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国連人権理が勧告ー「朝鮮学校無償化除外」は日本の恥

2017年11月20日 | 差別・人権・沖縄・在日

     

 5年ぶりに開かれた国連人権理事会の対日人権審査会で16日、日本に対し218項目もの勧告が行われました(最終勧告は、日本政府の意見を反映させたうえで来年2〜3月に採択の予定)。

 この中で、秘密保護法などによって「報道の自由」が大きく制約されていることが指摘され、割合広く報じられました。これはもちろん重大問題です。
 同時に、今回の勧告の中には「報道の自由」だけでなく、極めて重要な内容が初めて盛り込まれました。ところが日本のほとんどのメディアはこれを報じていません。私が見た限りまともに取り上げたのは神奈川新聞だけでした。同紙から抜粋します。

 「218項目にわたる日本政府への勧告には、高校無償化制度の対象から唯一除外されている朝鮮学校に制度を適用するよう求めるものも盛り込まれた。
 16日に採択された勧告は「すべての学校に無償化制度を適用せよ」「社会権規約委員会と人権差別撤廃委員会の勧告に従い、マイノリティの子どもたちの教育権を差別なく確保せよ」「国連条約機構の勧告に従い、朝鮮学校への平等な扱いを確保せよ」などと求める。朝鮮学校の排除を差別と批判し、是正を求めた2013、14年の国連社会権規約委員会、人種差別撤廃委員会の勧告を無視する日本政府への非難を含めた内容となっている」(18日付神奈川新聞、石橋学記者)

 同紙によれば、勧告に先立って14日行われた日本審査会(UPR)では、ポルトガル、パレスチナ、オーストリア、北朝鮮の4つの国・地域が無償化制度の適用や教育権確保について発言しました。在日本朝鮮人人権協会によれば、UPR日本審査で朝鮮学校に高校無償化制度を適用するよう求める勧告が出されたのは初めてです。

 「在日本朝鮮人人権協会の朴金(パクキム)優綺(ウギ)さんは「すべての子どもの学びを支援する無償化法の趣旨に反し、政治的理由で朝鮮学校を排除しているのは国際社会の目からも明らか。これまでの勧告に従っていないことを踏まえた勧告を重く受け止め、速やかに制度を適用すべきだ」と話している」(同神奈川新聞)

 安倍政権が朝鮮学校だけを「高校無償化制度」から排除しているのは明らかな民族差別であり、憲法違反であり、国際的恥辱です。それが今回の国連人権理事会の勧告で改めて浮き彫りになりました。

 この重要ニュースを日本のメディアが報じないのはきわめて異常です。メディアだけではありません。
 勧告直後の19日付沖縄タイムスに、憲法学者・木村草太氏の定期コラム(「憲法の新手」)が掲載されました。「教育の二つの政治的論点・無償化は既に政府の義務」と題した論稿で木村氏は、「幼児教育の無償化」「自民党の「教育無償化」の憲法改正」について述べ、「「教育を受ける権利」の憲法26条1項も、国際人権A規約も、教育の機会均等の理念を掲げている。未来ある若者のためには、総合的な施策が急務だ」と結んでいます。論旨は明快です。

 ところがこの中で木村氏は、朝鮮学校の無償化除外問題については一言も触れていないのです。「教育を受ける権利」「教育の機会均等」「未来ある若者」という時、木村氏の脳裏に朝鮮学校の生徒たちは浮かんでこなかったのでしょうか。「民主的」といわれている学者の論考においてこうです。 

 朝鮮学校に対する差別、憲法違反は、安倍政権だけでなく、日本のメディア、学者、そして私たち「日本国民」全体の責任であり、国際的恥じです。そのことを改めて肝に銘じる必要があるのではないでしょうか。


Created by sasaki. Last modified on 2017-11-21 11:28:51 Copyright: Default

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