ベトナム反戦・全共闘運動などの貴重な記録/企画展示「1968年」を見て | |||||||
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ベトナム反戦・全共闘運動などの貴重な記録〜企画展示「1968年」を見て笠原眞弓千葉県佐倉市の「歴史民俗博物館」で開催されている「企画展示『1968年』−無数の問いの噴出の時代」を見に行った。べ平連からはじまって、成田、水俣、学生運動と実物資料と映像で綴られた、国家権力に抗った記録である。それは、小さなメモが書きも含めて、あの時代を浮き上がらせる。来館者には当事者らしき会話が漏れてくる人たちを含め、同時代の人たちもいるが、生まれていなかった人の姿も多い。新聞とテレビでしか知らなかった私は、生々しい資料にドキドキしながら見た。沖縄の記述が少ないのは、それだけ本土の関心が低かったのか、それとも資料に乏しかったのか、そこまで広げられなかったのかは分からない。私には、あの時代日本の権力闘争と、今の官邸前にはじまった市民の抵抗の運動が重なって見えてきた。いや、今もまだ続いていると言えるだろう。何しろおすすめの企画展だ。 まずA室。「1966年10月21日反戦ストライキ支援国民集会に参加しよう」という呼びかけのための集会ポスターが人目を引く。発言者に阿部知二、石母田正、吉野源三郎、吉原公一郎、藤田省三、長谷川四郎の各氏が。そして学生・労働者・主婦の発言を募ると。簡易印刷やガリ版刷りのポスターやチラシ類の力強さ。1965年4月24日の清水谷公園1500人のデモでは、風船や花束など明らかにそれまでのデモとは違う風景があった。5月に京都でべ平連の立ち上げ。組織から個人の運動への変換点である。日高六郎、鶴見良行の名の入ったチラシやポスター。ジェーン・バエズの歌も流れる。沖縄返還への反対のポスターには、「私たちは5月15日沖縄返還をよろこばない。自衛隊来るな! 」とある。そんな運動があったとは、全く知らなかった。万博反対のチラシは、経済至上主義を批判している。 小田実の大きな顔と共に「衆生が衆知を集め衆力となった」と大書したベ平連の機関紙の展示もある。在日朝鮮人学校への差別反対、朝鮮人被爆者への国の補償差別への抗議と続き、成田闘争では、御料牧場と国有地を中心とし、戦後開拓の多い地域が指定されたことがはっきり分かる地図もある。ドーンとおいてある錆びたドラム缶は辺田部落のもの。緊急を知らせる時に打ち鳴らしたというもので「団結」と書いてある。つづく水俣問題。1956年に会社も国も事実関係を把握しながら隠蔽し、被害を拡大させたことがはっきりと示されている。 B室は、70年安保闘争、全共闘運動に的が絞られている。日大全共闘・秋田明大議長を中心にした展示。安田講堂陥落は1969年1月18日(この日、私は正門前まで行ったことを思い出す)。「永続的非妥協的バリケードを構築せよ!」、都電の敷石をはがす映像。この後都電の線路はコンクリート敷きになったのを思い出す。そして東大の教員による大学当局への意義申し立ての経緯も示す。並んで、公害言論の自主講座などのパンフもある。 当事者が見れば、あれもこれも足りないのかもしれない。だが、これだけの資料を集め保管する人々の努力に頭が下がる。資料は、大学の研究室も多いが、中には個人収蔵もあり、貴重だ。外に出ると、赤や黄色の紅葉が、ことの外、目にしみた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー Created by staff01. Last modified on 2017-11-27 16:13:03 Copyright: Default |