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 スペインからのカタルーニャ州独立を目指す「カタルーニャ独立運動」が活発化している。住民の自己決定権が一番の要求である。大規模なデモが続いているが、日本においてはメディア報道は皆無に等しい。最近来日したドキュメンタリー映画作家のジョルディ・ウリオラさんが、カタルーニャ独立運動について日本語でレポートを寄せてくれた。以下、紹介する。(レイバーネット編集部)
*赤が「カタルーニャ州」
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路上に溢れ出た独立運動〜スペイン・カタルーニャ州で何が起きているのか?

  ジョルディ・ウリオラ

*2019年10月18日、バルセロナに到着した6つのデモの1つ

 2010年以来カタルーニャ自治州政府は、大多数の市民の要求を受けて投票による自決権行使を目指し、スペイン中央政府との交渉を試みてきた。対話を拒み続ける中央政府に圧力をかけるため、2017年には一方的に投票を計画したものの、対話を求める姿勢は崩さなかった。この投票を阻止するため中央政府は警官3700人を投入したが、 民衆は非暴力的不服従で応じた。警察の介入は1000人を越す負傷者が出したものの、200万人以上が投票し独立賛成は90.18%に達した。この結果を受けて州政府は、中央政府の合意の下での投票実施に向けた交渉を求めたが、スペイン政府からの回答は、ベルギー亡命に成功した当時の州首相プッチダモン他数名を除く、カタルーニャ政府メンバー全員の投獄であった。

 去る10月14日、スペイン最高裁が政治家7人と活動家2人に対して9年から13年の禁固刑を下したとき、すでにスペイン政府は2000人以上の治安維持部隊をカタルーニャに配置していた。判決に対する抗議のために何千人もの市民がバルセロナ空港を平和的に占拠し、150余りのフライトがキャンセルとなった。並行してカタルーニャ全土やスペイン各地で呼びかけられた数々のデモは、いつものように全く平和的なものであった。ところが、日没後9年間で初めて警察との衝突が発生する。(以下の写真)

 起爆剤となったのは、うんざりした独立派やカタルーニャと連帯する反体制派の若者か、あるいは覆面警官が起こしたのかは不明だが、警察に向けられた小規模な挑発行為だった。警察車両がデモ参加者を威嚇的に追跡し二人をはねると、大量にゴム弾を発射してパニックを引き起こすと、デモ参加者は警察車両の突入から身を護るために、ゴミ用コンテナを間に置いて火を点けた。街のあちこちから火の手が上がる衝撃的な画像がテレビを通じて放映されて、スペイン政府は国家安全保障法の適用に言及し始めた。

 度重なる屈辱や暴力に飽きあきした若者がスペイン警察に挑発されたと感じて怒りを爆発させるときがくること、さらには、大規模な警察官派遣がスペイン全土から反ファシズムのグループを引き寄せることは予測可能だった。この騒乱は、カタルーニャとスペインの間の対立に世界の目を向けるのに役立った一方で、中央政府によるカタルーニャ独立思想の非合法化に有利に働く可能性もある。

 カタルーニャの独立運動は、1968年のキング牧師の行進を手本に、全土からバルセロナまで6つの隊が3日間かけて歩くという感動的なイニシアティブによって新たなスタートを切っている。10月18日、判決に反対するゼネストによって機能麻痺に陥ったバルセロナで、各地から集まった歩隊が合流したのだ。スペイン政府は、民主的な解決策を避けて弾圧的な解決策を取るために、独立運動の非合法化を試みているが、自決権行使が可能となるまで、大規模な非暴力の不服従行動は続くであろう。

筆者=ジョルディ・ウリオラ
カタルーニャ州バルセロナ(スペイン)


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