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LNJ Logo 脅かされる表現の自由〜「ザ・コーヴ」上映中止問題
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坂井貴司です。
 
 和歌山県太地町で行われているイルカ猟を隠し撮りしたドキュメンタリー映画
 
 「ザ・コーヴ」 ルイ・シホヨス監督
 http://thecove-2010.com/
 
は第82回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を始め24の賞を受賞した話題
作です。世界中で上映され、大きな反響を呼んでいます。

 さて、この映画の日本上映が危ぶまれています。
 
 在特会とともに朝鮮学校襲撃を行っている
 
 「主権回復を目指す会」
 http://www.shukenkaifuku.com/

などの右翼組織やその支持者達が、「こんな反日映画を上映するな!」と上映を
予定していたシネマート六本木(東京)とシネマート心斎橋(大阪)に電話攻撃
を行い、上映中止に追い込みました。

「『ザ・コーヴ』 上映中止劇場追加のお知らせ」
http://thecove.sblo.jp/article/38759574.html

 「主権回復を目指す会」は、またこの映画の日本配給元であるアンプラグドの
社長である加藤武史さん宅に押しかけました。
 
 反日映画・『ザ・コーヴ』の上映を粉砕せよ !第二弾
『ザ・コーヴ』上映は日本人への精神テロ攻撃だ
<欧米白人の下僕を演ずる配給会社・(株)アンプラグドを解散に追い込め>
http://www.shukenkaifuku.com/KoudouKatudou/2010/100419.html

 警察が出動する騒ぎになりました。その様子は、朝鮮学校襲撃とまったく同じ
です。加藤社長をテロリスト・売国奴と罵っています。
 
 一連の上映中止騒動は以下のサイトが詳しく記録しています。
 
 まどぎわ通信(跡地)
 2010/06/03 特報「ザ・コーヴ」上映中止問題
 http://d.hatena.ne.jp/madogiwa2/20100603
 
 
 「ザ・コーブ」は福岡県福岡市の
 
 KBCシネマ
 http://www.h6.dion.ne.jp/~kbccine/
 
でも上映が予定されています。

 先日、前売り券を購入しようとした所、
 
 「この映画は東京と大阪で上映が中止になりました。実は本館でも上映を中止
するかどうか検討中です。それでも購入されますか」
 
と言われました。このようなことを言われたことは初めてです。

 私は「観てから文句を言うべきです。ぜひ上映してください。私はこの映画を
観たいので購入します」

と前売り券を買いました。

 私は捕鯨及びイルカ猟には賛成です。鯨肉やイルカの肉を食べるために猟をす
ることを野蛮だの、環境破壊だのと言うことは間違っています。1980年代、
欧米で反捕鯨運動が盛り上がり、折からの貿易摩擦と故意に結びつけられ、悪質
な反日プロパガンダになった事を私は記憶しています。
 
 「高度な知性を持つ鯨やイルカを殺す日本人は野蛮だ!ジャップめ、黄色いサ
ルどもめ!」
 
と人種主義出しの罵声を反捕鯨派が浴びせたことを私ははっきり憶えています。
 
 ですので、私は「ザ・コーブ」に対して、その反捕鯨・反イルカ猟の主張には
賛成できません。そして、イルカ猟現場の入場と撮影を禁止にした太地町の措置
は当然だと思います。かつて、反捕鯨・反イルカ猟の活動家たちが現場に大挙し
て押しかけ、漁を妨害し、漁師たちを犯罪者と罵り、漁の様子を撮影して「イル
カに対する虐殺を許すな!この漁師たちを許すな!」と叫んだことがあったから
です。
 
 しかし、不愉快なことを主張しているからと言って、上映中止を求めることは
完全に間違っています。してはならないことです。まず観てから文句を言うべき
です。
 
 もし「主権回復を目指す会」などがもくろむ通り、「ザ・コーブ」の日本上映
が全て中止になったら、従軍慰安婦や強制連行などをテーマにした「反日」映画
はすべて上映できなくなります。これはきわめて危険なことです。
 
 よって、KBCシネマなど上映を予定している映画館には、上映を行うよう電
話やメール、ファックスなどを送ることを皆様に要請します。
 
 今、言論及び表現の自由が愛国者を気取る連中によって脅かされていることを、
私は訴えます。
 

Created by staff01. Last modified on 2010-06-08 09:01:02 Copyright: Default

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