報告(酒井徹):第21回コミュニティ・ユニオン全国交流集会 | |||||||
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第21回コミュニティ・ユニオン全国交流集会(1日目) ――17日、北海道・十勝で開会―― http://imadegawa.exblog.jp/12169310/ 「自分のユニオンのアピールとともに、 みなさんをここに送り出した地元の仲間たちに 他のユニオンのいいところをいかに持って帰れるか、 それを追求してほしい」。 10月17日、 小野博文共同代表の挨拶で、 一人から入れる地域労働組合の協議会・ 「コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク」の 第21回全国交流集会は 約350名が参加し、 北海道音更町・十勝川温泉で始まった。 ■福島みずほ大臣も参加! 集会には、 社会民主党党首で 鳩山新政権の男女共同参画・消費者担当大臣に起用された 福島みずほさんも 北海道までわざわざ駆けつけ、連帯の挨拶。 「毎年、 『コミュニティ・ユニオン全国交流集会』に出て、 私はみなさんから元気をいただいてきた。 みなさんの顔を見て、 京品ホテル闘争の強制執行の現場で 私も悔しい思いをしたこと、 そして、 昨年 年末年始の派遣村を思い出す。 その中でみなさんが、 地べたをはうような、 また果敢な活動を行なっていることに心から敬意を表したい。 衆議院選挙では大変お世話になった。 私自身 大臣として、 内閣府の中で仕事をしている。 担当は、消費者行政・食品安全、 そして少子化・男女共同参画だ。 男女平等の総元締めとして、 民法改正、そして男女間賃金格差の是正にも 取り組みたい。 働く女性のための保育所も増やし、 子供をめぐる政策も何とか抜本的に変えてゆきたい。 そして雇用について。 労働者派遣法の抜本改正を みなさんと力をあわせて通常国会で 何とか実現させてゆきたい。 連立にあたっての3党合意では、 派遣法の改正に1項目を設け、 細かい中身をきちんと入れた。 いま、内閣の中で、 これに従ってやりましょうと言っている。 民主党・国民新党との間には、 菅さんと怒鳴りあいをしながら(笑) 仲良く作った抜本改正案がすでにある。 100点満点ではないかもしれないが、 3党で議員立法として出し、 先の衆議院解散で廃案となったものだ。 連立合意では、 その中身のままで3党合意がなされている。 今度はこれを閣議決定をした法案として 国会に出すことになる。 10月15日からその前提となる 労働政策審議会が始まった。 弱点もあるが涙を呑んで出したこの中身を、 後退させないことが大切だ。 みなさんの現場からの声で、 経営側からの大きな巻き返しの波を押し返してほしい。 みなさんの現場での闘いと、 みんなの力で作り上げてきた派遣法抜本改正案が 通せるか通せないか、 まさに『総資本対総労働』の状況だ。 政治がすべてではない。 けれど政治で重大なことが決まっていくのもまた事実だ。 現場でのみなさんの闘いとつながりながら、 私は国会で、そして内閣でがんばってゆきたい」 福島党首の挨拶が終わると、 会場は大きな拍手に包まれた。 (福島党首の北海道入りは、 翌日の朝日新聞「北海道総合」版にも、 「社民党の福島瑞穂党首が17日、 消費者・少子化担当相として入閣後初めて道内入り」と 報道された)。 ■「このままでは人がモノ扱いに」 定期総会では、 長年「コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク」の 事務局長を務めた 神戸ワーカーズユニオンの黒崎隆雄さんが退任。 40代後半の下町ユニオン・岡本哲文新事務局長へと バトンタッチされ、 ユニオン運動の世代交代を印象づけた。 続いて、「全国ユニオン」会長の鴨桃代さんが 特別報告に立つ。 「全国ユニオンが 何が何でも派遣法の抜本改正が必要だと思ったのは、 日雇い派遣の問題がきっかけだった。 怪我をしても救急車も呼んでもらえず、 実質的には時給500円程度。 行政も『派遣法制定のとき想定されなかった働き方』だと 言っている。 中間搾取は50パーセントにも60パーセントにも及び、 ネットカフェ難民・マック難民と言われる人から 毎日数百円の『データ装備費』を取っていた。 これだけで、 会社全体で毎日200万円もの利益となっている。 そして、大量に、乱暴に、いきなりの派遣切り。 多くの労働者が仕事と住まいを奪われた。 この労働者たち、私たちが何とかしなければ……。 