本文の先頭へ
日韓FTA反対・共同声明および申入書
Home 検索

<日韓労働社会市民団体の共同声明>

日韓両国民衆の生活を破綻の崖っぷちに追いやる日韓自由貿易協定交渉は即刻中止せよ!

日韓両国政府は、11月1日から3日までの3日間、東京・霞ヶ関の外務省において日韓自由貿易協定(FTA)をめぐる第6回交渉を行なおうとしている。私たち日本と韓国の労働社会市民団体はこれまで、日韓FTA交渉が始まった昨年12月以来、この日韓FTAが日韓両国民衆の基本的人権を損なうおそれがあるものとして、政府間交渉の即刻中止と、両国民衆の意見を収斂することを強く日韓両国政府に要請してきた。しかし両国政府は、私たちの要請を顧みることなく、現在も交渉を継続している。

現在、各国政府は、7月にスイスのジュネーブで開かれたWTO一般理事会でドーハ開発アジェンダの基本骨格が合意されて以降、これまで進めてきた2国間・地域間FTAの締結交渉をさらに拍車をかけようとしている。こうした中、日韓両国政府は、日韓条約締結から40年目になる2005年の早い時期に日韓FTAを締結し、それを足がかりに、ASEAN諸国をはじめとする東アジア各国とFTAを締結して、中国も含む東アジア地域の自由貿易圏を創出しようと狙っている。

日韓FTAの交渉内容は、外交交渉であることを理由に、私たち日韓両国の民衆には一切公開されていない。労働、環境、健康、食の安全、農業主権、公共サービスなど、私たちの日常生活にかかわるあらゆる問題が、私たちのあずかり知らないところで一方的に推し進められ、合意にいたれば国会でただちに批准する、こんな安易な方法で私たちのかけがいのない命と権利がやりとりされているのだ。私たちの生活や環境や健康は売り物ではない! 私たちの住んでいるこの地球は売り物ではない! 私たちは、こんな政府間交渉に断固として反対する! 

日韓FTA交渉に先立って、昨年10月に取りまとめられた日韓の産官学による日韓FTA共同研究会報告書では、対日赤字の増大など短期的には韓国側に不利なものの、長期的には日韓産業間の戦略的提携がすすむことで両国に有利に働くと一方的に結論づけている。しかし、対日赤字の増大で倒産を強いられる韓国の中小零細企業や、戦略的提携による企業間の再編統合過程で、無慈悲に街頭に投げ出される日韓の労働者やその家族、民衆の境遇については、何ひとつ検討されていない。こうしたことから、とくに被害が大きい韓国側からは日韓FTA中止論・慎重論の声が大きく挙がっている。

農業分野では、日韓ともに食料自給率が低下している中でのFTAの実施は、両国民衆の大切な食料生産基盤をいっそう悪化させる。消費者の立場にたっても、「貿易の迅速化」の名分で行なわれる相互承認制度(MRA)の導入や衛生植物検疫(SPS)措置、食品規格委員会(コーデックス委員会、CAC)基準の導入などは、人の健康や食の安全を脅かす可能性が大きい。また、私たちの反対の声を押し切って昨年1月に発効した日韓投資協定は、多国間投資協定(MAI)の内容を踏襲するものだが、今回の日韓FTA交渉では、この日韓投資協定を日韓FTAに組み込むことも検討されている。これは、日韓投資協定のグレード・アップ化を狙うものであり、私たちは企業が国家を訴えることを可能にする投資協定の強化を容認することはできない。

さらに日韓FTA交渉では、労働運動や農民運動、環境運動、消費者運動などを取り締まるため、「非関税措置」と「ビジネス環境整備」という条項を盛り込もうとしている。民衆のさまざまな運動を、「自由な貿易・投資」を妨げる「非関税障壁」と捉え、またスムーズな「ビジネス環境整備」のため、その「障害」となる民衆運動の弾圧を可能にするこうした制度の導入は、WTOにもない新たなイシューとして検討されている。日韓両国政府は、「非関税措置」や「ビジネス環境整備」を隠れミノにした民衆の権利侵害条項をただちに撤回すべきである。

