民意なき地元同意(寺島まとめ) | |||||||
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民意なき地元同意 まとめ=寺島 terashige@gmail.com
目次 ・速報 「鹿児島県議会の内容、民意不在の地元同意 FoE Japan満田 ・FoE Japan緊急声明 「31件の反対陳情・請願に込められた人々の想い無視」 ・市民10団体の緊急声明 「川内原発再稼働・民意無視の鹿児島県知事・県議会の「地元同意」に抗議する」 ・論評「鹿児島県議会5.6.7日の行動 【速報】鹿児島県議会、 川内原発の再稼働に同意〜民意不在の地元同意 みなさま(重複失礼・拡散歓迎) FoE Japanの満田です。連投失礼しまします。 さきほど、鹿児島県議会で、再稼働を求める陳情(1件)が採択され、再稼働反対もしくは地元同意拡大などを求める陳情・請願(計31件)を否決しました。 ※特別委の報告をお送りした先のメールで、数を間違えてしまいましたが、再稼働反対陳情・請願の数は31件だったそうです。お詫びして訂正いたします。 特別委の速報はこちらから⇒ 【速報】鹿児島県原子力安全対策等特別委31件の再稼働反対陳情・請願を否決、1件の賛成陳情を可決(2014/11/7) 私は傍聴することはできず、インターネットで見ていました。あっという間でした。 以下、速報です。 ************************************** (鹿児島県議会 本会議) 反対討論に立ったのは、(私がみれた範囲では)柳誠子議員(県民連合)、松崎真琴議員(共産党)、下鶴隆央議員(県民連合)です。柳誠子議員も松崎真琴議員も、大飯原発の福井地裁判決を引き合いにだして切々と訴えており、本当に心打たれるものでした。 ○とりわけ松崎真琴議員のスピーチに心打たれました。審査が終わっていないこと、火山、避難計画、地元同意、地域活性化に触れ、以下のように締めくくりました。 「討論を終わる前に同僚議員に訴えたい。私たちがすべきことは、県民のいのちと安全を守ること。福島の現実を直視しよう。結局、原発をうごかしたいのは原発利権に群がる人たちのみ。 私たち地方議員は地元住民の付託を受け、県議会に臨んでいる。 福井地裁の判決の述べているとおり、豊かな自然とそこに住み続ける住民が国富。 これが失われることが国富の流出。美しい鹿児島を守り、そこに暮らす人々を守ろう。再稼働に断固として反対します。」 ○下鶴議員は、しばらくは原発に頼ることもやむをえないが、川内原発を今再稼働することは県民のためにならないとし、以下の点を述べました。 「県として、国に、事故があったときの全額・迅速の賠償を求めるべき。知事は、 「国が関係法令に基づき対処する」という大臣の発言でよしとしているが、そんなのは当たり前の事。なぜ「関連法令」? 原賠法では、「国が必要な場合は」支援をすることになっている。 「このまま無条件に再稼働に同意することは10年後、20年後に大きな禍根を残す。公平なリスク負担を他県に、国民全体に問いかけるべき。他県の人が、「安い電気をつかえるから賛成」というのはフェアではない。たとえ再稼働に同意するとしても、あと10年後には、止めることを条件にすべき」 ○自民党・公明党は、賛成の討論にすら立ちませんでした。 そして採決。賛成陳情が起立多数で採択。傍聴席から激しい抗議の声。 反対陳情・請願が次々に不採択。 陳情にこめられた人々の想いが次々に踏みにじられて行くようで胸痛くなるような情景でした。 ○そのあと、自民党から、国に対して、原発に関する住民の理解を得るための対応や、避難計画の充実への支援などを求める意見書が提出されました。 ○松崎議員のみが「国への注文がならんでいるが、原発を止めてほしいという人々の想いを踏みにじっておきながら、そのあとに人々の理解を得ることを国に求めるなど本末転倒」として、反対しましたが、採決されました。 ○最後に伊藤知事が閉会のあいさつ。 傍聴席からは「再稼働反対」のコールで、伊藤知事の声はかき消されていました が、以下のようなものでした。 「近々、私の意見も決める。県民のみなさまのますますのご挨拶とご健勝をお祈りして、閉会としてます」 いや、ホントに、いっそ潔いほどの民意の無視っぷりでした。 傍聴して感じたのは、 ・公開の場で徹底的な議論をしない風潮、 ・数の論理でものごとを決めていく、動かぬ「壁」の存在です。 これまで日本の地方政治を動かしてきた、理屈じゃないんだものごとはという風潮。 論理的に考えれば、自民党議員だって、なんで今再稼働判断なの?ポーズだけでももっと慎重にやったほうがいいんじゃない?と思った思った議員もいたはずです。 残念ながら、いちき串木野市選出の自民議員も含めて、造反議員はでませんでした。 FoE Japanでは以下の抗議声明を出しました。拡散していただければ幸いです。 ----------------------------------------------------------------------------- 【緊急声明】 川内原発再稼働、多くの疑問残す鹿児島県の「地元同意」 31件の反対陳情・請願に込められた人々の想い無視 http://www.foejapan.org/energy/news/141107.html ----------------------------------------------------------------------------- 2014年11月7日 (鹿児島県議会 再稼働賛成陳情を可決) 本日、川内原発再稼働をめぐり、鹿児島県議会は、31件の再稼働反対(または慎重、もしくは更なる調査をやるべき、地元同意を広げるべきなど)の陳情・請願を否決、1件の再稼働賛成陳情を可決しました。 近日中に伊藤知事も再稼働に賛成するとみられます。 (昨日の原子力安全対策等特別委員会) 昨日の原子力安全対策等特別委員会で、再稼働反対の県議会議員は、 ・県民の理解が得られているとは到底言えないこと、 ・保安規定や工事計画認可の審査はまだ終わっていないこと、 ・責任の所在が不明確であること、 ・福島原発事故はなお収束せず、多くの人たちが幸せな生活を奪われて苦しんでいること、 ・原子力規制委員会はまだ保安規定・工事計画認可の審査中であること、 ・火山学会は「巨大噴火は予知困難」とし原子力規制委の火山影響評価ガイドを見直すべきとしていること、 ・「国富」とは美しい鹿児島で人々が幸せな生活を営むことであること、 ・原発立地の地域活性化は原発に頼らない方向でいますぐ取り組むべきこと などを切々と訴えましたが、自民党・公明党などの数の論理で押し切られた形となりました。 (住民説明会) 県内5箇所で開催された審査書に関する説明会では反対の意見が相次ぎました。 ・今回の「地元同意」は到底民意を反映したものとは言えません。 川内原発を動かしてはならない理由はたくさんあります。 ・逆に川内原発を今、急いで再稼働させなければならない理由は見当たりません。 これは、多くの議員が指摘したところです。 ・住民のいのちと安全を守る最後の砦たる避難計画は、欠陥だらけであり、 ・さらに一時避難所や避難集合場所が、ハザードマップ上の危険エリアにあり、これは災害対策基本法施行令に違反している恐れがあります。市民団体の問合せに対して、薩摩川内市、出水市、阿久根市、いちき串木野市、また受け入れ先の出水市もこのことを認めざるをえませんでした。 (鹿児島県議会と急ぐ地元同意) 鹿児島県知事・県議会はなぜ、これほどまでの多くの問題を無視して、地元同意を急いだのでしょうか? 今回、不採択となった再稼働反対、あるいは地元同意拡大などの39(31)件もの陳情・請願に込められた一つ一つの県民の想いが踏みにじられたこと、 またこれが、今後の原発の再稼働における「民意なき地元同意」の前例となったことは残念でなりません。 問合せ: FoE Japan 満田 (TEL 03-6909-5983) (見やすくするため、小見出し、発言者に○印、項目に・を、それぞれ付した。紹介者) 市民10団体による緊急声明 緊 急 声 明 川内原発再稼働・民意無視の鹿児島県知事・県議会の「地元同意」に抗議する 避難計画はずさんで要援護者を切り捨てている 避難施設は津波等の危険区域に設定されたままで違法状態 巨大噴火の予測は不可能との火山学会の警告も無視 2014年11月7日 本日11月7日、鹿児島県議会は川内原発再稼働賛成の陳情を可決し、伊藤知事も再稼働に同意を表明した。福島原発事故が収束の目途すら立たない中で、県内の住民説明会での反対意見、いちき串木野市での住民の過半数を超える署名、周辺自治体からの再稼働反対・廃炉決議等に示された、多くの県民の反対の声を踏みにじる行為に強く抗議する。 避難計画は、実効性がなく、住民の被ばくを避けることはできない。要援護者の避難先さえ決まっていない。さらに、一時避難場所や避難所の一部は、津波等の危険区域に指定されたままであり、住民の安全を守ることはできず、4月に改正された災害対策基本法等に違反した状態のまま放置されている。重大事故時に、避難先がないという事態を招きかねず、住民の安全を守ることはできない。 日本火山学会は11月3日、巨大噴火の予測が可能であることを前提にした原子力規制委員会の火山影響評価ガイドの見直しを提言した。火山学会原子力対応委員長は、川内原発の火山審査についても批判している。九州電力は鹿児島県議会において、巨大噴火の前兆は数十年前に現れ、核燃料の搬出に十分に間に合うとの見解を根拠なく示し、伊藤知事もこの説明を受けて、火山リスクは問題がないとしていた。 しかし、この見解は、火山の専門家による科学的知見とはかけ離れたものであり、これを鵜呑みにしては、県民の安全を守ることはできない。 川内原発の保安規定の審査は続いている。モニタリングや核燃料搬出方針など具体的な検討はまだこれからである。原子力規制委員会は、火山学会の提言を受け止め、川内原発の審査を止め、火山ガイドの見直しに着手しなければならない。 