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ワサビの利いた刺身のようだった〜レイバーネット合宿参加報告

    笠原眞弓


*SCATセミナールーム「毛呂分室」

 これまでも神楽坂では散々お世話になったスキャットの毛呂分室で開催するので、ちょっとワクワクしながら出かける。あの武州長瀬駅を降りてシャッター通りからもうワクワクするのだが、回転すし屋の横の坂を下りはじめるとパァーと広がる田園風景に興奮状態!

 四季折々、どんなに素敵か書き出すと、千字でも足りなくなるので割愛するが(弱虫の私は、今回は躊躇なく車乗の人だったのだが。運んでくださった方、ありがとうございます)、金野さんがプログラムの最初に必ず自然観察会を入れる気持ちがよくわかる。


*越辺川散策

 越辺川(おっぺがわ)河畔の元料亭は、前庭が今は草だらけ。思わず、まず草刈りからかな?と思った瞬間、金野さんの「この草の状態が生物にとって最高の環境なんです」という言葉が。そうなのね。蝶の種類も多く、蚊も多い。


 セミナー室で早速の講義は、乱鬼龍さんの川柳講座。川柳の持つ力、描き方の基本など、実例を挙げながらのわかりやすい解説だった。参加者全員に付箋が配られ、明日の最後までに投句募集が提案された。課題は「人」と自由。

 これは合宿の最後に恒例乱鬼龍選の「豪華粗品」付きで発表された。私のも1句辛うじて入選したのでみかんをゲット。みかんだけあって添削ばっちりだった。添削すみの入選句は「新円で大嫌いな奴またも増え」。着眼がよかったからだと思う。新円の渋沢栄一のことで、だれも他にいなかったし…とちょっと自慢する。

 今回の合宿の2大イベントは、徴用工問題を考える講座とイギリスの戦後史。その二つとも最高によかった。なんといっても、徴用工問題でこの人の右に出る人はいない(と勝手に私は思っているが、多分100%ただしい)矢野秀喜さんのお話。レイバーネットTVにも登場していただいているので、ご存知の方も多いと思うが、すっごくよくわかったし、どこから突っ込んでも、お答えが返ってくるすばらしさ!! 同時に、ビデオプレスの松原さんが若き日に制作したDVD作品『強制連行ー清算されない歴史』もよかった。(→『強制連行』DVD情報

 私の頭の中では、秀吉の愚政治「朝鮮征伐」から江戸時代の「朝鮮通信使」を経て明治、そして戦前の乗っ取り、戦後の「朝鮮戦争」に助けられた日本の戦後復興と、ビックリの韓流ブーム。と思いきや、いつの間にかの嫌韓大合唱までが、韓国の海苔巻き(キンパッ)のように複雑に絡み合って脳裏を駆け抜けていった。

 次の日の映画上映は、ケンローチ監督のイギリス戦後史で、『1945年の精神』(サッチャー時代まで)。ほぼリアルタイムで生きてきた私としては、芸術、文化、産業など少子供時代も成人後もあこがれの国の一つだが、意外な側面が見えた。経済・労働史が「そういう歴史だったのね」と筋道立てて入ってきた。高校生のころ誰かが言っていた「イギリスの食事は貧しい」が納得できるものだったし、今の彼の国が抱えている問題にも少しは理解が深まるだろう。

 その前に持ち込みで急遽上映された『ロスト・シング』はCGアニメで、絵の可笑しさ、可愛さ、グロテスクさ、しかもホロッとさせる。ストーリーの産業革命以降の批判の鋭さは、激辛タイカレーを作るとき、お汁粉のように砂糖を入れるのに似ていた。

 1日目の夕食はBBQ。今年はラッキータイムで4割引きの本場スペインのイベリコ豚が目玉。「ちょ、ちょっと待ってよ!! ぶたの旨味は、脂身で決まるのよ!!」を実証したものだった。スーパー銭湯の後は、思い思いにダイニングキッチンで、持ち込みDVDをバックに、人によっては朝の4時ころまで様々な話に更けて(いや、明けてかもしれない)いった。

 いよいよ帰りは、車隊のご厚意で乗換駅坂戸まで送っていただいたので、思いがけず早く帰宅できて、ありがとうの塊、無念のスイトン(これのわかる人は、多分いないと思う。昔々の新聞小説の中に出てきた言葉。感極まった時に言う言葉)だった。

 今回の合宿を例えるなら、ワサビの利いた刺身のようだった。まだ参加していらっしゃらない方は、来年にはぜひ!!。


*自転車で参加したピースサイクルのメンバー


Created by staff01. Last modified on 2019-10-08 22:01:15 Copyright: Default

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