ここに至って、日韓FTA交渉に反対して、韓国から韓日FTA阻止韓国民衆遠征闘争団が来日し、日本ではこの遠征団を受け入れてともに闘うために、日韓FTA交渉に反対する11月日韓共同行動実行委員会が結成された。そして、本日より交渉期間中の11月3日まで、私たち日韓の労働社会市民団体は、日韓FTA交渉に反対する11月日韓共同行動に取り組むことを宣言し、日韓両国政府交渉団に以下のことを強く要求する。

これは、日韓FTA交渉に反対する日韓共同行動の第一歩であり、この日韓連帯の歩みはさらに大きく広がっていくだろう!

一、日韓両国政府は、日韓FTAにかんする交渉テキストと交渉の全過程を公開せよ!

一、日韓両国政府は、「非関税措置」や「ビジネス環境整備」を隠れミノにした労働者民衆の権利侵害措置をただちに撤回せよ! 

一、私たちの労働・生活・環境・人権を破壊する日韓FTAをはじめとする、すべてのFTA交渉を即刻中止せよ!

2004年11月1日

日韓FTA交渉に反対する11月日韓共同行動実行委員会(日本)

韓日FTA阻止韓国民衆遠征闘争団(韓国)


2004年11月2日

日本経済団体連合会会長

奥田 碩 様

日韓FTA交渉に反対する11月日韓共同行動実行委員会

日韓自由貿易協定交渉に関する申し入れ書

日本政府と韓国政府は、昨日1日より明日3日までの3日間、外務省において日韓自由貿易協定(以下、日韓FTAと略す)をめぐる第6回政府間交渉を行なっています。私たちは、この日韓FTAが、日本と韓国の労働者民衆の基本的人権を損なう危険性をもつものであることを憂慮し、まず両国民衆の意見をきちんと聞き、それを考慮することを強く両国政府に働きかける取り組みを行なっています。

日韓FTAをめぐる政府間交渉は、昨年12月、ソウルにおいて第1回交渉が開始されました。これに先立ち、昨年10月に日韓の産官学による日韓FTA共同研究会報告書(以下、報告書と略す)が両国首脳に提出されましたが、私たちは、この研究会が非公開で行なわれ、出席者の構成においても貴連合会をはじめとする産業界やFTA推進の立場にたつ学識経験者に偏り、日本と韓国の民衆の声を代弁する両国の社会・市民団体および労働組合などの参加がないまま報告書が作成され、それにもとづいて現在の政府間交渉が開始、継続されていることに強い危惧の念を抱いています。

報告書によれば、対日赤字の増大など短期的には韓国側に不利なものの、長期的には日韓産業間の戦略的提携がすすむことで両国に有利に働くと一方的に結論づけています。 しかし、対日赤字の増大で倒産を強いられる韓国の中小零細企業や、戦略的提携による企業間の再編統合過程で、無慈悲に街頭に投げ出される日韓の労働者やその家族、民衆の境遇については、何ひとつ検討されていません。こうしたことから、とくに被害が大きい韓国側からは日韓FTA中止論・慎重論の声が大きく挙がっています。

農業分野では、日韓ともに食料自給率が低下している中でのFTAの実施は、両国民衆の大切な食料生産基盤をいっそう悪化させるでしょう。消費者の立場にたっても、「貿易の迅速化」の名分で行なわれる相互承認制度(MRA)の導入や衛生植物検疫(SPS)措置、食品規格委員会(コーデックス委員会、CAC)基準の導入などは、人の健康や食の安全をいっそう脅かすでしょう。また、私たちの反対の声を押し切って昨年1月に発効した日韓投資協定は、多国間投資協定(MAI)の内容を踏襲するものですが 、今回の日韓FTA交渉では、この日韓投資協定を日韓FTAに組み込むことも検討されています。これは、日韓投資協定のグレード・アップ化を狙うものであり、私たちは企業が国家を訴えることを可能にする投資協定の強化を容認することはできません。

