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LNJ Logo 市役所「すぐやる課」で改めて南相馬の「非常事態」を知る
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南相馬市ボランティア報告(2)

↑ 人気のいない駅前通りの朝の8時半(原町駅前通り)

 13日午前8時半に南相馬市福祉協議会にある災害ボランティアセンターに100名あまりの全国からのボランティアがいっぱいに詰めかけていた。自宅退避者への物資供給、避難所の炊き出し、保育や塾、がれき掃除、「思い出お返し隊」などの仕事が説明された。リーダーから各班の仕事の内容が紹介され、最後に若いボランティア隊長があいさつした。市民はすでに助けられる存在から自ら自立して再建に立ち上がる段階にある。ボランティは市民たちの再建事業の支援に協力していただきたい。私は「そうなのか?」と疑問に思ったが、実態はボランティを通して分るだろうと了解した。
 私が選んだ仕事は「事務仕事」であった。「事務」のリーダーの女性が市役所の「すぐやる課」の窓口の仕事だと教えてくれた。「事務」担当の3人で一緒に市役所に歩いて向かった。町はほとんどの店が閉じられ、歩いている人はほとんどいない。車もまばらだ。9時過ぎに市役所到着。窓口はすでに多くの市民が駆けつけていた。「被災証明書」の発行がメインの仕事であった。申請しようとする市民への応対を傍で見ていて、すぐに応対の現場に立たされた。30分で市役所の職員になったのだ。もちろん発行の実務は本職がやってくれる。ボランティアの仕事は申請を受け付け、発効された証明書を「交付」するだけである。しかし、受付に来る市民の要望は被災証明書にとどまらず、さまざまな要求が出される。用件を聞き、それを正規職員に伝えることも私たちの仕事である。
 とくに一昨日出された緊急避難計画の対象地区の問い合わせや義援金の受けとりなどの重要な質問には答えられない。しかし、市民の切実な質問に「わかりません」とにべなく追い返すことなどできない。職員の説明を聞いて回答していかねばならない。いったん避難した市民が、長期になって戻ってきているそうだ。現在人口7万余のうち、2万6千人が市に滞在しているという。午後4時までほとんど休憩のない緊張する長い立ち仕事であった。リーダーの女性に「足がくたびれた」というと、彼女も同じだったと答え、少し安心した。彼女ももうひとりの中年男性も今日でボランティアを終え、明日から私が「リーダー」になる。何と1日でリーダーになり、新しいボランティアに市役所の担当仕事を「指導」しなければならないのだ。まるで信じられないが、南相馬はそういう「非常事態」であることを今更に理解しなければならなかった。
 ボランティアに一緒に来たボランティアの同年輩の新井克己さんの仕事が「思い出お返し隊」であったと話してくれた。津波と地震の崩壊現場で見つけられた個人の思い出の品をきれいに掃除して本人に返す作業だそうだ。その作業の写真を2枚掲載する。一緒に来た女性二人は避難所の料理作りであった。食品のカンパはたくさん集まっているそうだ。彼女らは明日で2日間の作業を終えて帰還する。(この報告はまた明日に続く)

↑ 朝のミーティングにボランティア100余名が集まった

↑ 情熱的に語ったボランティアのリーダーの青年

↑ 活気にあふれるボランティアセンター受付周辺(夕方)

↑ 「思い出お返し隊」の作業風景

↑ 発掘された被災者の思い出の品の1つアルバム

↑ 活発な出入りの市役所

↑ 混雑する「すぐやる課」窓口

 <文写真・高幣真公、写真・新井克己>


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