リバティスクエアで分かったこと:「ウォール街を占拠せよ」急成長の理由 | |||||||
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ニューヨーク日本総領事館がウォール街占拠運動に「興味本位で絶対に近づかない」よう呼びかけています(以下に引用)。これは抗議活動に一面的に危ないという印象を与える偏った内容だと思います。成熟した人なら何が問題になっているのか自分の眼で見て自分で考えるでしょう。リバティスクエア(リバティプラザ、ズコッティパーク)は公共の場であり、ただそこ入ったからといって逮捕されるようなことはありません。 在ニューヨーク日本国総領事館のHPより-------------------------- 在留邦人及び旅行者のみなさまへ報道されているとおり、ニューヨークのウォール街で失業率の高さや政府の経済政策に抗議するデモが広がっており、10月1日、デモ隊が近くのブルックリン橋の車道を占拠し、およそ500人から700人が拘束され、橋の一部が数時間にわたり閉鎖される事態となりました。 また、デモ参加者はマンハッタン金融地区にあるズコッティ公園(Zuccotti Park)や周辺へ発電機を持ち込むなどしてキャンプを張っており、引き続き大規模なデモが発生する可能性もある状況となっております。 つきましては、ウオール街及びその周辺地域へ行かれる際は、以下の点に十分留意し、安全の確保に努めてください。 (1) 報道等から最新の情報の入手に努める。 (2) ウォール街及びその周辺への不要不急な訪問は避ける。 (3) デモ行進や、大勢で騒いでいるような場面を見かけたら、興味本位で絶対に近づかない。 2011年10月3日 ------------------------ ということで、情報をマスコミではなくツイッターや独立メディアから集め、他にウォール街に行く用事はありませんでしたが、占拠運動に興味をもったのでリバティスクエアに近づいてみました。 10月4日は特に目立ったイベントはありませんでしたが、午後早い時間帯にだいたい300人近くの参加者がいました。プラカードをもって通りに向かって立っている人、テントや寝袋でくつろいでいる人、フードセクションで無料ピザやリンゴを食べている人、誰かが大量に持ってきた本を読んでいる人、打楽器の演奏で盛り上がっている人、突然プラザ周辺をデモする人。スーツ姿から10代の若者までいろんな人が基本的には自由にやりたいことをやっている感じですが、すでに居住コミュニティ(村?)としての日常がそこにありました。食料・衣料品・寝具などの物資がドネーションで持ち込まれ積まれています。参加者や通行人との対話もかなり活発におこなわれていました。またメディアセンターが常設されていて、カメラをもった人がいろいろ聞いて回ってリアルタイムにストリーミング放送しています。突然人だかりができたので行ってみると映画監督のマイケル・ムーアさんがいました。僕はただの参加者でここにいる人たちと同じ立場なんだから他の人たちの言葉を聞いてよ、他の人たちの苦悩をちゃんと聞くべきだよ、みたいなことを言っていました。スーザン・サランドンやレディオヘッドなどの著名人もこの占拠運動を支持しています。 ウォール街占拠では一体何が問われているのでしょうか。実はこの運動は中心的な組織も公式HPもなく公式の要求もありません。あえてリーダーや公式的なものを作らないようにしています。最低限のオーガナイズを水平的にボランティアが行っているだけで、基本的には参加者が自由に言いたいことを表現します。これは興味深い点だと思います。ただ、そうはいってもほとんどの人に共有された問題意識があることは、リバティスクエアで何人かの人と話せばすぐに気づくことです。それは雇用不安や借金づけの経済が限界に来て多数の人々が崖っぷちに立たされているということ、その原因は一握りの株主・企業経営者やそれと癒着した政治家などの富裕層が政治経済を支配して自分勝手な政策をやってきたことにあり、強欲・利益が人間の尊厳よりも優先される現在の行き過ぎた資本主義を変えなければ明るい未来はない、といった思いです。富裕層の進めてきた新自由主義政策(自由市場が何でも解決するという考え)は完全に誤りでした。ミドルクラス幻想はもはや米国でも色あせていて、ほんの一握りの富裕層と虐げられた我らという階級感覚が生まれています。「私達が99%だ」という一番人気のあるスローガンがそのことを象徴的に示しています。この感覚が多くの人に共有されているからこそ、占拠運動への支持が広がっているのだと思います。さしあたって金持ち・大企業・国際金融取引への課税強化の要求が強まっていますが、それは議論の始まりでしかないと思います。 この運動の「占拠」とは自分の権益のための排除ではなくその場所に居続けて表現と交流の場を維持すること、しかも政治経済システムの中枢で支配的な文化とは異質な解放的空間を創造すること、それをキャンプ村をつくって毎日持続させることで、様々な人や団体が連帯行動を入れ替わり行い運動が拡大していくこと、これがこの運動の斬新なポイントだと思います。常時数十人がキャンプで寝泊まりしていますが、入れ替わりを考えると数百人はいます。子供がいるので寝泊まりは無理だがほぼ毎日仕事帰りに少し立ち寄るんだと話してくれた人もいました。警察はリバティスクエアの「占拠」については基本的に不介入の姿勢をとっています。デモが大きくなりストリートに人が氾濫すると警察による暴力事件が発生しますが、占拠そのものには手出ししていません。デモへの弾圧が逆効果になっていることには警察は気づいていないようですが、世間の注目と共感の高まりがリバティスクエアを支え守っているのは確かだと思います。 10月5日にはニューヨークで労働組合・コミュニティ団体・学生グループなどリベラル派の中心部隊が初めて「ウォール街を占拠せよ」への連帯デモを実施し、2〜3万人が市庁舎付近のフォーレイスクエアに集結しました。現在、全米に拡大している占拠運動を表明している主な労組は以下の通り。 New York State United Teachers(教職員60万人)〜NYCのUnited Federation of Teachers, CUNY PSCを含む American Federation for State, County, and Municipal Workers (公共部門職員160万人) Service Employees International Union Local 1199 (医療福祉30万人)〜食料・衣類を大量に支援している SEIU Local 32BJ(ビル保管警備12万人) Transport Workers Union Local 100 (鉄道バス6万人) Communications Workers of America(通信メディア70万人) Greater Boston Labor Council(地域連合9万人) AFL-CIO President Richard Trumka(個人として) 非公式HP: Adbusters 非公式HP: OccupyWallSt.org 非公式ストリーミング: Global Revolution (いつでもどこからでもリアルタイムに視聴できます) Created by JNK. Last modified on 2011-10-06 19:10:47 Copyright: Default |