さらに日韓FTA交渉では、労働運動や農民運動、環境運動、消費者運動などを取り締まるため、「非関税措置」と「ビジネス環境整備」という条項を盛り込もうとしています。民衆のさまざまな運動を、「自由な貿易・投資」を妨げる「非関税障壁」と捉え、またスムーズな「ビジネス環境整備」のため、その「障害」となる民衆運動の弾圧を可能にするこうした制度の導入は、WTOにもない新たなイシューとして検討されています。具体的には、研究会報告書の別添文書に、日本側要請事項において、「"No-work No-pay原則"を徹底すること」や「違法な労働行為に対し厳正かつ迅速な措置をとること」といった、自主的な労働運動に規制を加えるような項目も盛り込まれ、これにもとづいて政府間交渉がおこなわれています。これらは、貴連合会が謳う「企業行動憲章」の第8項「国際的な事業活動においては、国際ルールや現地の法律の遵守はもとより、現地の文化や慣習を尊重」するという理念にももとる不当な干渉事項と断定せざるを得ません。日韓投資協定の交渉過程でも労働運動の規制を目的としたいわゆる「真摯条項」が日韓の労働市民社会団体の強い反発を呼びました。日韓FTA共同研究会の場でも、ソウルジャパンクラブの韓国政府に対する建議書にもとづいて、日本産業界から「非関税措置(NTM)における労働関連の改善措置」が提案・検討され、いままた日韓FTA政府間交渉に引き継がれていると、私たちは把握しています。私たちはこのような懸念が払拭されないまま、日韓FTAの政府間交渉が一方的に開催されていくことに強く反対します。

以上のことから、私たちは貴連合会に、次のことを強く要求します。

1.日本経済団体連合会は、密室で進めてきた日韓FTA共同研究会と非関税措置(NTM)協議会の全過程を公開し、社会に対して説明責任を果たすこと。

2.日本経済団体連合会は、日韓FTA共同研究会における「非関税措置における労働関連の改善措置」の検討内容を全面的に白紙撤回すること。

3.日本経済団体連合会は、「企業行動憲章」第8項にもとづき、「国際的な事業活動においては、国際ルールや現地の法律の遵守はもとより、現地の文化や慣習を尊重」すべく傘下企業に周知徹底し、ソウルジャパンクラブに顕著な、韓国の労働運動に対する不当な敵視・干渉行為をただちに全面的に中止すること。

(連絡先)日韓FTA交渉に反対する11月日韓共同行動実行委員会

〒110-0005東京都台東区上野1-1-12 新広小路ビル6F全統一労働組合気付中小労組政策ネットワーク内 TEL/FAX03−5816−3960


2004年11月2日

日本国  外務大臣    町村信孝 様

大韓民国 外交通商部長官 潘基文  様 

日韓FTA交渉に反対する11月日韓共同行動実行委員会

日韓自由貿易協定の第6回政府間交渉に対する申し入れ書

本日より3日までの3日間、日本政府と韓国政府は、東京において日韓自由貿易協定(以下、日韓FTAと略す)をめぐる第6回政府間交渉を開始します。私たちは、この日韓FTAが、日本と韓国の労働者民衆の基本的人権を損なう危険性をもつものであることを憂慮し、まず日本と韓国の民衆の意見をきちんと聞き、それを考慮することを強く両国政府に要求するものです。

 日韓FTAをめぐる政府間交渉は、昨年12月、ソウルにおいて第1回交渉が開始されました。これに先立ち、昨年10月に日韓の産官学による日韓FTA共同研究会が最終報告書(以下、報告書と略す)が両国首脳に提出されましたが、私たちは、この研究会が非公開で行なわれ、出席者の構成においても産業界やFTA推進の立場にたつ学識経験者に偏り、日本と韓国の民衆の声を代弁する両国の社会・市民団体および労働組合などの参加がないまま報告書が作成され、それにもとづいて日韓FTAの政府間交渉が開始されていることに強い危惧の念を抱いています。

