声をあげてください。」
埼玉市民の会、旭ダイヤモンド工業の仲間の発言の後、正門前に並び、シュプレヒコールを浴びせて本社前行動を締め括り、志木駅に向かう。
≪2月24日 9時 志木駅南口「労働者の凍りついた心が解けて、春が来ることを望んでいる!」≫
志木駅南口には、きょうも「ゆいの会」の仲間が作成した韓国サンケン労組の仲間の似顔絵パネルが賑やかに並ぶ。埼玉市民の会の仲間の発言でスタート。
キム・ウニョン副支会長からオンライン・アピール。
「韓進重工業という会社もサンケン電気と同様に労組を弾圧し、労働者を苦しめる会社だった。これまで多くの労働者の闘いがあり、闘争の中で自死する労働者もいた。仲間を守ろうとした労働者の闘いを誰も止めることは出来ない。キム・ジンスクさんという女性労働者は1986年に解雇され、闘争中に癌になり苦しい中で37年間も闘い、ついに復職を勝ち取った。2月25日付で復職し、定年退職することで労使合意に至った。37年間に経営者が3回変わり会社の名称も変わった。私はそのニュースを聞いて、このキム・ジンスクさんの闘いが、600日を迎える組合員にどう映ったか、受け止められたか、とても気がかりだった。輝かしい勝利と思うのか、それとも37年間も闘わないと勝利しないと感じたか?サンケン電気経営陣がこのニュースをどう感じたかも気になった。確かに韓国の労働者の中にも、お金で動く人もいるが、最後まで闘う人もいることをサンケン電気は知らねばならない。人間としての誇り、労働者としての信念があり、最後まで闘う労働者もいる。韓国サンケンの工場にはサワン電子の看板がついたが、このサワン電子を検索したらLG電子が出てきた。LG電子の子会社か、正体は明らかでないが、何かが動いているのは間違いない。空を手で覆って、一瞬、何も見えなくなっても、空が消えているわけではない。天安に工場を買収した時にも、韓国サンケンを廃業にするときにも、サンケン電気とLG電子の裏取り引きがあるのは確かだ。サンケン電気とLGが責任を取らねばならない。サンケン電気の取締役会で決めたことだから、サンケン電気の取締役会で決着しなければならない。始まりはサンケン電気本社の決定だが、終結は私たち労組と日本のみなさんで決める。日本のみなさんに心から感謝します。暗く心細く孤立した闘いだったが、みなさんの連帯闘争で輝くものとなり、力強くなり、希望の見える闘いになった。みなさんの闘いがあって、私たちの闘いがある。共に闘い、勝利の日に再会を喜び合いましょう。闘争!」
キム・ミョンデさんが続ける。
「久しぶりに発言します。KBS番組で日本のみなさんの闘いを見ることができた。私たちの闘いは591日になる。会社の経営が本当に厳しいのなら、こんな訴えをすることもなかった。5年前に解雇を撤回させて復職を勝ち取ったが、その時から会社は廃業を狙った。工場を正常化するという労使の約束を破った。私たちに技術が無いようなことを言っているが、私たちには技術がある。韓国サンケンには投資しないで、別の工場を買収して生産していた。周辺住民のみなさんとの約束を破った。このようなことは日本の企業ではよくあることが?働く人の意見を聞いて取り入れれば会社も良くなるはずだ。真面目に働いてこんなことになるとは夢にも思わなかった。コロナで韓国も日本も大変困難な状態にある。何も悪いことをしていないのに、一方的に労働者を解雇する企業に抗議の声をあげてください!ドウモアリガトウゴザイマス!」
キム・ヒョンガン事務長が続ける。
「春が近づいているが、闘いは続いている。韓国サンケンの労働者の心は凍りついていて、春はまだ来ない。凍りついた心が解けて春が来ることを望んでいる。廃業の理由は累積赤字だが、赤字は私たち労働者が作るわけではない、経営者の責任だ。その責任を労働者に押しつけている。子会社の赤字を見逃していた。作れば作るほど赤字になるものを生産させ、本社が累積させたものだ。労働者は納品期日も破ったことはない。生産現場のミスで遅れたことはない。そんな恥知らずな企業が地元では良い会社とされているのが悔しくてたまらない。サンケン電気が何をしているのか、知ってほしい。5年前に組合員を指名して解雇するという暴挙に出たが、2年間にわたる日本遠征闘争で撤回させ会社と合意書を交わした。