企画展「われわれは〈リアル〉である」〜弾圧・戦争へと向かう今こそ振り返りたい美術展 | |||||||
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弾圧・戦争へと向かう今こそ振り返りたい美術展壱花花「武蔵野市立吉祥寺美術館」で開催中の企画展「われわれは〈リアル〉である 1920s −1950s」では、1920年代から50年代までのプロレタリア美術運動からル ポルタージュ絵画運動までの作品が展示されている。図録に記された開催趣旨に よると、これらの作品は従来、「特定の政治的思想と密にかかわったものであっ たこと」や「<戦争画>の評価や展示を巡っては、未だ議論が慎重になされている 途上」という理由から、「美術展として正面から取り上げられる機会はあまりな かった」という。美術に関心のある人はもちろん、労働運動・反戦運動に取り組 む諸氏にもぜひ見てほしい貴重な展覧会だ。 展示室は戦前・戦中・戦後の3区分に分かれ、それぞれの時代で活躍した作家 の作品が展示されている。特に注目していただきたいのが戦前の「プロレタリア 美術運動とその時代」のコーナー。当時は民衆運動・労働運動が高まりを見せ、 その主張を訴える手段としてポスターや漫画が積極的に活用されていた。望月 桂、柳瀬正夢、須山計一…彼らの描く労働者は力強く(マチスモを感じるが)、 そして「あの時代にここまで表現できたのか」とその自由さに驚きを感じるだろ う。なお、須山計一は『無産者新聞』に漫画「アジ太プロ吉」を連載していたこ とがあるが、それについては私の過去のブログで触れているのでご覧いただきた い。http://18787.blog63.fc2.com/blog-entry-133.html 柳瀬正夢の「金持ち教育」という漫画は1931年の作品だが、隣の工場の労働者 へ向けてビラの束を放り投げたり、追いかけてくる警官に木の看板を投げつけた りと、厳しい弾圧から逃れるために労働者は体を張って闘っていた。日本プロレ タリア美術家同盟の『美術新聞』には、刃物を振りかざす資本家らしき人物の手 を引っ張り、「支那から手を引け!」と訴える労働者の漫画も。排外主義・ナ ショナリズムが台頭しつつある現在、労働者が取るべきインターナショナルな立 ち位置を示してくれる。 戦中のコーナーでは、画家たちが翼賛体制に組み込まれ、日本軍の戦闘場面や 銃後の勤労の姿を描いた絵が展示されている。先述の須山計一は治安維持法違反 で検挙・起訴された後は、「鍛工作業」(1943年)や「仕上げの女達」(1943 年・写真)など仕事に勤しむ労働者の姿を油絵で描き、展覧会に入選している。 戦後のコーナーでは、浜田知明、池田龍雄、中村宏などの作品の他、各地の工 場や職場でのサークル活動の機関誌を展示。1960年代の国鉄漫画集団や日新製鋼 労組マンガサークルの作品集など、労働組合活動と文化活動が密接だった時代の 空気を感じることができるだろう。 ・会期は6月29日まで(6月25日は休館) *筆者紹介=壱花花(風刺漫画家・『でじゃぶーな人たち 風刺漫画2006―2013』好評発売中) 壱花花HP Created by staff01. Last modified on 2014-06-10 16:49:03 Copyright: Default |