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 JPエクスプレスへの出向・配置転換攻撃と闘おう!

パートナー宣言を破棄し、JP資本と全面的に対決する労働運動へ!

世界恐慌下、来るべき労働条件の大改悪、首切り攻撃と闘う陣形を形成しよう!

JP労組第2回全国大会代議員選挙立候補者

「人事交流=強制配転に反対する近畿郵政労働者の会」推薦

■仁田 勇(阪神支部西宮東分会)

 

<トヨタの赤字への転落の教訓>

 

サブプライムローンの破綻に端を発する「100年に一度の大不況」=世界恐慌は、日本の資本主義の強さの象徴であったトヨタをも赤字企業の奈落へと突き落とした。08年3月の決算では、2兆2703億円の日本企業としての史上最高の営業利益を計上し、正に我が世の春を謳歌していたあのトヨタが、09年3月の決算では、営業利益で4500億円、純利益で3500億円の赤字を計上することが確実になったのである。最大のその原因はもちろん自動車販売台数の急激な落ち込みである。07年3月には937万台、08年3月には987万台であった販売台数が09年3月には732万台まで落ち込むと予想されている。現在トヨタは全世界で1000万台の生産能力を有するが、実に300万台近い生産設備が過剰設備として浮上してきたのである。

 

 このことは、資本主義的競争の下での無政府的な生産は、過剰生産恐慌を必然化し、その競争の勝者と雖も、永遠の繁栄は幻想であるということを教えているだろう。トヨタは、その研究・開発費に3兆円の巨額な費用を注ぎ込み、低燃費の「プリウス」などのハイブリッド車を始めとした低価格、高性能の車を生産し、「カンバン方式」「ジャストインタイム」などの合理化によって、競争に勝ち抜いていったのだが、そうした世界に冠たる「トヨタ方式」がいつの間にか巨大な過剰生産をもたらしていたのである。商品が売れなかったからではなく、売れに売れたから、競争に負けたのでは無く、勝ったからこその過剰生産の肥大化であり、そのつけは大きく、トヨタの赤字は、最悪の場合、2010年には2兆円にもなるとする経済アナリストもいるぐらいである。また、「トヨタの乗用車国内生産台数25%減(08年12月)が1年間続くとどうなるか」というシュミレーションではGDPが1兆5670億円落ち、8万1千人が失業する」と予想されている(講談社「トヨタ・ショック」参照)。

 

<郵便事業も例外ではない>

 

 このいわゆる「トヨタ・ショック」から誰よりも学ばなければならないのは、JP資本であろう。周知のように、JPS方式の導入等、この間JPグループはトヨタを理想的な民間企業、その民営化にあたっての手本としてきたからである。その手本のトヨタが販売台数世界一になった、すなわち営業目標を完全に達成したとたんの急転直下の赤字なのだから、郵政の営業活動についても再考してみてもよいと思われる。だが、郵政現場では、むしろ「あのトヨタでさえ、赤字になり社員のボーナスは20%カットだ。郵便物も急激に減少している、このままではトヨタの二の舞だ。お前たちもそうなりたくなかったら、営業目標必達だ、個人目標はお題目では無い」等とトヨタの例を営業活動強要の材料にしている。

 

 しかし、郵便物の急激な減少は、先進国中最もサブプライム問題の影響が少いであろうと思われていた日本経済が、トヨタに典型的な様に、昨年11月頃より急激に落ち込み、いまやGDPの減少率が先進国中最悪となった必然的な結果である。従って、問題は、「かもめーる」や「子供の日ゆうパック」の個人目標の達成かどうかというところには無いし、達成したからと言ってどうにかなる問題ではない。問題は普通郵便物を中心とする郵便物全体の減少であり、日本資本主義の活動の低下の問題である。トヨタではこのまま生産が減少すれば、非正規だけではなく、正規労働者の首切りも浮上せざるを得ないとされているが、郵政においてもこのまま郵便物が減少すれば同様の事態が進行するであろう。

 

JPエクスプレス設立の隠された狙い>

 

そして、その端緒となるのが、ゆうパックとペリカン便の合併によるJPエクスプレスの誕生である。今年の4月から、それはペリカン便単独でその活動を開始しているが、ゆうパックとの統合は10月からで、現在郵政職場では、労働者の意向確認が行われている最中である。ここで我々が注意しなければならないのは、この統合が、業界第1位のクロネコヤマト、第2位の佐川急便と対抗するための合併という側面を持つと同時に、うまくいかなければ倒産、すなわち郵政資本や日通資本の宅配便分野からの撤退も見越したものであるということである。というのは、どちらも赤字の統合であり、今までは郵政資本と日通資本の下にあって赤字が表面に出ることは無かったのであるが、これからは独立した企業として市場の評価にさらされることになるからである。その出発が折からの恐慌下において始まったこともあり、赤字解消は極めて困難と考えられる。労働者にとっては極めて劣悪な労働条件(祭日の休みは無いし、休息時間も無く、昇給・昇格も無い)に加えて、雇用不安も伴うことになる。正にJPエクスプレスへの道は地獄への道である。と同時に忘れてはならないのはそれが近い将来の郵政職場の先取りでもあるということだ。

 

<堕落の極みのJP労組幹部>

 

以上見てきたように世界恐慌は、郵政においても非正規、正規を問わず労働者に大変な困難をもたらしているし、これから更にもたらすであろう。この肝心な時にJP労組の幹部は何をしているか。JP資本のパートナーとして、ともに労働者を支配するために活動している。例えば、JPエクスプレスの問題では、「JPエクスプレス株式会社への出向手続きに関する了解事項」において、「出向内定者が出向予定者に満たない拠点について、出向候補者の内定状況について地方本部に情報提供し、出向数確保について対応方要請する」とあるように、JP労組の地方役員が出向拒否者に出向を受け入れるよう説得にあたるというのである。本来なら出向拒否が実現するように支援するのが労組の役割なのに、全く転倒した組合の姿だといわねばならない。

 

営業活動についてはJP労組が日本郵政に提出した「郵政事業の成長と発展を展望した提言書」において全く下らない提言を行っている。すなわち「宝くじ年賀」の賞品開発の提言である。そして、それを受けて郵政は前倒しとして今年の「かもめーる」の賞品として「A賞20万円、C賞1万円」を実施したというのである。しかし、こんなものはいたずらに消費者の射幸心を刺激するだけのもので、労働組合が批判こそすれ提言などしてはならない代表格のものである。

 

以上のように現在のJP労組は労働組合と呼ぶのも憚れるほど堕落しているが、これが郵政の最大の組合であり、日本の最大の民間労組であるのも現実である。したがって、現在の郵政労働者にとっての大きな課題はこのJP労組を闘う組合へと変えることである。この第2回大会を契機にJP労組の内部から闘う労働者の声を上げていこう。闘う労働者を全国大会へ送り出そう。


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