そんな思いでやむにやまれず開いたのが、 『年末派遣村』である。 505人が登録し、280人が生活保護を申請した。 『派遣』はそれ自体、大変リスクのある働き方なのに、 なかなか雇用保険にも入れてもらえないなど、 セーフティネットすら整備されていない。 命まで脅かされている状況だ。 『救済』だけでは多くの人が網の中からこぼれ落ちてゆく。 私たち労働組合は、 職場の中で『切らせない』闘いが求められている。 そして、 やっぱり派遣法を抜本的に改正しなければならない。 登録型派遣はなくさなければならない。 労働者派遣では、 派遣会社と派遣先が『商取引の関係』にあり、 実際に派遣労働者を切った派遣先に対する責任が 一切問われない。 このままでは人がモノ扱いされてしまう。 1.登録型派遣禁止 2.均等待遇原則 3.直接雇用みなし規定 私たちはこれを原則として掲げ、 当時野党であった民主党に、 一緒に野党案を作ろう、がんばろうと呼びかけてきた。 法案自体は衆議院解散で廃案になったが、 民主党が政権を担ったとき、その足場にできる、 重大な意味のある法案を提出させることができた。 いま、福島さんから 『総資本対総労働』という言葉があったが、 人材派遣協会や労務協会の総反撃が始まっている。 彼らは私たちのマネをしたのか、 派遣労働者を記者会見の場に呼んで、 彼らの口から『仕事がなくなる』と言わせている。 派遣は雇用を生み出していない。 仕事を生み出しているのは 実際に生産活動をしている就労先だ。 労働者派遣がなくなっても仕事がなくなるわけではない。 私たちは、雇用を守り、安定させるためにこそ、 労働者派遣法の抜本改正を求めている。 すでにこれだけ労働者の雇用を奪っておいて、 『仕事がなくなる』とは本末転倒もいいところだ。 派遣労働者が希望を持って働けるようにするために、 私たちはここまで闘いを組み上げてきた。 10月29日、日比谷公園に10万人を集めたい。 労働者派遣法を何としてでも抜本改正しなければならない。 そのために、10月29日、ぜひとも東京にお集まりください」 鴨桃代さんはそう訴えた。 ■「最後のアジテーター」中野麻美弁護士が講演 続く記念講演は弁護士の中野麻美さんが行なった。 中野弁護士は、 「『コミュニティ・ユニオン全国交流集会』は 第1回から毎年出席してきた。 これだけ1人1人の問題を普遍化して、 社会問題として提起してきた集団はなかった。 生活者の視点から労働を見つめ、 20年間、身の回りから人々の行動を変えてきた。 これは大きな価値である。 みなさんはそれを誇りに思ってほしい」 と激励し、講演をはじめた。 中野弁護士は講演の中で、 「貧困は、差別と買い叩きの中でもたらされてきた」と指摘。 「その日その日を生きていかなければならない労働者は、 どんな不安定な労働条件であっても 働かなければならない立場におかれている。 いかに自分が買い叩かれても、 『ありがとうございました』と言って、 そうした仕事を自ら『選択』させられる。 こういうところで仕事が、そして人間が バカにされるようになっていく」と言い、 派遣切りに対して それを労働者側の「自己責任」であるとする一部論調を、 労働者の実態を踏まえない無責任な言説であると 厳しく非難した。 また中野弁護士は最近の「正社員切り」についても 次のように触れる。 「正社員の場合、 企業はそれでもなかなか『解雇』はしてこない。 正社員解雇にはリスクがある。 だから企業は、 『自発的に』労働者を辞めさせようと、 さまざまなハラスメント行為を労働者に対して繰り出している。 私は言いたい。 『転職しろと言うのなら、 転職できる力をつけてからにしろ』と。 『労働者をいじめて、心と体をボロボロにして、 もうどこでも働けないような人間にして 職場から放り出すのは犯罪だ!』と」。 どこまでも労働者とともに、 熱く、情熱的に中野弁護士は語り続けた。 長く組合活動に従事してきた コミュニティ・ユニオン運動の先輩はつぶやいた−−− 「いまの弁護士には、秀才・理論家は多いが、 アジテーター(扇動家)はなかなかいない。 労働組合にもめったにいない。 中野さんは労働者の力を信じ、 団結の力を信じて労働者を鼓舞する 最後のアジテーターではないか」。 第21回コミュニティ・ユニオン全国交流集会は 翌日も続く。 (インターネット新聞「JANJAN」 10月21日記事に加筆訂正) 酒井徹 Created by staff01. Last modified on 2009-10-22 17:14:24 Copyright: Default |