「北教組への狙い撃ち弾圧を許すな!」という主張に疑問を呈す | |||||||
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投稿者:東本高志 「北教組に勝手に連帯する会(会長:赤いたぬき)」さんの主張される今回の北教組事件(と、あえ て呼んでおきます)が「闘う組合である北教組への狙い撃ち弾圧」という側面はたしかにあるだろう 、とは私も思います。国家権力、そして、その中枢権力の尖兵としての検察 ・ 警察権力はどのよう な手でも使ってくるものと私たちは心得ておくべきものだと思いますので、そうした認識は必要だと 思います。 ■北教組の献金事件:弾圧を口実とした労組ならびに教員つぶしを許すな!(レイバーネット 2010 年3月2日) http://www.labornetjp.org/news/2010/1267522523582staff01 しかし、ある無党派市議(某ML)の次のような発信に私はより共感を覚えます。 「そもそも思想信条の違いのある構成員のいる労組を特定政党の候補者の支持の決定をして選挙に動 員することは、無党派の私からすると常識はずれの強制行為です。/政治の世界では、小選挙区制を やめ、民主党・自民党・共産党・社民党・国民新党・みんなの党などが支持率に応じた議席を得られ る中選挙区か比例代表にするべきです。/小沢一郎の策略に乗って導入された小選挙区制の擬制のも とに誕生した民主党政権は、自民党政権を終わらせる歴史的使命を終えた現段階では、積極的に支持 する根拠を私は感じません。(次善の消極的選択として当面維持することを認めるぐらいの気持ちで 、いたほうがよいと思います。どの政権になっても地元から住民運動をしていくのは同じです)/今 回の問題に関しては、北教祖の組合員が選挙支持決定をした北教祖執行部を罷免・交代させ、組合を 選挙からの中立させ、今回のようなことをなくすのがベストと思います」 上記のように指摘される問題を含む今回の北教組事件を「背景にあるのは選挙にはお金がかかりすぎ るという現実」(北教組に勝手に連帯する会)などというのは、私は問われている問題を不問に付し て、あらぬ方向に争点をすりかえるたぐいの論法といわなければならないだろう、と思います。 今回の北教組事件は「政治資金規正法違反容疑」事件ですが、しかし、きちんとした届け出をしてい なかった」(同上)などという軽微で形式的な違反が原因で北教組幹部が逮捕されたわけではありま せん。報道によれば、昨年8月の衆院選で民主党の小林千代美衆院議員の陣営に北教組から裏金約1 600万円が提供され、選挙費用に使われた、という労働組合から政治家への政治献金を 禁じた政治資金規正法違反容疑で逮捕されています。そして、その1600万円の資金の授受自体に ついては、小林議員側は「(北教組委員長らに)個人的にお願いした資金」(毎日新聞 2010年3月3 日)という形で、また北教組幹部側も「違法な資金提供などの事実はないと認識している」としてい るものの、「たとえ資金提供があったとしても、個人の金を寄付しただけ」(同)、という形で資金 提供の事実自体は容疑者双方とも認めている事案です。 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100303k0000e040012000c.html ちなみに労働組合から政治家への政治献金を禁じた政治資金規正法の規定は次のようなものです。「 第21条 会社、労働組合、職員団体その他の団体は、政党及び政治資金団体以外の者に対しては、政 治活動に関する寄附をしてはならない」、と明らかに労働組合からの特定の議員への寄付(政治献金 )を禁じています(注)。小林議員側も北教組幹部側もそのような条文の規定があることは知悉して いるはずですから、同規正法違反を免れようとして「個人的にお願いした資金」などと弁明している のでしょう。 しかし、小林議員側に資金提供されたとされる1600万円もの大金は、一介の公務員、 あるいは 一介の労組役員が個人的に簡単に都合がつく程度の小さな金額ではありません。 仮に都合がついた としても、個人が簡単に寄付できるほどの小さな金額でもありません。同資金は個人ではない労働組 合として用意されたものであろう、とは検察ならずとも誰もが考えるところです。今回の検察の北教 組幹部逮捕には国民に説明可能な相応の理由があるというべきなのです。それを「闘う組合である北 教組への狙い撃ち弾圧」である、などと反省もなしにただ強弁してしまうのでは、私は国民の支持は とうてい得られないだろうと思います。 注:同法では労働組合が組合活動の一環として行う政党への寄付行為自体は当然のことながら認めら れているわけですから、この規定をもって労組の政治活動を規制する法律という批判が仮にあるとす れば、その批判は当たっていないだろう、と思います。 上記で紹介した無党派市議の方が指摘されるように 「そもそも思想信条の違いのある構成員のいる 労組を特定政党の候補者の 支持の決定をして選挙に動員することは常識はずれの強制行為」だとい う労働組合運動の原点に立ち返って、 この問題の本質を考えてみるべきだろう、 と私は思います。 その反省があって、「闘う組合である北教組への狙い撃ち弾圧」という主張は生きてくるだろう、と いうのが私のこの問題の評価です。 Created by staff01. Last modified on 2010-03-04 22:22:59 Copyright: Default |