報告書では、対日赤字の増大など短期的には韓国側に不利なものの、長期的には日韓産業間の戦略的提携がすすむことで両国に有利に働くと一方的に結論づけています。しかし、対日赤字の増大で倒産を強いられる韓国の中小零細企業や、戦略的提携による企業間の再編統合過程で、無慈悲に街頭に投げ出される日韓の労働者やその家族、民衆の境遇については、何ひとつ検討されていません。こうしたことから、とくに被害が大きい韓国側からは日韓FTA中止論・慎重論の声が大きくあがっています。

農業分野では、日韓ともに食料自給率が低下している中でのFTAの実施は、両国民衆の大切な食料生産基盤をいっそう悪化させるでしょう。消費者の立場にたっても、「貿易の迅速化」の名分で行なわれる相互承認制度(MRA)の導入や衛生植物検疫(SPS)措置、食品規格委員会(コーデックス委員会、CAC)基準の導入などは、人の健康や食の安全をいっそう脅かすでしょう。また、私たちの反対の声を押し切って昨年1月に発効した日韓投資協定は多国間投資協定(MAI)の内容を踏襲するものですが、今回の日韓FTA交渉では、この日韓投資協定を日韓FTAに組み込むことも検討されています。これは、日韓投資協定のグレード・アップ化を狙うものであり、私たちは企業が国家を訴えることを可能にする投資協定の強化を容認することはできません。

さらに日韓FTA交渉では、労働運動や農民運動、環境運動、消費者運動などを取り締まるため、「非関税措置」と「ビジネス環境整備」という条項を盛り込もうとしています。民衆のさまざまな運動を、「自由な貿易・投資」を妨げる「非関税障壁」と捉え、またスムーズな「ビジネス環境整備」のため、その「障害」となる民衆運動の弾圧を可能にするこうした制度の導入は、WTOにもない新たなイシューとして検討されています。具体的には、研究会報告書の別添文書に、日本側要請事項において、「"No-work No-pay原則"を徹底すること」や「違法な労働行為に対し厳正かつ迅速な措置をとること」といった、自主的な労働運動に規制を加えるような項目も盛り込まれ、これにもとづいて政府間交渉も進められています。日韓投資協定の交渉過程でも労働運動の規制を目的としたいわゆる「真摯条項」が日韓の労働市民社会団体の強い反発を呼びました。日韓FTA共同研究会の場でも、ソウルジャパンクラブの韓国政府に対する建議書にもとづいて、日本産業界から「非関税措置(NTM)における労働関連の改善措置」が提案・検討され、いままた日韓FTA政府間交渉にその内容が引き継がれていると、私たちは把握しています。私たちはこのような懸念が払拭されないまま、日韓FTAの政府間交渉が一方的に開催されていくことに強く反対します。

以上のことから、私たちは日韓両国政府に、次のことを強く要求します。

1.日韓両国政府は、日韓FTA交渉の全議事録を公開すること。

2.日韓両国政府は、密室で進めてきた日韓FTA共同研究会と非関税措置(NTM) 協議会の全過程を公開すること。

3.日韓両政府は、日韓FTA共同研究会における「非関税措置における労働関連の改 善措置」の検討内容を全面的に白紙撤回すること。

4.日韓両政府は、日韓FTAが日韓両国の労働・人権・環境・生活・農漁業・食料・教育・公共サービスなどに及ぼす影響について、社会・市民団体および労働組合、農民・漁民団体の全面的な参加のもとで、独立した包括的調査と検討作業を即刻実行するこ と。

5.この過程が全面的に実現されるまでは、労働・人権・環境・生活・農漁業・食料・教育・公共サービスなどを侵害するおそれのある日韓FTAの政府間交渉をただちに中止すること。

(連絡先)日韓FTA交渉に反対する11月日韓共同行動実行委員会

〒110-0005東京都台東区上野1-1-12 新広小路ビル6F全統一労働組合気付中小労組政策ネットワーク内 TEL/FAX03−5816−3960


Created byStaff. Created on 2004-11-03 06:04:14 / Last modified on 2005-09-05 03:00:03 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について