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伊藤彰信です。

労働政策審議会で審議されている内容は、ひどいものです。資料を読 み返さないで文章を書きますので、不正確な点はお許しください。

 要は、使用者が一方的に定める就業規則を労働契約とするということです。は じめは労使委員会の5分の4以上の同意、つぎに従業員の3分の2を代表する特 別多数労働組合の同意によって労働契約と「みなす」と言う案でした。いまださ れている案は「合理的な労働条件を定めて労働者に周知させていた就業規則があ る場合には、その就業規則に定める労働条件が、労働契約の内容となるものとす ること」と言うものです。

 これでは、過半数組合が反対しても「合理的」であれば、「みなされる」のでは なくて、労働契約となるのです。もちろん、「合理的なもの」に判断要素として、 労使協議の状況、労働条件変更の必要性、変更の内容を考慮することになります が、合理的でないとの立証は労働側の責任となるでしょう。労働条件の不利益変 更についても同様です。

 マスコミは、解雇の金銭和解が先送りになったことしか報道していませんが、 就業規則万能の労働契約法は、労使対等をかなぐり捨て、契約の自由という民法 の大原則も通用しない、労働者奴隷化法といっても過言でない内容です。

 12月27日の労働政策審議会労働条件分科会でどのような建議がまとめられ るかわかりませんが、労働契約法は無いよりあったほうがましと考えている人た ちがいるのでしたらそれは誤りだと思います。私も労働契約法の策定を求めて運 動してきましたが、「こんな労働契約法はいらない」と声を大にして言わなけれ ばならないと思っています。


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