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LNJ Logo アルゼンチンの「国労冬物語」〜映画「今夜、列車は走る」
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坂井貴司です。
 
 この映画は南米アルゼンチンの「国労冬物語」、「人らしく生きよう」です。
 
 「今夜、列車は走る」
 http://www.action-inc.co.jp/salida/index.html
 ニコラス・トゥッツオ監督 アルゼンチン 
 
 上映会場
 
 東京 ユーロスペース 4月12日から
 http://www.eurospace.co.jp/
  
 大阪 第7芸術劇場 5月3日から
 http://www.nanagei.com/
 
 神戸 神戸アートビレッジセンター 5月10日から
 http://www.kavc.or.jp/
 
 
 日本の国鉄分割民営化は、世界中の鉄道に大きな影響を与えました。「日本の
国鉄民営化は成功した。我が国もならえ」とドイツ、イギリス、イタリア、ロシ
アなどが次々に民営化に踏み切りました。その波は、南米アルゼンチンにも及び
ました。
 
 アルゼンチンは、ラテンアメリカ諸国の中で例外的に鉄道網が整備されてきた
国でした。1857年、イギリス資本によって鉄道が開通してからは、網の目に
ように線路が敷設されました。首都ブエノスアイレスから放射状に伸びた鉄道は、
パンパ(大平原地帯)から牛肉や皮革、穀物を、アンデスの山岳地帯から鉱物を
輸送し、同国の繁栄を支えました。旅客輸送も盛んで、隣国のチリやボリビアと
の国際列車も運行されていました。最盛期には総営業距離約10万キロに達しま
した。1946年からは国有化されました。
 
 しかし、日本と同様に、道路の整備によるバスや自動車の増加、飛行機との競
争によって国鉄の経営は悪化しました。さらに1970年代から深刻化した同国
の経済的、政治的混乱で車両や線路の整備はままならなくなり、鉄道労働者の待
遇は低下しました。
 
 そして、1990年代、新自由主義による国家再建を掲げたメネム政権は、日
本にならって国鉄分割民営化を断行しました。アメリカやヨーロッパの資本によ
って、鉄道はバラバラに切り裂かれて売却されました。それはすさまじいリスト
ラの嵐をともないました。6万人の鉄道労働者が解雇されました。
 
 この映画は、民営化により解雇された鉄道労働者たちとその家族たちの絶望と、
生きるために立ち上がる姿を描いたものです。

 アルゼンチンの交通を支えてきたのは俺たちだ、と誇りをもって働く鉄道労働
者たちに、ある日会社から突然、全員解雇の通知が渡されます。「赤字だからこ
の路線は廃止だ。お前たちは全員ここから出て行け」と。労働者たちは「冗談じ
ゃない!この路線はまだ人も貨物も運んでいるぞ」と抗議しますが、会社は彼ら
を鼻先で嗤います。「もう、国鉄じゃないぞ。カネにならない鉄道は廃止されて
当たり前だ」。労働者たちは、家族ぐるみで激しく戦いますが、敗北します。労
働組合の委員長は疲れ果て、自殺します。職を失った労働者たちはたちまち困窮
します。一家離散や自殺、夜逃げが相次ぎます。世論はこれに何の反応も示しま
せん。年老いた労働者は叫びます。「なぜ誰も、もうたくさんだ!と言わないの
だ」。絶望が人々を支配しています。

 そしてある夜、解雇された労働者の子どもたちは、動かないはずの機関車を運
転し、さびついたレールの上を走ります。「僕たちには世界を変える力がある」
と。汽笛が力強く夜空に響きます。
 
 おもしろそうな映画です。

Created by staff01. Last modified on 2008-03-25 15:06:38 Copyright: Default

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