このような状況であるにもかかわらず、安全性を軽視し、民意を踏みにじる再稼働同意は許されるものではない。 鹿児島・九州・全国の運動が一層連携して、川内原発の再稼働を止めよう。 2014年11月7日 反原発・かごましネット/避難計画を考える緊急署名の会(いちき串木野市)/ 原発避難計画を考える水俣の会/玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める 裁判の会/美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会/グリーン・アクション/ グリーンピース・ジャパン/福島老朽原発を考える会/FoE Japan/原子力規制 を監視する市民の会 連絡先:グリーン・アクション(スミス Tel: 090-3620-9251) ---------------------------------------------------------------------------- アイリーン・美緒子・スミス グリーン・アクション 〒606-8203 京都市左京区田中関田町22-75-103 email: amsmith@gol.com skype: amsmith123 URL: http://www.greenaction-japan.org/ 論評 鹿児島県議会5.6.7日の行動 10月28日、薩摩川内市議会での川内原発再稼働請願が採択され、それに続き市長は再稼働受け入れを表明しました。そして11月5〜7日の臨時鹿児島県議会で再稼働推進請願が採択され、7日には伊藤鹿児島県知事が川内原発再稼働受け入れを表明しました。 私は、福島原発事故緊急会議からの派遣として、11月5日夕方の鹿児島市繁華街・天文館での情宣活動から鹿児島での緊急行動に合流し、6日は終日(午前9時から、夜中の12時過ぎまで)、県議会原発対策特別委員会の傍聴(と言っても午後11時過ぎまでは、「音声」だけでの別室での「傍聴」)を行い、7日は県議会・県庁前での集会に参加しました。 詳しいことはまた報告しますが、傍聴してはっきりしたことは、 「住民の理解」「安全対策」「避難対策」「同意を要する自治体の範囲」といったテーマすべてにおいて、とりわけ薩摩川内の住民の多くが同意をしていないことであり、その民意をごまかすために、さまざまなインチキな操作と「既成事実」先行の強引なやり方が、政府主導で進められてきたことです。 薩摩川内市が「おおむね住民の理解を得られた」という理由にしている、説明会に参加した住民へのアンケートを鹿児島県議会に提示された資料で見た時、そのいい加減さをあらためて実感しました(たとえば説明のどこが分かりませんでしたか、と質問を行い、それに答えなかった人は「分かった」と判断し、「分からない」人は30%程度だから、「再稼働への理解」は進んでいると強引に主張しているのです)。 もともと、薩摩川内市議会での委員会・全体会での討議・採択は11月と想定されており、鹿児島県議会での討議・採択も12月と言われておりました。それが前だおしになったのは、安倍政権の焦りに満ちた圧力があったと考えられるのは当然でしょう。 5日、6日の行動は、青森、福島、首都圏、富山、愛媛、そして鹿児島の人などふくめて6〜70人の結集だっと思いますがが、7日の行動には朝から全九州や中国をふくめて400人以上が参加し、本会議での「再稼働」推進請願採択に対しては、議場で全員が「再稼働NO」のプラカードをかかげてシュプレヒコールをあげました。全国から寄せられた30数枚の横断幕も壮感でした。 この日は、鹿児島の若い人びと(天文館アトムズ)の元気な活動が目だっていました。また全体の行動を通して10月30日に県庁敷地内に鹿児島の人たちが建て上げたテントが決定的に重要な役割を果たしたことは、川内原発直近の久美崎海岸に設置された「脱原発テント6号店」とともに特筆すべきでしょう。 なお、あらためて浮上しているのは再稼働にあたっての立地自治体の範囲です。 政府や電力会社は、立地都道府県・市町村の同意だけでOKとしているのに対し、川内原発に最も近い場所で5キロしか離れてうないいちき串木野市、30キロ圏内の日置市、姶良市も「再稼働」にあったての同意、あるいは再稼働そのものへの反対を求めています。 11月6日の衆院原子力問題調査特別委員会で、菅直人議員の質問に対して東電の姉川常務が「30キロ圏内の自治体に理解してもらえない場合は再稼働の条件を満たさない」と答え、その発言を菅官房長官を必死になって否定していることは、この問題の重要さを知らせています。 午後の集会で、私は、この間の九電東京支社行動などについて紹介しましたが、「川内原発再稼働」はこれで決まったわけではなく、何よりも薩摩川内市民の多くが再稼働や、「原発を前提にしたまちづくり」に疑問をふくらませている現在、これからが本番であると考えなければならないでしょう。(K) Created by staff01. Last modified on 2014-11-08 09:55:03 Copyright: Default |