写真速報 : JRウォッチが「不正取水(水ドロボー)」の現場を視察 | |||||||
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JRウォッチ(JRに安全と人権を!市民会議・佐高信代表)のメンバー13人(写真上)は、6月8日〜9日、新潟県十日町市にあるJR信濃川発電所現地調査を行なった。JR東日本による「不正取水」(計器を改ざんして規定以上の水をとり続けた)の実態を調べるためだが、その中でわかったことは、20年にわたる大量の取水そのものが信濃川中流域の生態系を破壊していることだった。 そもそもこの問題のスタートは1985年だった。この年、旧国鉄(現JR東日本)は、信濃川中流域から発電用取水として、毎秒最大317トンまで認める水利権をえた。317トンとは、信濃川の平均流量をこえる数字であり、ほとんどの水をとってもいいことになったのである。住民用に流すのはわずかに7トン。これが地域の生態系破壊した大もとの原因である。今回の不正取水は、その数字さえもごまかし超過取水した悪質な「水ドロボー」事件だが、もともとの根本問題は、川を殺してしまうほどの大量取水にあった。 その水を使った水力発電で首都圏の電車が毎日走っているのだが、信濃川のほうは枯れ川になり、魚も棲めない最悪の事態になっていた。「サケが遡上していた信濃川に戻したい」、地元の人々は口々に破壊された自然と地域を返してほしいと訴えていた。 JRウォッチメンバー13人は、JRで働く国労組合員・民営化で解雇された国労闘争団・ジャーナリスト・鉄道ファン・レイバーネットなど多彩な人たちだった。「週刊金曜日」スタッフも取材で同行した。現地では、今回の問題で重要な役割を果たしている住民団体「信濃川をよみがえらせる会」が案内してくれた。まず会の山田事務局長と根津東六副会長(写真下左)から、詳しい話を聞いたあと、不正取水の現場であるダムや発電所をクルマでまわった。 現在は、取水が停止されているため、信濃川は水を豊かにたたえていて、一見豊かな自然の風景だった。しかし、つい数ヶ月前まで、川は大量取水のため干上がっていたのだ。根津東六さんは、「枯れ川になる川辺がヘドロ状態になる。魚は一匹もいなくなった。水は命のみなもとで、私たちは小さい時から川とともに育ってきた。この地は4500年前、縄文の王国として栄えたが、それも川があったから。国やJRが、信濃川を枯れ川にした罪は大きい」といきどおる。 翌9日には、十日町市役所をたずね、担当の課長補佐と意見交換もすることができた(写真上)。冒頭には会期中にもかかわらず副市長も挨拶に顔を出すなど、市役所側の意欲を感じた。課長補佐が一番強調していたのは、「首都圏の電車がこの信濃川中流域の水で動いていることを知ってほしい」ことだった。正確にいえば、信濃川水力発電と川崎の火力発電で首都圏の電車の70%の電力がまかなわれている、という。つまり信濃川の問題は、首都圏にすむ私たちの問題でもあるのだ。 JRウォッチはその後、縄文の土器(国宝)を展示してある「十日町市博物館」も見学し、川とともに生きてきたこの地域の歴史に思いを馳せることができた。 JR東日本は、今回の不正取水については「謝罪」はしているが、軽い処分で一件落着をねらっている。いまなにより必要なのは、こうした不正が起きた原因・システム・責任を明らかにすることである。なぜこうした不正が起きたのか、だれが指示したのか。これについてはJR東日本はいっさい明らかにしていない。地元の人の怒りは深く、全住民への謝罪と補償をJR東日本に要求している。 金儲けと効率のために、これ以上、自然破壊と不正をしつづけていいのか。JRウォッチとしても、民営化の根本に関わる問題として、また首都圏の電車利用者としてもこの問題をしっかり考え、関わっていきたいと思う。(松原明・JRウォッチ事務局) -------(以下、撮影は佐々木有美さん)------------------------------ ↓JR宮中取水ダム・現在は取水が停止されているため毎秒200トンを放流 ↓JR宮中取水ダム・川幅一杯に水をたたえている。 ↓ダム付近の信濃川。取水されるとこれが枯れ川になる ↓JR宮中ダム堰堤 ↓堰堤にかけられた看板 ↓放流量を示す看板 ↓宮中放水口・取水された水はこのゲートを通って発電所にむかう ↓調整池(途中で水をためておくところ) ↓JR千手発電所・3つあるJR発電所のうちのひとつ。 ↓この送電線を伝わって首都圏の電車を動かしている Created by staff01. Last modified on 2009-06-14 23:47:03 Copyright: Default |