裁判闘争交流合宿レポート・その2 | |||||||
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とても勉強になり勇気が出た国労闘争団 田島省三裁判闘争交流合宿に参加した。 合宿では6つ講演があり、1日目の途中から参加した私は、 5つしか聞けなかったが、どれも深く考えさせられる内容だっ た。 首切りや過労死問題でも闘えず、弱者に目を向けることも なく、企業の枠の中で企業の論理に添ってしか思考できない、 日本の労働運動の現状に対する安田浩一さん(ジャーナリス ト)の鋭い批判。われわれ争議団の闘いも、社会と分離してい ては勝てない、という指摘だと受け止めた。 谺雄二さん(ハンセン病訴訟全国原告団協議会会長代理) は、全面否定された人権を回復する90年の闘いの歴史につ いて語った。萩尾弁護士の補足によれば、谺さんたちは、少 数派にされながらも、「らい予防法」撤回の闘いに立ち上がり、 地道に原告を増やし、被害の実態を世の中に訴え続け、つい に勝利したという。そして現在、勝ち取った権利を完全履行さ せる闘いの正念場を迎えている。「私たちは夢を持ち続ける。 本当に人間として生まれてきてよかったと言える日を必ず勝 ち取る」という谺さんの言葉には、限りない勇気を与えられた 気がした。 西順司さん(東京大気汚染公害裁判原告団長)たちの闘い にも、地道な組織運動の積み重ねがあった。巨大な力を持つ 自動車メーカーに解決を迫る執念の大衆行動(600人が6時 間にわたって会社の玄関を動かず、交渉窓口を開かせたとい う)にも、われわれ争議団は学ばなければならないと思う。 萩尾健太さん(弁護士)は、いま東京高裁で、労働基本権を 否定する判決が相次いでいる実態について説明し、その背景 として、国鉄を再建しなければならなかったように、企業も再建 しなければならない、という企業の意向や社会の流れを裁判官 たちが見ているのではないかと指摘。「本当にそんなことで日本 は救われるのかといった経済論、政治論にまで踏み込んで、運 動する必要がある」と萩尾さんは述べ、争議団の共同の運動、 インターネットの活用の重要性を強調した。 池添徳明さん(ジャーナリスト)は、裁判官の現状について2つ の側面から説明した。1つは、最高裁のアメとムチの人事管理に 裁判官が縛られており、憲法と民主主義を大切にして、違憲判決 などを書けば徹底的に差別されること。もう1つは、裁判官個人の 資質の問題で、まったく理論的ではなく、説得力のない判決が多 いことを指摘。そうした判決に対しては、具体的な事実や科学的 な根拠に基づいて評価を下すことが大事であり、裁判官を監視 する力はやはり傍聴だと強調した。 2泊3日の合宿の中では、勝訴あるいは敗訴した理由について 各争議団から報告があり、質疑討論が行われたが、それを通し て、いくつかの問題点が浮き彫りになった。とりわけ敗訴の要因 として、訴訟戦術や裁判官の言動の分析について、弁護団との 論議、意思統一が不十分で、結果として主張、立証が手抜きにな ったという点は、大きな問題として確認された。 争議の先輩たちからも指摘があったが、職場のことを一番よく 知っているのは当事者であり、弁護団任せにしないで、主体的に 裁判に取り組むこと、訴訟戦術について疑問点があれば、納得 のいくまで話し合ってあいまいにしないことが、勝利のためには 不可欠ということだ。 高裁から不当判決を受けた争議団の闘いは厳しい。個別の闘 いでは、とても勝てない。最高裁での闘いはもとより、行政や大企 業を相手にした闘いでは、争議団同士が横に手を結んで、共同の 運動を進める必要がある。 今回の合宿で、秋から冬に向けた最高裁攻めの方針が意思統 一されたが、これは大きな意義のあることだ。 Created byStaff. Created on 2003-09-01 22:41:44 / Last modified on 2005-09-05 02:59:23 Copyright: Default |