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香港政府による不当な弾圧に抗議する
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WTO閣僚会議が開催されているコンベンションセンター前の「不法集会」での事件(現地の新聞は、「世貿騒乱事件」などと伝えています)での連行者数の内訳を現地の新聞(星島日報:20日付)が伝えた情報では、以下のようになっています。

首案: 1人(韓国・民主労総所属・氏名省略)
次案: 13人(韓国10人、日本1人、台湾1人、中国1人・氏名省略)
保釈: 12人(内訳不詳。但し香港人を含む)
釈放: 1132人(韓国989人、その他143人)
総連行者数: 1158人

連行者の内訳を見てもわかるように、主に韓国人を中心とする外国人が狙い撃ちになっています。この結果を見ると、「暴力的な外国人が大量に香港に来て街を騒がせ、大量に逮捕・連行された」という印象を与える数字になってしまっています。
しかし、香港人がほとんど含まれていないのは、今回の大量連行の対象になる可能性があったおよそ500人ほどの香港人(子供や家族連れを含む)を、警察が現場から逃がしたからです。釈放された内訳の「その他」の大部分は外国人です。

これは、明らかに「韓国人」を狙った差別的な逮捕ですが、おそらく香港警察は、「韓国人」だけを狙い撃ちにすると、外交的な問題になってしまうと考えたのでしょう。実際、韓国からは外務部の高官が来て対策を要請しています。
しかし、現場で韓国人に次いで数が多かった香港人を連行すると、今度は国内的なトラブルを抱え込むことになってしまいます。
なにしろ、何も悪いことをしていない香港の一般市民を大量連行するわけですから、WTO後の警察行政が苦しくなるのは目に見えています。これは韓国人が悪いことをしたという意味ではありません。韓国グループをはじめとする反WTOグループは、欧米でしばしば見られるような民間の商店などへの破壊行為は一切していませんし、非常に誠実に創意工夫に満ちた闘争をしていました。
マスコミが「暴力」と書いたのは、抗議行動を阻止しようとする警備を実力で突破しようとした行為ですが、それが正しかったのかどうかはまた別の話です。
いずれにしても、韓国の遠征闘争団は原則を踏み外すことのない、ある意味では整然とした抗議行動を続け、そのため、香港マスコミの扇情的な報道の中でも、多くの香港市民の共感と支援を得たのだと思います(ちなみに、カトリック香港教区の主教は、あの大量連行を「香港の恥だ」と言ったそうです)。

香港政府は苦肉の策として、「韓国人とその他の外国人」を大量に連行する、というトリックを使いました。
特に香港政府の苦労のあとが見えるのが、起訴された14人の中に、日本、台湾、中国の三か国から「1人ずつ」を加えていることです。起訴された人が全員韓国人だったりすると、韓国との外交関係が悪化する可能性を憂慮したのでしょう。日中台の三か国が選ばれた理由は不明ですが、おそらく、政府間の外交ルートで何らかの合意が成立した国が、日中台だったのではないでしょうか。
コンベンションセンター前での抗議行動に対する連行が遅れたこと、連行者に対する処遇がいつまでも決まらなかったことは、おそらく香港政府内での政治的な決断に時間を要したものと思われます。

今回、起訴された日中台の3人が、どのような行為を行ったのか、詳しくはわかりません。しかし、香港政府が韓国人の狙い撃ちという国際法違反行為をカムフラージュするための起訴だったのでしょう。言い換えれば、もし香港政府がくだらない言い訳をしようと思わなければ、彼ら3人が同じ行為をしても、決して彼らが起訴されることはなかったでしょう。また、同様の理由で、日本を含む十数ヵ国の活動家が連行されることもなかったでしょう。そして、本当に香港警察が「公正な手続き」にしたがって連行、起訴をしていたのなら、上記の表には多くの香港人が含まれていたことでしょう。

上記の表の数字を見るだけでも、今回のいわゆる「世貿騒乱事件」が、香港政府によるトリックであり、その結果としての大量連行の対象となった1132人、そして起訴された日本、中国、台湾の活動家は、香港警察の不当な差別的・恣意的な逮捕・連行を隠蔽し、国際法違反だという非難をかわすための犠牲だったことが理解できると思います。
起訴された人たちが実際にどのようなことを行ったのか、ぼくは知りません。しかし、香港政府のトリックの犠牲者という意味で、ぼくは今回起訴された日本人を含むすべての被起訴者に対して、無条件の支援を呼び掛けるとともに、香港警察および香港政府の暴挙として、国際的な非難の声をあげていきたいと思います。

Created by Staff. Last modified on 2005-12-21 16:56:06 Copyright: Default

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