感想 : 「国旗に一礼しない村長」のお話 | |||||||
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「国旗に一礼しない村長」を聞く笠原眞弓「『国旗』というものに一定の価値を見出し、強要することは、日本を『誇れる国』から遠ざけること」「国旗に敬意を示すことは、国家が上にあり、その下に個人がいるということ。日本という国に対してすばらしい、誇りに思うということが自然な愛国心だと思う。それは『国旗』に礼をすることではない」と、国分寺であった「河原井さん・根津さんの「君が代」解雇をさせない会」で曽我逸郎(そが いつろう)中川村村長は語った。 1955年生まれの曽我さんは、大学入学の頃、学生の社会運動が急速に下火になり、世間を騒がせた新興宗教が大学の中で広がっていく頃だった。卒業後は広告会社の電通で活躍し、02年に中川村(「日本で最も美しい村」連合に5年前認定)に移住する。電通時代は電力会社の担当を、学生時代に聞いた被爆労働者のことを思って、そのような会社の宣伝はできないと断った経歴を持っている。 中川村を気に入り10年ほど前に家族と移住。その後市町村合併問題が起こり合併しないことになったが、推進派の対立候補として1期のつもりで出馬、当選する。いま、2期目。こうして講演に来るのも「無名であれば誰も耳を傾けてくれなくても、村長という肩書きがあると、あちこちか声が掛かるから今のうちに話している」と笑わせる。 【議論をすることで、「深い納得」にたどり着く】 彼が大事にしていることのひとつに、「違う意見を言い合うこと」、つまり議論することがある。違うかな?と思っても、理路整然と説明できないから黙っているというのでは、議論が深まらない。「よくわからないけれど、違う気がする」という感覚は大事で、そのまま発言したら、ほかの人がその違和感への答えを言ってくれるかもしれない。「和が大事」などと言って、異見を封じ込めては、せっかくの自分の考えを深めるチャンスを失う。新憲法の草案にも、「和」について書いてあるが、かつての上司で「和」を言う人は批判や意見を言われるのが嫌な人だった。自分の意見を公表して批判に晒し、それに反論する中で自分の考えの甘さや論理の飛躍に気づいたりする。 そういう思想に則って、曽我さんは村長に就任すると、村の公式HPに「村長の部屋」を設け、「村長への手紙」コーナーもつくった。そこには、日常的な事から、国旗一礼に関する意見まで、掲載されている。 【議会での問答】 国旗に対する礼について議会で話題になったのは、昨年の6月。ひとりの議員の率直な疑問からだった。この報告を書くにあたり議事録を改めて読むと、「質問者の公人と個人の考え方を分けて、公人として礼をするべきだ」という議員に対し、公人であろうと個人であろうと、立場や場の空気に従うのが大人という考えだと、いつの間にか「今は万歳するのね」みたいになり、以前のように気がついたら戦争に進んでいて、止められなくなっているのではと答弁している。 この答えでもわかるように、曽我さんは一貫して自分で考えて行動せよといっている。ちなみに、最近の教育界の風潮は「考える人」を育てないことと聞いた。つくば市に教育大学が移転して、『筑波大学』となった時のコンセプトは、学生運動、社会活動をしにくい環境と、教育大学の助手をしていて、結局筑波への移籍を断った人から当時聞いたことがある。ある程度成功しているのではないか。 しかし、真に必要としている人材は、その真逆であろう。村長として教育には口出しはしないと何回も言っていた村長は、教育の政治からの自立を言っていたのであろう。 【醸し出される人柄】 初めてお会いするにもかかわらず、こちらの警戒心を融かしてしまうような柔らかな笑顔で曽我さんは座っていた私に微笑みかけた。一体どのような経歴の持ち主なのだろう。講演の中で出てくる仏教用語、また本人の話す釈迦の考え方、今も仏教の勉強をしているという言葉などから、思想の背景が垣間見えた。 曽我さんを知ったのは、福島の原発の爆発前の11年の2月、長野県の村長がTPP反対デモを仕掛けたと知ったとき。それ以来気になっていたが、今回初めてお目にかかれた。 表題の「国旗に一礼しない村長」の下には、「頭ごなしの押し付け、型にはめようとする風潮 あなたはどう思いますか」と続く。安倍内閣になって政治がより遠くなり、考えられない考えや行動をする政界、財界、教育界その他の人々のニュースにあふれる中で、日本人の良心のような方におめにかかれた。久しぶりに「人を信じられる」と、浮き立つような気分になった。 この講演を企画してくださった方々に深く感謝したい。 Created by staff01. Last modified on 2013-01-28 23:52:09 Copyright: Default |