郵政「65歳解雇裁判」抗議声明 | |||||||
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声 明
2016(平成28)年10月5日、東京高等裁判所23民事部(水野邦夫裁判長)は、における郵政非正規社員1万4000人が65歳を更新限度とする上限規則によって解雇された65歳解雇裁判の控訴審(地位確認等請求控訴事件)において、期間雇用社員である控訴人9名全員に対して、控訴棄却という極めて不当な判決をがなしされた。満腔の怒りをもって判決を徹底的に弾劾する。 まず、判決は事実を直視していない。判決は、被控訴人日本郵便の期間雇用社員と正社員とは、その担当する職務の内容及び勤務の形態を異にするのであり、賃金、年金、退職金等の点で格差があるとしても不平等ではないとする。しかしが、期間雇用社員と正社員の仕事内容と責任は全く同じであるにもかかわらず、賃金は3分の1で退職金はなく、定年だけは同じにするのは不平等の極みである。 しかし、それ以上に許せないのは、一審判決と同様の「コスト論」である。判決は、仮に65歳を更新限度とする就業規則(「上限規則」)を設けず更新拒絶の合理性・相当性があるときのみに更新拒絶が可能との制度枠組みにした場合、紛議が発生し日本郵便被控訴人のコストとなるため、それを避ける制度を設ける必要性・合理性があるとする。しかしが、被控訴人日本郵便は、自らの利潤を追求するために控訴人ら期間雇用社員を雇用し、実際に利潤をあげているから、「雇止め」の際にかかるコストは日本郵便被控訴人が当然に負担すべきである。期間雇用社員が65歳以降の雇止めにより生活が困窮することを認定しつつ、それとの比較においてなお日本郵便被控訴人が紛議のコストを避ける必要性の方が重要であるとの判決は、まさに労働者の勤労の権利と生存権を無視した不法な判決である。 また、判決は、旧公社時代は日々任用であり、65歳を超えても任用更新されるという事実上の期待は法的に保証されたものではないため、上限規則によりその期待を奪われたとしても、控訴人ら期間雇用社員の受ける不利益は非常に大きいとは評価し得ないとする。しかしが、日々任用であっても突然「雇止め」された事例は聞いたことがなく、むしろ民間の労働者よりも雇用が安定していたのが実体である。判決は、かかる実態を無視し、日々任用の形式面を殊更にあげつらっており、極めて不当である。 このように、同判決は、労働者の人権を無視し、使用者の経営判断を優遇した極めて不当な判決である。控訴人ら期間雇用社員は老後の生活保障がなく、自ら働き続ける他ないのであり、かかる判決が是認されてしまえば、期間雇用社員が増え続ける現代において、生存権が侵害される国民が拡大し続けることは火を見るより明らかである。 裁判官は法廷において、付言として、期間雇用社員の生活保障や高齢者の労働力確保が必要となる社会情勢から、上限規則には問題があり、関係者において再度検討の努力をすべきである旨述べた。しかしが、不当に権利を侵害される者を救済すべき裁判所が当事者による自己努力により解決を図るべきとするのは、まさに裁判所が自らの職責を放棄したものと言わざるを得ない。裁判所が「現下の社会状況から65歳雇用上限制度の再検討が必要」というのであれば、自らそれに資する判決を下すべきであり、その点でも社会的責任を果たしていないとい言わざるを得ない。 本声明により、本判決の不当性を強く主張するものである。 それとともに、日本郵便には、この付言も踏まえて一刻も早く上限規則を撤廃することを要求する。 訴訟団は、闘いの矛はおさめない。日本郵便による不当解雇の責任を追及して闘い続けることを表明するものである。 以上 郵政「65歳解雇裁判」原告団 郵政「65歳解雇裁判」弁護団 郵政「65歳解雇裁判」支える会 Created by staff01. Last modified on 2016-10-06 20:52:15 Copyright: Default |