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派遣で仕事を失った皆さんへ!

(株)グッドウィルに対して労働者派遣事業停止命令(ろうどうしゃはけんじぎょうていしめいれい)が1月11日に出されました。従って、グッドウィルからは仕事がもらえなくなっています。派遣で働いている人は、新聞やテレビを見られない人が多いと思いますので、まだ知らない人が多いのではと思います。しかし、関連も含め派遣で働いていた人数は膨大なのではと心配します。かつて私も派遣労働者であったこともありましたので、想像がつきます。2〜4ヶ月の事業停止となれば、多くの派遣労働者が仕事からあぶれることになると思います。

 そこで、仕事がなくなった、労働者(派遣)の方へのメッセージです。

 とにかく、何でもいいから「メシを食うこと!生きながらえることです!」むずかしいことは、あとにほおっておいて、とにかく「とりあえず、生きながらえることを考えてください」!道ばたに座り込んでムダなエネルギーを使わないのも手ですが、じっとしていても仕事はきませんので、どこかに相談にいくことをおすすめします。

 グッドウィルで働いていた方には、「グッドウィルユニオン」という労働組合(ろうどうくみあい)がありますので、声をかけてみるのもよいかもしれません。相談先としては、各労働組合(働いている人の賃金や雇用の問題などに取り組んでいる団体が多数あります)、NPO やNGO(生活に困っている人を助ける団体があります)、行政(市役所や役場)、ハローワーク(むかしの職業安定所)などが一般的ですが、その他にも弁護士(無料法律相談など)、市議会議員などの議員などに相談してもよいでしょう。労働組合などの連絡先住所や電話番号は今あなたが見ている「レイバーネット日本」のホームページリンク先をたどっていけば書いてあります。何らかの保険に入っていた方は保険の適用(てきよう)を申請(しんせい)しましょう。何もなければ生活保護申請(せいかつほごしんせい)をすることも考えましょう。役所に行くときは、1人で行くと担当者によっては邪魔者扱(じゃまものあつか)いする方もいるようですので、必ずメモをとって、担当者の名前と日時と担当者の行ったことを書きのこしておきましょう。そのメモがあとで証拠(しょうこ)になります。相談にいった先が、必ずしも、あなたにとって良い相談相手になっているかどうかはわかりませんが、相談に行かないことには物事は進みません。とにかく行ってみましょう。「あの〜、教えてほしいんですけど〜」って行けばよいのです。

 相談する内容、自分にとって何が必要なのか一度頭の中で整理しましょう。緊急(きんきゅう)の生活費が必要なのか、仕事探しなのか、電話が欲しいのか・・・。その内、どれが一番さきに必要なのか。それによって相談に行く先が少しかわります。労働組合というものもいろいろあります。すべてがよいわけではありません。何を信用してよいか?それは、最終的にあなたの目しかありません。失敗も含めて経験を重ねるしかありません。世の中には、人の不幸につけ込む人もいます。甘い話しで誘惑する人もいます。危ない・おかしいと思ったら逃げることです。相談先は複数の方がいいでしょう。いってることを比べてみましょう。相手に気を使うより、まず、自分自身に気を使いましょう。むかついたことを言われてもあきらめないことです。

 字が読めて少し気持ちに余裕のある人は、以下のコラムでも参考にどうぞ。

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「地域と労働運動」87(2008年1月)号掲載コラム

『時の流れ』(著:杜 海樹)

 仕事がない、金がない、寝る場所がないとないないづくしの貧乏暮らし・・・、人生もうおしまい、何でこの世に生まれてきたのだろう?と途方に暮れている方、あるいは、これから途方に暮れるかもしれない皆さんへ、元貧乏人?の海樹からのメッセージです。巷では、一度落ちたら這い上がれないとか、無能な人間だとか惨々な脅迫とも思えるような罵声があふれていますが、しかし、何か一つ忘れられているものはないでしょうか?それは、時間です。時間だけはたっぷりあるということを。現代という名の時間貯蓄銀行に時間を吸い取られた小金持ちのサラリーマンより、時間があるという点では余程の恵みなのですから、恵みは恵みとして受け取る器量も必要かと思います。仮に所持金がゼロになったとしても焦る必要はないでしょう。焦ったところでお金が降って来るわけでもありませんし、お札は所詮紙切れです。人間水さえあれば、1週間程なら何も食べなくても何ともありません。それよりも自分自身の心の態勢をいかに立て直すかの方が余程重要というものです。

心ゆくまで泣きましょう
 仕事がなくなったら、とりあえずぼけ〜〜っとしてみましょう。走馬灯のように思い出がグルグル回ることうけ合いです。惨めだったら我慢せず心ゆくまで泣きましょう。泣くことは恥ずかしいことではありません。人間にとって必要なことです。涙が涸れて行くところがなかったら、図書館にでも行ってみましょう。大きな本屋さんでもいいでしょう。CDショップでも良いです。当たり前の話しですが、読書ができたり視聴ができたりします。設備が整っているところでは映画も見られます。住所不定でも、所持金ゼロでも機会均等、差別されることはありません。今まで読めなかった小説に読みふけるのもいいですし、労働法の専門書で会社の弱点探しをするのもいいかも知れません。アルバイトニュースでも小遣い稼ぎの本でも何でもあります。学校に行ってなくて読み書き算盤ができないという方には、小学生向けドリルの読破がおすすめです。複数の町の図書館に通えば、図書館に置かれている本の内容が町によって大きく違うということにも気づかれるでしょう。傾向として、革新系自治体には福祉関係の本が充実しているものです。反対に保守系の自治体には経済関係の本が充実しているものです。洋書コーナーに行ってみるのも一考です。洋書コーナーには日本に初めて来られた方のための案内所が置いてあるものです。困った時には○○へ行きましょう・・・といった案内も出ていて結構優れものです。自分の育った町に“こんなものがあったのか!”と驚くことうけ合いです。

