出版メディアの社会的責任を問う…シンポジウム「『ヘイト本』と表現の自由」 | |||||||
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7月30日出版労連会議室にてシンポジウム「『ヘイト本』と表現の自由」が開催され、90名が参加した。主催は出版労連。 最初に岩下結さん(ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会)からヘイトスピーチとその関連の本のこれまでの流れや、会の経過を紹介。 「ヘイトスピーチは自由な社会を破壊する。なぜなら社会の構造的な力関係を背景に差別を扇動・強化するから、公共メディアは自らが表現の自由を行使するだけでなく、人々が平等に表現の自由を行使できるために少数者の表現の機会を保障し、差別と闘う責任がある」と語った 。 福嶋聡さん(ジュンク堂書店難波店店長)は自身の書店で<NOヘイト!>フェアを開催した経験を報告。「個人的にはヘイト的な本は嫌いだが、店としては置かざるをえない。なるべくそれに対抗する本を応援したい」と語り、そしてあからさまのヘイト本よりもメジャーな人気作家の反動的言動のほうが怖いのではないか、とも。 川辺一雅さん(小学館編集者)はヘイト本が売れているのかについて、編集部などを取材してみると、さほど売れていない、と疑問を呈した。 ヘイト本の典型といわれる『そうだ難民しよう!』なども質が低いし、あきらかな誤りも訂正されない、編集者の矜持がないと言わざるえない。かつての『日本国憲法』という写真と文章で構成された本は新鮮だった。そのような発想が求められる、と語った。 水口洋介さん(弁護士・東京法律事務所)は ヘイトスピーチ規制法が成立・施行された。罰則はないが、時の権力に選択的に乱用される危険性もあり、慎重に考えるべきだろう。とくに今の安倍政権は危険だ。出版の事前差し止めなどもできる、独立した行政委員会=差別解消委員会で問題を扱うような制度設計を追求していくべきだろう、と語った。 さらに、青林堂から不当労働行為・パワハラを受けている中村さん(東京管理職ユニオン)の特別報告があった。 青林堂はかつてはサブカル・劇画出版のブランドだったが、今はネトウヨの出版がメインとなっている。売れるから出していると社長は語るが、本人は在特会の人間なので、そればかりではないだろう。実際に売れているものと売れないものもあり、コアな購入者がいて特定の年代(比較的高齢)の人が購入しているようだ。 ヘイト本を出すに当たっては躊躇するところがないではないが、仕事の繁忙さや、なんとか実績を作りたいという意識があり、そちらのほうが優先された。 書店などにいっても、以前の出版事業を知っている人からすると今の在り方はかなり違和感を与えてるようで、いろいろ言われたりはする。 現在は組合に加入して会社と争っている最中なのでご注目いただきたい、と訴えた。 ヘイトといわれる本が一定程度流通するようになって久しいが、それを生産してる現場の声も聞けたのは興味深い。(T.A) Created by left. Last modified on 2016-08-01 00:42:01 Copyright: Default |