テント裁判第2回レポート 〜経産省・国が前代未聞の大失態 | |||||||
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報告=松元ちえ 脱原発テントの撤去を求める裁判の東京地裁第二回公判で、とんでもない事実誤認が判明した。 7月22日に開かれた公判で、テント側の代理人が指摘したのは、経済産業省が名指しで所有地の占有責任と賠償金1100万円を求めている被告二人のうち正清太一さんが、別のテントスタッフだったということだった。 経産省は、テント占有の事実を訴えるため、テント前で行われたハンガーストライキや記者会見などの様子がわかる写真を数点証拠として提示しているが、そこに指定されている人物は渕上太郎さんと、正清さんではない別の人物だった。 しかし訴状は写真上の人物誤認にとどまらず、通して基本的事実関係に間違えが散見される、と河合弘之弁護士が主張した。この指摘がされると傍聴席からは笑い声がもれた。 河合弁護士(写真右)は、これについて訴状の半分ほどが全くの虚偽に当たることを説明。「これからの審議に深くかかわる」として訴訟の取り下げと、原告に対して勧告を発令するよう裁判所に求めた。 「原告としてやるべきことをやらず、いい加減な裁判をおこしている。こういうところが原発を扱っていると思うと怖い」と裁判後の記者会見で河合弁護士は語り、今回の件を「(経産省と国の)前代未聞の大失態」だと呼んだ。 裁判の争点は、テントが建ててある土地は国に所有権があること、指名されている二名がその土地を占有しているのでテントを撤去し、それによって生じた損害賠償金1100万円の支払いを求めている点だ。 それに対してテント側代理人は、この場所が原発災害被災者のみでなく、日本国内で反原発を訴えている人々の意思表示の場であり、それを撤去することは公共性と公益性にかかわると訴えた。また、これまで「原子力ムラ」の関係機関が金をつぎ込んで原発に関する事実を隠ぺい・婉曲してきたように、「原子力マネー」で市民の自由な意思表示を封じ込めようとしているとも指摘した。 経産省は、自民党が40年にもわたって駐車場として不法占拠している場所に関しては、損害賠償訴訟も撤去も求めてこなかった。しかし一方で、原発の存在を問う市民らが集う場所をとって、国の所有地を占有しているから、それによって生じる損害を支払えと言うのは不当であるとも訴えた。 本来、不法土地占有を訴えるのであれば、福島の被災女性たちが「とつきとおかの座り込み」のときに建てた第二テントに関しても同様にするべきである。しかし、そうすれば国民の怒りと憎悪を買うことをわかっているからこそ、第一テントの、しかもスタッフ二名に限定しているのだ。 「特定の団体には貸し出さないと経産省は主張しているが、経産省はこれまで事業者とは二人三脚を続けている」とのテント側の主張はもっともである。また、今回の裁判をSLAPP訴訟だとも主張している。 経産省も訴状で記述しているように、当初からテントがある場所は国民が自由に行き来し、交流を深めるためにある。テントが建てられてから二年以上、テントはまさに「国民に開かれた場所」として維持されてきた。 第二回公判は傍聴席がおよそ90ある大法廷で開かれ、327人がかけつけた。 公判前は、裁判所前で集会も開かれ、傍聴にかけつけた福島の被災女性たちは先日行われた参議院選挙に触れ、「父親から自民党に入れろとずっと言われ続け、ずっと自民党しかないと思っていたが、とんでもないことをしていたと気付いた。今、そう信じている人たちも勉強してほしい」と訴えた。また、郡山市から上京した黒田節子さんは、脱原発の活動を始めてから仕事量が激減してしまった女性の例をあげ、「私たちはすべてを賭けて東京で訴えるために通っている」と話した。 河合弁護士は、選挙の結果を振り返り「多くの人たちが目先の利益のために自民党に投票したが、私たちは目の前のことに一喜一憂してはいけない。この裁判を闘っているだけですでに勝っているということ。こういうときこそ粘り強く訴え続けることだ。論理や倫理的には私たちは勝っている。自信をもとう」と呼びかけた。 次回公判は9月12日。 Created by staff01. Last modified on 2013-07-22 21:58:15 Copyright: Default |