自分だけの時間割をつくりましょう

 本屋巡りも1時間目が時事問題で社会科、2時間目が英語のレッスン、3時間目は歩いて移動で体育〜などと勝手に時間割をこしらえて1時間ずつ移動すると苦にもなりませんし楽しいものです。ただし、移動は徒歩に限ります。交通費の出費は余計な痛手。健康のためにも歩きましょう。また、調子にのって走ると体力を使いすぎてお腹が減るので要注意です。給食の時間は、公園の水道でペットボトルにでも水を入れて、スーパーやデパ地下の試供品の摘み食いにでもでかけましょう。試供品はデモンストレーション品ですから上物にありつけます。次は課外授業です。公園の動物たちと仲良くなりましょう。動物たちが公園でどうやって生き抜いているのか・・・必見です。

地域の産業に目を向けてみましょう

 さて気分が晴れたところで仕事探しにかかりましょう。世間一般の建て前では、失業したらハローワーク(職安)にいくことになっていますが、ハローワークは求職者が殺到するため競争率が激化してしまい、求職者の望みにはなかなか応えてはくれません。求職者(失業者)同士の一極集中・競争激化は避けたいものです。インターネット上での職探しも良いですが、目先を変えて、街の商店街をこまめに歩くことなどはいかがでしょうか。個人商店などは広告が難しいため、店の入口に小さくアルバイト募集などと貼ってあるものです。運がよければその日から働けます。住所がなければ住み込みの仕事を探せばいいのです。商店街の喫茶店のマスターなどが町のお目付役であったりする場合も多いので、奮発して珈琲を飲みに行くのも一考です。仕事を売り込むのも良いかもしれません。海外ではキョロキョロしている観光客の似顔絵を勝手に書いて「この絵1000円で買ってください」と観光客に売り込むことなど日常茶飯事です。就労にあたっては、行政や労働組合などは、求職者の望みのお手伝いすることはできますが、求職者本人になりかわることはできません。何といっても、求職者本人の意志が最後はものを言うものです。

体をあたためましょう

 上手く仕事に就けたら銭湯にでも行きましょう。現在400円(東京)と少々高めですが、のんびりできます。最近の銭湯はテレビはもちろん宴会場併設のところまであり、仮眠して平気な所もあります。人間3時間ぐっすり寝れば何とかなります。寝床は宿に拘らずというわけです。人間、体温が下がると思考も鈍り必ずと言っていいほど重い病気になります。ガン細胞は体温の低下した35度が適温で39.3度まで体温が上がると死滅するという説もあります。体温だけは下げないように心がけましょう。暖房完備の公共施設を活用したり、あるものは何でも使って体を温めるようにしましょう。

モヤシは強い味方です

 空腹にはなんといっても“モヤシ”です。お腹いっぱい食べられます。一袋丸ごとたべても30円程度ですみます。パンの耳なども一袋(500グラムほど)50円前後でたっぷりたべられます。その他、ネギ、白菜、キャベツなどの生野菜もお手頃です。豆腐屋さんにいけば、おからも大きな袋に入れて分けてくれるものです。ヘルシーで美容にも良いかも。釣りができる環境があれば魚釣りもよいかもしれません。道具?それはそのへんに必ず落ちています。野草が見分けられれば、野草摘みも楽しいものです。

お金は稼ぎ方より使い方

 お金が少しでも手に入ってきたら、お金の使い道を考えるようにしましょう。だらだらと無駄遣いすることは禁物です。とりあえずはお金を貯めましょう。手にしたお金はある程度貯まるまでは極力使わないようにしましょう。0円から1000円、1000円から1万円、1万から10万円と増やしていきましょう。収入が2倍、3倍になっていくなんてサラリーマンには経験できない貴重な体験ですから。

 貧乏生活が長期化してくると世の中どうでもよくなりがちですが、できるだけお金は記憶に残る使い方をするよう心がけましょう。ストレスでタバコを買って吸ってしまうと、文字通りお金が煙になって消えてしまいますが、タバコ(300円)を買うお金があるなら一ヶ月貯めれば9000円にもなります。9000円あれば、大概のコンサートチケットも買えますし、旅行に行くことも可能です。もちろん家賃代を貯める方が先ですが、お金を煙にするくらいなら、「使った!」という記憶に残るお金の使い方をすることが重要です。お金を活かすも殺すも使う人次第です。

 お金がある程度たまってきたら、所持金と支出金額の比率を一定に保つよう心がけましょう。同じ1万円を使うのでも1万円中の1万円なら、それは全財産100%使用ですが、10万円中の1万円なら全財産の10%ということになります。100万円なら1%です。低い比率を維持できれば、不安は薄れていくことでしょう。

人生は一度だけ

 話しはここまでです。皆さん、誰がなんと言おうと自分の人生は一度だけ、誰のものでもありません。お金がないということは、現代社会では確かに大きな不便をともなうものです。最低限度の生活費を要求することは当然の権利です。お金はないよりはあった方が良いのでしょう。国は最低限の生活保障をすべきです。しかし、お金がないことイコール100%不幸と言い切れるかは疑問です。今の世の中、何でもお金に換算してしまうので、かえって自然の恵みを遠ざけてしまっているということはないのでしょうか。貧乏イコールお金がないことという括り方に、かえって金持ちの貧困を感じてしまいます。悠久の時間は時代を越えて流れているものです。今が良い時でありますように。

杜 海樹(片柳 悦正)
cubacomm@mail4.alpha-net.ne.jp

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