報告 : 園良太「威力業務妨害事件」初公判に80人 | |||||||
Menu
おしらせ
・レイバーフェスタ2024(12/25) ・レイバーネットTV(11/13) ・あるくラジオ(10/10) ・川柳班(11/22) ・ブッククラブ(10/12) ・シネクラブ(9/1) ・ねりまの会(10/12) ・フィールドワーク(足尾報告) ・三多摩レイバー映画祭 ・夏期合宿(8/24) ・レイバーネット動画 ●「太田昌国のコラム」第96回(2024/11/15) ●〔週刊 本の発見〕第368回(2024/11/21) ●「根津公子の都教委傍聴記」(2024/11/14) ●川柳「笑い茸」NO.157(2024/9/26) ●フランス発・グローバルニュース第14回(2024/10/20) ●「飛幡祐規 パリの窓から」第95回(2024/9/10) ●「美術館めぐり」第4回(2024/10/28) ★カンパのお願い ■メディア系サイト 原子力資料情報室・たんぽぽ舎・岩上チャンネル(IWJ)・福島事故緊急会議・OurPlanet-TV・経産省前テントひろば・フクロウFoEチャンネル・田中龍作ジャーナル・UPLAN動画・NO HATE TV・なにぬねノンちゃんねる・市民メディア放送局・ニュース打破配信プロジェクト・デモクラシータイムス・The Interschool Journal・湯本雅典HP・アリの一言・デモリサTV・ボトムアップCH・共同テーブル・反貧困ネットワーク・JAL青空チャンネル・川島進ch・独立言論フォーラム・ポリタスTV・choose life project・一月万冊・ArcTimes・ちきゅう座・総がかり行動・市民連合・NPA-TV・こばと通信
|
暴露された「運動つぶし」の狙い〜園良太「威力業務妨害事件」初公判に80人「職業は?」「フリーターです」。東京地裁・村山浩昭裁判長の人定質問から被告・園良太さんの「威力業務妨害」事件の初公判が、5月18日午前10時より始まった。検察官は冒頭、園さんが「2月9日、江東区役所内で“江東区は野宿者への暴力をやめろ”など大声でどなるなどして、職員の業務を妨害した」と公訴理由を述べた。これに対して園さんは、30分にわたって堂々と意見陳述。野宿者は利益最優先の社会構造の中で生み出された弱者であること、江東区は弱者救済どころか堅川河川敷の野宿者を排除するために6年にわたり暴力行為を行ってきたこと、そして園さんらが交渉申し入れに区役所窓口に行ったら、逆に職員に宙づりにされ強制排除されたことなどを生々しく語った。 排除され入口でやりあっているときに、園さんは腹立ちまぎれに建物のガラスを蹴って割ってしまった。そのため当初「器物損壊」の現行犯として逮捕されたが、起訴の段階では「犯罪事実」が大きく変わっていた。「器物破損」はすでに弁済したため争いが難しい。そこで検察があらたに持ちだしたのが「威力業務妨害罪」だった。「なんとしてでも園を起訴する」という権力の意図は明確だった。脱原発運動でも活躍していた園良太さんは、権力にとって目障りな存在だったのだろう。しかし大声でどなって抗議することが犯罪になるのだろうか。
被告弁護団の上杉崇子(たかこ)弁護士は「この事件は、支援者の抗議行動が事件化されたもの。問題の根っこは話し合いの約束を反故にして江東区が野宿者の暴力排除をしたことにある」と区側にこそ問題があると指摘した。続いて大口昭彦弁護士も「弁償で被害の回復はなされ普通はこれで終わりのはず。江東区にとって支援運動が野宿者政策の障害になっている。また公安警察も野宿者運動を警戒している。今回は事案を無理に拡大して、運動弾圧に活用しようとしているのは明らか」とこの事件の本質に迫った。検察側は、「事件の証拠として区役所内のやりとりを撮影したDVDを提出したい」としたが、被告弁護側はただちに立ち上がって反論。「撮影は本人に無断でカウンター越しに録画されたもの。憲法上も問題で、違法収集証拠で無効だ」と述べると検察側もおたおたしてしまった。 初公判の429号法廷は、ボディチェックまでされる「警備法廷」で、傍聴席38席も後ろと前から約10人の警備員の監視つきだ。拍手をしようものなら「拍手をやめろ!やめろ!」とすごい剣幕でどなってくる。いっぽう傍聴できなかった人たち約40人は、法廷入り口の廊下で待機を強いられていた。かれらは「園さんに会わせろ」「傍聴させろ」「大きな法廷に移せ」など断続的にシュプレヒコールを上げた。その声は、法廷内にもかすかに聞こえ、園さんはそのたびに笑みを浮かべていた。大口弁護士は、それを受けて「外に40人入れない人がいて、廊下で問題になっている。傍聴人の交代を求めたい。大法廷が使えないならそれくらいやるべき。裁判の公開という点からもいいはずだ」と村山裁判長に迫った。裁判長は、最初「裁判所で決めたことで変えられない」としていたが、大口弁護士の再三の要請に「弁護人の気持ちはわかる。ご意見は承る」と答えざるをえなかった。 この日の裁判は、冒頭陳述のほか、証拠の採用、今後の証人尋問の進め方などが話し合われ、2時間をこえる法廷となった。一連の弁論の中で浮き彫りになったのは、検察・行政の「運動つぶし」の狙いだった。12時すぎの終了とともに傍聴支援者は園さんに手をふり「がんばれ」の掛け声とエールの交換があった。裁判所の警備職員約20人は、それをさせまいと法廷内になだれこんで、傍聴人と被告との間に壁をつくり必至に妨害していた。こうして初公判は、園被告・弁護団・支援傍聴者約80人が一体となって、法廷全体をリードする雰囲気のうちに終わった。 その後、お隣の弁護士会館で報告集会があった(写真上)。救援事務局から、「170万円の救援カンパが集まっているが、保釈金など考えるとより一層のカンパをお願いしたい」等のアピールがあった。また堅川河川敷で強制排除された野宿者2名(写真下)も参加、「堅川で園さんに応援してもらったことはけして忘れない。きょうの園さんの陳述を聞いて涙が出た。みんなでかれを支援していこう」と語った。 多くの出来事が詰まった初公判の日だったが、最後に触れておきたいのは、警察のものものしい警備だった。裁判所前の道路に警察車両が6台も横付けされている光景は、私には初めてだった。(写真下) また、午前9時半の傍聴抽選のときには、20人以上の私服警官が近くに陣取り(写真下)、メモ用紙を片手に傍聴に並ぶ人たちのチェックを続けていた。「カチカチカウンター」を手に人数を数えている私服警官もいた。 警察車両で待機する人数を含めれば、この日100名以上の警官が動員されていたはずだ。公安警察がこれほどまでに重視する「園良太・威力業務妨害事件」とは、いったい何なのか。国家権力の暴走はどこまで続くのか。いずれにしろ目が離せない展開になることは間違いない。次回は、6月1日(金)午後1時半、次々回は6月11日(月)午後1時半、429号法廷で証人尋問が予定されている。(M) Created by staff01. Last modified on 2012-05-19 14:48:39 Copyright: Default |