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労働問題を超えた人権問題だった!〜レイバーネットTV「ベトナム技能実習生」に迫る

アーカイブ録画(87分 特集は24分から)

 レイバーネットTV第132号放送が、7月18日、スペースたんぽぽで行われた。キャスターは久しぶりの松元ちえさんだったが、見事な進行とさばきぶりはさすがで、番組を盛り上げた。

 はじめは、いつも通り動画ニュースから。最近のニュースは充実しているという、うれしい声もあるが、今回はさらに力が入っていた。最賃の地方格差について日を追った動きと、働き方改正法案が国会を通過したこと、雇い止めを組合結成で回避した事例ほか、労働問題もさらに充実していた。フラッシュニュースも見逃せない。ニュースはレイバーネット国際部が英訳し、世界に配信される予定だ。

 次は「ザ・争議」のコーナー。司会は北穂さゆりさんで、カッコイイ畳職人さんの隠された労働問題を取り上げた。職人の世界にも偽装請負の制度が浸透していて、労働者の人権が守られていない。全国一般三多摩労働組合しあわせ分会の当事者お二人が訴えた。驚いたのは、当日仕事がキャンセルになると、すでに現場に向かっていても、その日は労賃が0円になってしまうこと。賃金も1000円(日給)、ひどい時は300円という日もあるそうだ。

 ここの畳職人は、親会社が親方に仕事を降し職人がその仕事を受けるかどうかを決めるが、実際は親会社から直接職人に話がいき、賃金についても一切知らされず、問題が生じると親方は責任だけとらされるいわゆる偽装請負。問題は、監督官庁もその「偽装」性を見抜けず、直接雇用ではないので労働者性がないから会社を指導することはできないといわれたとか。現在院内集会や国会議員に訴えたりして少し動いてきたとはいうことだが、解決の緒についたということか。

 この日の特集は「ベトナム人技能実習生を見つめて」。ゲストは、ベトナム人支援ボランティアの高山ユキさんと全統一労組書記長の佐々木史朗さん。高山さんは1982年のボートピ―プルと呼ばれたベトナム難民だった。小さな漁船に50人の予定のところを98人が乗り、1日目でエンジンが壊れ、流されているところを助けられた。技能実習生の窮状に出会い、彼らに対する複雑な思いはあるものの、日本人が助けてくれているのに知らん顔はできないと今では彼らのために奔走している。

 佐々木史朗さんが技能実習生の現実を語った。制度では「労働力支給の手段に使われてはならない」となっているが、その実態はまったく違い、農業や建設、食品製造(昼夜を通したお弁当作り)、縫製などの単純反復作業を行っているのが実情。最近大問題になったのは、原発事故の除染労働。ベトナム国内でも大問題になり、1週間後には禁止になった。一般的な技能実習生の実態も解説された。日本人より待遇が悪く、狭く劣悪な部屋、低賃金、残業代不払い、日々の暴力、仕事を干され解雇通告等々。解雇されると彼らは帰国しなければならず、来るときに支払った経費の借金が返せなくなると、切羽詰った状況に置かれている。


 *宿舎の実態(全統一労組提供)

 仕事の選択の自由がないのも驚きで、「辞める自由がないというのは奴隷制度と同じ」「国際貢献を偽装した労働力の供給ビジネスというのが実情なので、この制度の手直しというごまかしはいけない」という佐々木さんの言葉がその実態を端的に表している。つまり、この問題は労働問題を超えて人権問題なのだ。

 技能実習生という外国人労働者を安く使い捨てにする日本の制度は、ひいては日本人労働者自身の待遇の劣化にもつながるとつくづく思う。最後の佐々木さんの言葉「国籍が違うからということで、組合も区別していないか。彼らも共に働き、共に声を上げ、共に闘う仲間。この社会に共に生き、この社会を共に作っていく仲間なのに、なぜか壁を作ってしまう弱さに気づかされた」を私たちの想いとしたい。〔笠原眞弓〕

*写真撮影=小林未来


Created by staff01. Last modified on 2018-07-24 20:58:29 Copyright: Default

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