しかし守られなかった。約束は守られねばならない。サンケン電気は約束を無残にも破り捨てた。約束を守り、工場を正常化しなければならない。廃業は正常化ではない!約束は守らねばならない!馬山だけではなく、ソウルのサンケン・コリアの前でもテント籠城し訴えている。先週のKBSの放送を見て、目頭が熱くなった。日本のみなさんの姿を見て涙が出た。連帯を自らの闘いと受け止め、闘っている姿を見て涙が出た。知人が、本当にあり難いと言ってきた。感動的だった、と感想を言う人も沢山いた。献身的な闘いに感謝します!早く春が来て心に花が咲くといいと思います。闘争!」
ノレの会の仲間、サンケン太郎、ゆいの会&女闘労倶楽部の仲間の歌が続き、明大生協労組の仲間の発言で志木駅南口のアピール行動を締め括り、池袋に向かう。
≪2月24日正午 池袋東京事務所ビル前「この闘いは類のない稀な国際連帯の闘いだ!」≫
南池袋のサンケン電気東京事務所のI氏と面談してからビル前の歩道で、昼休み集会。埼玉市民の会の仲間の発言からスタート。冷たいビル風が吹きつけ、幟や横断幕が引きちぎれんばかりだが、42人を超える仲間が集まる。
韓国サンケン労組のオ・ヘジン支会長からオンライン・アピール。
「労働者が立ち上がれば、巨大な資本の攻撃にも屈することなく闘うことができる。この闘いは類のない稀な国際連帯闘争になっている。しかしサンケン電気は交渉に乗り出して解決しようとしない。このまま黙っていれば勝利すると思っているのかもしれないが、私たちはサンケン電気に勝利した歴史を持っている。闘う労働組合があり、連帯の力があれば勝利することができることを5年前に示した。悪辣なサンケン資本のおかげで、労働者の生活は無残に踏みにじられた。猛暑の夏も、厳寒の冬も、コンクリートの上で闘い続けた。サンケン電気が逃げ回っているのは、責任を取りたくないのだろう。そして韓国サンケン労組を潰したいと考えているのだろう。悪辣なサンケン電気は、自らの失敗を認めたくないのだ。しかしいかにサンケン電気が強くても、労働者の団結と国際連帯で闘い抜く。時には疲れ苦しむこともある。しかし、闘いを一歩一歩着実に進めることが、闘いを続ければ勝利に近づくことができる。日本のみなさんと一歩一歩進んでいきましょう!勝利のその日まで、闘争!」
キム・ウニョン副支会長が続ける。
「闘いも、もうすぐ600日になる。サンケン電気は5年前に私たちと2つの約束をした。工場の正常化と雇用問題の労使協議だ。サンケン電気はその約束を守らず、LG電子と交渉し新しい工場を建設して生産活動をつづけた。そしてコロナに乗じて廃業を通知してきた。遠征闘争ができないだろうと当時の和田社長は言っていた。私たちはテントを張り籠城するとともに、各地を回って闘いを続けた。日本では自発的に闘争を組織してくれた。その模様が先週KBSで全国放送された。ぜひご視聴を!法律を守らない、約束を守らないサンケン電気に批判の声を!解雇労働者にとって、600日は辛く苦しい時間だった。母親である労働者は子どもを抱いてビニールテントで夜を明かし、テントを守ってきた。サンケン電気は交渉の場へ出てくるべきだ!廃業はサンケン電気が取締役会で決めた。解決もサンケン電気取締役会が決定すれば良い。サンケン電気はLG電子と生産拠点をつくり、韓国で事業している。業界世界8位のグローバル企業であるサンケン電気は12人の職場を用意するのは難しいことではない。それができないなら、生産活動しないで韓国から出ていけば良い。私たちは、どんな困難があってもサンケン電気との闘いを闘い抜く。日本のみなさんがいるから闘争できる。身体に気をつけてください!」
山日労、韓国青年同盟、朝鮮学校支援の仲間のリレートーク、最後にビル7階8階のサンケン電気東京事務所に向かってシュプレヒコールで第70回木曜行動を締め括った。
→支援する会ニュース71号(pdf)
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staff01.
Last modified on 2022-03-04 19:44:52
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