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「労働情報」4月15日号より

カリフォルニア電力危機は規制緩和が根本原因

*停電を理由に残業規制の凍結を狙う*

カリフォルニア製造業者組合は1月、広域停電の影響を受けている企業について、残業に関する規制を凍結することを提案した。

カリフォルニア労働者連合は「誰がカリフォルニアのエネルギー危機に対して支払うべきか」という声明を発表し、大企業が電力料金の値上げ、税金の投入、そして賃金引下げの3つの手段で電力危機のコストを労働者に押し付けようとしていることを非難している。

この声明によると、サンディエゴからクレセント市まで、労働者はすでに100%以上の電力料金値上げの影響を蒙ってきた。サンディエゴでは昨年夏に電力料金が突然2倍になった。昨年秋の値上り(注・発電会社が電力供給会社に販売する卸売価格)によって電力供給会社の利益が脅かされたが、それでも電力供給会社の経営者たちはカリフォルニアの電力事業からその持ち株会社へ資金を移転するのをやめなかった。経営者たちはレイオフの脅しをかけ、南カリフォルニアのいくつかの工場では実際にレイオフを行ってきた。

電力危機は、1月に北カリフォルニアで広域停電が発生したことによって全国の関心を集めるようになった。州は多くの緊急措置を講じ、電力の緊急購入のために4億ドルを支出したが、この資金はわずか数週間で尽きてしまった。

電力会社は儲かっている

危機の根本原因は失敗した規制緩和計画である。カリフォルニアでは大部分の電力は発電会社と、送電会社と、販売会社の3つの会社を経て供給されている。規制緩和計画では、発電会社は長期にわたって固定価格で電力を供給することを要求されていない。電力価格は毎日変動し、規制緩和された価格メカニズムによって、その日の最大需要時の価格に設定されている。その結果、州が昨年夏に電力のために支払った金額は、前年を109億ドル上回っている。発電会社は、州外の設備を使って純利益を前年よりも75%増加させた。

電力労働者は雇用と手当と年金を失う不安にさらされている。製造業の労働者は工場閉鎖あるいは移転、交替制の再編に伴うレイオフや配転に直面している。公共部門の労働者は州の財源は恐るべき速度で底をつきはじめているのを目にしている。低賃金労働者や中所得層の家族は、電力料金の突然の高騰によって大きな打撃を受けている。

労働組合、消費者、環境運動団体の共同提案

カリフォルニア労働者連合、シエラ・クラブ、公益事業改革ネットワーク、水光熱利用者アクション・ネットワーク、カリフォルニア環境保護有権者連合、カリフォルニア高齢者連合、アメリカ退職者連合、エネルギー効率と再生可能技術のためのセンター、カリフォルニア消費者連盟、川の仲間たち、米国グローバル・グリーンなどの団体は、「電力危機に関する一致した見解」として、電力危機に対する解決策の検討において以下の点を配慮することを提案している。

  • 労働条件や環境に関する規制を後退させないこと。企業の強欲と経営失敗によって起こった損害の修復のためのコストを労働者や環境に押しつけるべきではない。超勤手当や基準賃金の引き下げや、公益事業・発電産業の労働協約からの除外などの試みに反対する。また、環境基準(大気への排出の基準、水質基準など)の引き下げに反対する。この2年間の9つの新しい水力発電所の建設が承認されており、現在同じ数の計画が認可手続き中である。州はこれらの施設に対して、引き続き厳格な水質基準を適用させなければならない。
  • 低所得層や収入が固定されている人々を料金値上げから保護すること。
  • 住居や小規模事業所に対しては、節電を呼びかけると同時に、コスト・ベースの料金設定を行う。
  • 電力会社とその親会社が負債の責任を負うべきである。電力会社は親会社に膨大な利益を移転しており、また設備売却の利益を得ている。設備売却は、外部から高価格の電力を購入しなければならないリスクを伴っていた。
  • 電力会社の倒産は避けるべきである。倒産すればカリフォルニアの電力の運命は債権者や連邦裁判所に委ねられることになり、消費者の利益は守られない。
  • 州による資金援助や補助金は、資産(送電線、その他の設備を含む)の公正価格による譲渡と引き換えに行うべきである。州による送電線の保有は、長期にわたる卸売市場への統制のために非常に重要である。州は電力を規制された公益事業体に戻し、労働組合に加盟する労働者がすべての州の資産を運用するようにし、現存のすべての団体協約や継続条項を尊重するべきである。
  • 卸売市場の長期的な管理のために公的な電力管理機関を設立すること。
  • 節約、効率、再生可能なエネルギーを将来の電源開発の主要な要素とすること。
  • 電力会社が保有する州外の発電設備についても調査すること。州と連邦の当局は、発電会社間の価格設定に関わる共謀の可能性について調査するべきである。価格を引き上げるために、供給不足の時期に意図的に保守作業のスケジュールを入れているという疑いがある。
  • 電力会社の帳簿を徹底的に監査すること。
  • 停電の事前通知の改善と停電の頻度の制限。

Created byStaff. Created on 2001-04-14 14:41:14 / Last modified on 2005-09-05 02:58:07 Copyright: Default

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