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LNJ Logo 報告:野宿者、路上生活者を支援するチャリティコンサート
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野宿者、路上生活者を支援する年末恒例のチャリティコンサートが12月13日夜、都内で開かれた。300人の観客たちはクリスマスを前に、美しい演奏と歌を存分に楽しんだ。

コンサートは毎年この時期に、支援団体「ほしのいえ」(荒川区南千住)が企画。昨年の休止で2年ぶりの開催になる。17回目の今年は「今ここに生きる 隣人とともに」とうたう。東京荒川区・町屋駅前の「ムーブ町屋」ホールは、開演前から熱気に包まれていた。

プログラムの最初は、「シルベスタークワイヤー」によるトーンチャイムの演奏。トーンチャイムは、アルミ合金製のパイプを叩いて共鳴させる楽器。やわらかく優しい音色が特徴だ。奏者一人が単音を担当するため、何よりもチームワークが重要になる。指揮の菅野真子さんは、メンバーが仲良く練習する秘訣をユーモラスに紹介した。

■奇跡の起こる社会に生きて


浅草聖ヨハネ教会司祭の下条裕章さん(写真上)は、「21分の1食」と題して講演。「21分の1食」とは、「一人1日3食×1週間」を指す。だが、食べる側にしてみればそれは1日に一度、あるいは3日に一度の食事かもしれない。つまりこの配食には、それほどの重みがあるというのだ。

台東区蔵前にある同教会に、2001年4月に赴任した。以来10年間続けてきた日曜給食は、まさに奇跡の連続だった。高齢のスタッフは当初「60食で限界」と悲鳴をあげたが、現在は600食をこなす。他の教会の支援があればこそだった。300食を超えたあたりから、教会に続く長蛇の列に周辺から苦情が出始めたという。「自立するよう説教を」「他人に迷惑をかけないよう教育を」。要望する声が伝えられるようになった。

辛抱強く食事を待つ人々に、教会側は決して活動継続のためと「人権侵害リスト(笑)」のように思われる「禁止ルール」への協力さえお願いし た。下条さんは「非難する人々も、不幸であり気の毒である」と諭す。「みんなで一緒にどうしたら食べられるのかと、相談できる関係こそ大切だ」と笑顔を絶やさない。

「この世の人たちが、不自由なく食べられて眠れる。そんな当たり前のことを享受できる社会にしたい」。「蔵前にある小さな教会を、心の片隅に覚えていてほしい」と訴える。

「私たちの命は、奇跡の起こる社会に生かされている。感謝できる歩みを続けていきたい」−−下条さんの瞳は、きらきらと輝いていた。

実行委各団体から発言があった。「山谷労働者福祉会館」の仲間は、墨田区での「資源ごみ持ち去り禁止条例」に反対する取り組みを紹介。「平和憲法を守る荒川の会」の共同代表は、「ほしのいえ」の活動にかかわった経緯を披露し、「子供たちをいじめてどうする」と朝鮮学校の完全無償化を求めた。部落解放同盟荒川支部は、重要な局面を迎える狭山裁判の、再審実現に向けた決意を述べた。

■生活をわかちあう思想

いよいよ沢知恵さんがステージに立った。沢さんは「第40回日本レコード大賞アジア音楽賞」を受賞した実力派歌手。ピアノを弾きながら「ジャンルフリー歌手と呼んでください」と自己紹介した。 この日は、代表曲「こころ」はじめ、「サンタが街にやってくる」「男はつらいよ」などオリジナルやカバー数曲を熱唱。ハスキーがかった艶やかな歌声に、会場は大きな拍手を送った。アンコールでは観客と「ふるさと」を合唱した。

「ほしのいえ」は、毎週火曜日の夜回り・炊き出しで山谷地域周辺を歩き続けている。野宿者支援の作業を通じて多くの人たちと関わり、支えられながら、「居場所」を提供しようとする。それでも、おにぎりや衣類を準備する「作業じたい」が目的ではない。集まった人たちとゆるやかに交流し、助け合い、生活を分かち合うなかで、共同意識や関係性のとり方を覚える。「一個のおにぎりがきっかけになって、人々がむすばれる」のだという。

丹念な準備が実を結び、コンサートは大成功を収めた。「自分たちだけではやりきれなかった」と「ほしのいえ」の三上一雄さんは明かす。「生きづらさのなかで、現場の声に同伴しながら、私たちが価値観を変え、一緒に生きられる社会を」と、実行委員長の中村訓子さんは力を込める。

会場はクリスマスを迎えるにふさわしい、温かな一体感に包まれた。「私たちだけが肩ひじ張ることはない。地域の人々の助けを借りればいいんだ。そしてこんなに素晴らしい取り組みになった」。三上さんの締めくくりの言葉が印象的だった。(報道部・Y)


Created by staff01. Last modified on 2010-12-20 11:39:09 Copyright: Default

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