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生活保護問題対策全国会議など諸団体で以下の声明を発表しま
した。
転送・転載歓迎です。

http://blog.goo.ne.jp/seiho_taisaku/e/0c33d4bcd080ce373edc84965c34646a

             

2009年1月15日

「派遣村」での生活保護活用こそ、法律本来の姿 

生活保護問題対策全国会議     代表幹事 尾藤 廣喜
ホームレス法的支援者交流会    共同代表 後閑 一博
                 同 上  木原万樹子
首都圏生活保護支援法律家ネットワーク  
                 共同代表 釜井 英法
                 同 上  猪股  正

生活保護支援ネットワーク静岡   代 表  布川日佐史

東海生活保護利用支援ネットワーク 代 表  内河 恵一

近畿生活保護支援法律家ネットワーク共同代表 辰巳 裕規

生活保護支援九州ネットワーク   代 表  永尾 廣久

東北生活保護利用支援ネットワーク 代 表  新里 宏二

全大阪労働組合総連合(大阪労連) 議 長  川辺 和宏

しんぐるまざあず・ふぉーらむ・関西 
                 理事長  神原 文子

派遣労働ネットワーク・関西    代 表  脇田  滋
自立生活サポートセンターこんぱす 代 表  國師 洋典

「派遣切り」などで住まいや仕事を失った人たちを支援するた
め、昨年末から東京・日比谷公園において「年越し派遣村」が
取り組まれた。派遣村の「入村」者約500名のうち250名
を超える人々が生活保護の申請をし、数日のうちにアパートで
の生活保護開始決定を得たことについて、「超法規的な特別扱
い」であるとの誤解が一部にあるようである。
しかし、以下述べるとおり、派遣村村民に対してなされた生活
保護の運用は、生活保護法が本来予定する当然の内容であって
「特別扱い」などではない。現に全国の多くの自治体では同様
の運用がなされている。
私たちは、労働者派遣法の抜本改正によって「派遣切り」その
ものを規制し、脆弱な失業保険などのセーフティネットを充実
させるべきと考えている。しかし、今、現に住まいを失った人
々の生存を守る制度は現行法上、生活保護法しかない以上、同
法の適正かつ積極的な活用によって生存を確保することが切実
に求められている。今こそ、生活保護の出番なのである。

「住所」がなくても生活保護は利用できる

「住所」がないと生活保護が利用できないという誤解があるが
、そのようなことはない。
生活保護法19条1項は、居住地のない者については、その「
現在地」を所管する福祉事務所が生活保護の実施責任を負うこ
とを定めている。
したがって、住居を失い、やむを得ず日比谷公園で寝泊まりし
ていた村民らについて、同公園がある千代田区の福祉事務所が
生活保護を実施したのは法律上当然のことである。

生活保護費でアパートや家財道具を確保することができる

 住居のない者は、自らアパートを用意しなければ「居宅保護
」(アパートでの生活保護)を受けることはできないという誤
解があるが、そのようなことはない。
生活保護法30条1項は「生活扶助は、被保護者の居宅におい
て行うものとする」と「居宅保護の原則」を宣明し、施設など
での保護適用は例外であると規定している。そして、住居のな
い者に対しても、生活保護費からアパート等の敷金(保証金)
、家具什器費、布団代、被服費などを支給して新住居を確保す
ることができる。

即日でも保護決定はできる

 生活保護法24条3項は、申請から原則として14日以内に
決定しなければならないとし、同法25条1項は、急迫状況に
あるときは、すみやかに職権で保護を決定しなければならない
としている。
この点については、厚生労働省も2008年3月4日の生活保
護関係全国係長会議において、「原則14日以内に保護の決定
を行う必要があり速やかに審査を行う必要があるが、その中で
も、申請者の手持ち金が限られているなど急迫している状況に
あるときは、迅速な保護の決定が求められることに留意願いた
い」と注意喚起している。
したがって、派遣村村民のように住居も収入もなく所持金もな
いか僅少な者から保護申請があった場合には、迅速に保護決定
をすることが法の求める本来の姿である。

失業者やワーキングプアも生活保護が利用できる

 「働く能力がある者は生活保護が受けられない」という誤解
があるが、そのようなことはない。
働く能力があり、それを活用しようとしても働く場が得られな
い者は生活保護を利用することができる。したがって、派遣切
りなどで職を失った失業者や低収入しか得られないワーキング
プアも当然に生活保護を利用することができる。

厚生労働省は、生活保護制度の本来の運用に関し、通知を行う
べきである

 以上のとおり、派遣村村民に対する生活保護の運用は「特別
扱い」ではなく、法が本来予定する「あるべき姿」である。
しかし、トヨタ関連の「派遣切り」被害者が多数生じている名
古屋市では、住居のない者に対しては施設入所を前提とし直接
の居宅保護を行っていない。しかも、同市は、一昨日からその
施設も満床であるとして、救いを求めて集まっている多くの住
居のない者を寒空に放逐しようとしている。また、キャノン関
連の「派遣切り」被害者が生じている大分市は、「まずは安定
した住居を確保しない限り保護開始しない」と述べており、滋
賀県大津市も、入所枠の限られた施設入所を居宅保護開始の前
提としている。
3月までに8万5000人もの非正規労働者が職を失うと言わ
れている現下の緊急事態の下、とりわけ大規模な「派遣切り」
が行われている上記自治体が生活保護の窓口を閉ざせば、自殺
や餓死などの悲劇が生じかねない。
そうした悲劇を生まないために、厚生労働省は、派遣村村民に
対して実施された生活保護の運用こそ法が予定するスタンダー
ドであることを全国の福祉事務所に通知して周知徹底すべきで
ある。また、各地の福祉事務所は、厚労省の通知を待つことな
く、適正かつ積極的な生活保護行政を実施すべきである。
そのためにも、報道関係や市民の皆さまが生活保護制度に対す
る誤解や偏見を解き制度を正しく理解していただくよう、心か
らお願いしたい。



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