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投稿：古田新治
足利事件においてDNAの再鑑定で菅谷利一さんが犯人ではないと証明された。再審でもほぼ無罪は確 定したといってよいだろう。だがこのことは手放しでよろこんでいいことだろうか。無罪を証明する には「犯人でない」ということを証明しなければならないという前例を作ったならば冤罪事件の解決 にはむしろ後退ではないのか。犯人ではないことを証明するにはアリバイがある。足利事件に限って いえば事件は発生199年5月12から1年半も 後1991年12月1日に逮捕されそのときのアリバイを証明することは普通の人にはほとんど不可能であ る。あなたは１年半まえの行動を覚えていますか。ある特定の日何か記憶に鮮明な出来事でもなけれ ば１年半まえの何時何分にどこにいたかを証明することはほとんど不可能なはずだ。また1994年の段 階でとうじのDNA鑑定では175人に一人がおなじ型のDNA鑑定をしめすことがあきらかになった。この 時点で犯人であるという証明はできなくなり無罪にすべきである。また自白であるがこれは数々の矛 盾がありまったく信用できない。 以下パンフレット「えん罪 足利事件」より 矛盾点！1、遺体の状況は「自白」と矛盾する 確定判決が認定した「自白」による殺害方法は、「向き合って立っている被害者の首を、丸く両手 で絞めたら20秒ほどで死亡した」ことになっています。しかしそれに対して、山形大学鈴木庸夫名誉 教授は「元被告人の自白内容はしたい所見と合致しない」とする鑑定報告書を提出しました。このな かで�ー鵑鮃覆瓩榛�跡は首の横側にあること、��鼻と口から白色の泡沫液（あぶく）がでていること �４蕁△劼供△垢佑覆匹�らだの前面に傷があること、�ご蕕�ら胸にかけて、緑がかった砂が付着して いること、が確認できると鑑定しました。これらを総合すると、被害者は背後から首を強くしつかま れて、みずたまりなどに顔を押さえつけられ水を吸い、その際、顔、ひざ、すねなど体前面の傷がで きたと推定されます。 矛盾点！2、菅谷さんを目撃した人が一人もいない 菅谷さんは、幼女に声をかける前、パチンコ店「ニュー丸の内」で３〜4時間パチンコをしたことに なっています。しかし警察が特定したパチンコ店の客400人に菅谷さんは含まれておらず、菅谷さん を目撃した人もいません。幼女に声をかけたとする景品交換所従業員も菅谷さんを目撃していません 。 菅谷さんが「幼女を自転車に乗せて、渡良瀬運動公園内を移動した」とされる時刻には、公園内にマ ラソンや」野球、ゴルフなど０の練習をする多数の人たちがいましたが、誰ひとりとして菅谷さんと 幼女を目撃していません。 矛盾点！3、犯行は時間的に不可能 午後7時３０分頃幼女を殺害し、高さ3メートルを超す葦（あし）・萱（かや）・いばらが群生する藪 の中を重い遺体を抱いてはこび、灯りもなく約40メートル離れた場所まで戻って着衣をとり、約60メ ートル離れた水辺に行って着衣を投棄し、そこから約150メートルある自転車停車場所に戻って、自 転車に乗って午後7時45分までにスーパーに立ち寄ったことになっています。ところが警察がおこな った葦などが枯れた時期（１２月）におこなわれた現場検証では、死体遺棄場所から自転車を置いた 場所まで6分7秒をようしました。しかし、葦などが密生した時期、真っ暗闇の中で照明器具も持たず 歩くと現場検証の3倍近い時間がかかることが判明、スーパー到着は8時の閉店時間に間に合わなくな ってしまいます。自白による『犯行』は不可能です。このような明白な矛盾があるにもかかわらず、 これまでいずれの裁判所も実施検証をしませんでした。 矛盾点！４、スーパーのレシートがない 「自白」によれば午後7時45分から午後8時の間、菅谷さんは「缶コーヒー5本、おにぎり2個、メンチ カツ2個いりパック2パック、瓶詰めのザーサイ」を買ったことになっていますが、それに符合するス ーパーのレシート控えは警察の捜査でも発見されませんでした。一方菅谷さんが主張する、当日午後 ３時過ぎに購入したものに符合する同スーパーのレシート控えが弁護団によって控訴審段階で見つか っています。しかし高裁、最高裁はそのことを無視しました。 矛盾点！５動機がない 菅谷さんの精神鑑定をおこなった福島章上智大学教授はすがやさんを「代償性小児性愛者」と診断し ました。それをもとに高裁判決は「本件犯行の動機を否定することはできない」と判断しています。 しかし福島鑑定は「被告人が犯人であるとの前提に立つとき」と、すでに菅谷さんがはんにんである とのしておこなわれた診断でした。菅谷さんが長期にわたって勤務した保育、幼稚園関係者の証言や 、警察官の約１年にわたる尾行「捜査」によっても、小児性愛者に結びつくような行動、挙動はまっ たく見られませんでした。すがやさんには犯行の動機はなく、犯人ではありません。 冤罪を晴らすDNA鑑定 足利事件当時の「DNA鑑定法」は初歩的なレベルのものであり、その方法でおなじパターンを示す人 間の割合は当時の足利市周辺に限ってみても2000人はいると見られます。 長い引用でしたがこれだけでも菅谷さんの無罪には十分である。DNAの再鑑定によって「犯人とは別 人である」と証明されなければ再審も認められないという裁判所のあり方が問題である。 なお不可解なのは弁護団が警察の違法捜査について対決を回避していることである以下「下野新聞よ り」 30分の面会後会見を開いた菅谷さんは「罪のない私に自白を迫った警察官や検察官を絶対許さないと 言ってきたが、私の前に来て申し訳なかったと言ってもらえれば許そうとおもう。私にわびるべきは 、誰よりもまず誤ったDNA鑑定をした技官だ」と強調した。佐藤弁護士は「本部長には丁寧な対応を していただいた。謝罪は心からの言葉だったと思う」とのべ、今後予想される国家賠償請求訴訟につ いても 「はっきりと被告になると言えるのは技官と裁判官。警察を被告にすることはたぶんない」と現時点 の方針をあきらかにした。下野新聞09.6.18 違法な捜査、強引な自白強要によって事件解決に尽くした捜査員が表彰されたり、出世したりし「後 に謝ってすむ」なら違法捜査の「やり得」となり今後の冤罪事件の「はどめ」にらないではないか。 まさに「謝ってすむなら警察はいらない」である。
Created by staff01. Last modified on 2009-06-20 17:24:13 Copyright: Default