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LNJ Logo ☆詳細未定 ジョージア映画祭2024「自由、夢、人間−映画の王国ジョージアから」@大阪・シネヌーヴォ(2/1〜2/28)
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2025/02/01 ☆詳細未定 ジョージア映画祭2024「自由、夢、人間−映画の王国ジョージアから」@大阪・シネヌーヴォ(2/1〜2/28)

案内→https://x.gd/ZgvP1

 ソ連邦時代(1921〜1991)に製作されたジョージア映画の全貌に迫る。
 政治体制による厳しい抑圧下、ユーモアとアイロニーを交え、人間と社会の真実を捉えた独創的な作品の数々。
 2024年は名匠エルダル・シェンゲラヤ監督、ラナ・ゴゴベリゼ監督の作品を中心に、ジョージア映画史に燦然と輝く名作を一挙上映する。

ジョージア映画祭2024 自由、夢、人間──映画の王国ジョージアから
主 催:ジョージア映画祭
企 画・制作:はらだたけひで
企画協力・日本語字幕:児島康宏
上映素材制作:大谷和之
共 催: 一般社団法人コミュニティシネマセンター
協 力:
 ジョージア国立アーカイブ
 ジョージア国立フィルムセンター
 ジョージア・フィルム
 ジョージア映画アカデミー
後 援:在日ジョージア大使館

公式サイト:https://x.gd/qTkM4
予告編:https://x.gd/B7xkR

上映情報:https://x.gd/HoPks
東 京 ユーロスペース   2024年8月31日(土)〜9月27日(金) 終了
              2024年9月28日(土)〜10月4日(金) 終了
愛 知 ナゴヤキネマ・ノイ 2024年10月12日(土)〜25日(金) 終了
神奈川 横浜シネマリン   2024年12月7日(土)〜27日(金)
大 阪 シネヌーヴォ    2025年2月1日(土)〜28日(金)
京 都 出町座       2025年2月14日(金)〜

 ジョージア映画祭2024上映に加え、山口智子さん製作『LISTEN. ジョージア篇 “UNITY 結束”』を上映!
 ジョージア音楽に魅了された俳優 山口智子さんが、現地のスプラ(ジョージア式宴会)、ポリフォニー(多声音楽)を取材し、製作した『LISTEN. ジョージア篇 “UNITY 結束”』(ギャリー・バッサン監督・約30分)を上映します。ジョージアのスプラの臨場感、ポリフォニーの重厚な素晴らしさが伝わってくる作品です。

■上映プログラム
〇DCP上映
〇ジョージア語版・日本語字幕。
 R印はロシア語版・日本語字幕
〇★印は日本語字幕+英語字幕入り

Aプログラム[ラナ・ゴゴベリゼ監督特集]
『ひとつ空の下 − 3つのエピソード』ラナ・ゴゴベリゼ監督/1961年/白黒/80分
『インタビュアー』ラナ・ゴゴベリゼ監督/1978年/カラー/95分
『昼は夜より長い』ラナ・ゴゴベリゼ監督/1983年/カラー/105分 ★
『渦巻』ラナ・ゴゴベリゼ監督/1986年/カラー/98分 ★

Bプログラム[エルダル・シェンゲラヤ監督特集]
『奇妙な展覧会』エルダル・シェンゲラヤ監督/1968年/白黒/93分
『奇人たち』エルダル・シェンゲラヤ監督/1973年/カラー/79分
『サマニシヴィリ家の継母』エルダル・シェンゲラヤ監督/1977年/カラー/87分
『青い山――本当らしくない本当の話』エルダル・シェンゲラヤ監督/1983年/カラー/95分 ★

Cプログラム[よみがえる歴史的名作]
『カジェティ砦』コンスタンティネ・ミカベリゼ監督/1936年/白黒/33分
『少女デドゥナ』ダヴィト・ジャネリゼ監督/1985年/カラー/64分
『19世紀ジョージアの記録』アレクサンドレ・レフヴィアシヴィリ監督/1978年/白黒/66分
『ひとめ惚れ』レゾ・エサゼ監督/1975年/カラー/90分
『ロビンソナーダ 私の英国人の祖父』ナナ・ジョルジャゼ監督/1986年/カラー/70分

Dプログラム[ギオルギ・シェンゲラヤ監督と「ピロスマニ」]
『ピロスマニ』ギオルギ・シェンゲラヤ監督/1969年/カラー/86分
『アラヴェルディの祭』ギオルギ・シェンゲラヤ監督/1962年/白黒/42分 ★
[併映]『ムラヴァルジャミエル 追悼三部作』エルダル・シェンゲラヤ監督/2022年/カラー・白黒/60分

Eプログラム[ジョージア映画祭アンコール]
「ミヘイル・コバヒゼ監督特集」*4作品で72分を予定
『結婚式』(1964年/20分)、『傘』(1967年/19分)、『音楽家たち』(1969年/13分)を上映。
 亡きコバヒゼ監督に捧げられたE・シェンゲラヤ監督の「井戸」(2020年/20分)も併映。
『マグダナのロバ』レゾ・チヘイゼ+テンギズ・アブラゼ共同監督/1955年/白黒/71分 ★
[併映] 『ピロスマニのアラベスク』セルゲイ・パラジャーノフ監督/1985年/カラー/22分/R
『ケトとコテ』ヴァフタング・タブリアシヴィリ+シャルヴァ・ゲデヴァニシヴィリ共同監督/1948年/白黒/90分★
『大いなる緑の谷』メラブ・ココチャシヴィリ監督/1967年/白黒/85分

Fプログラム[オタール・イオセリアーニ監督特集]
『落葉』オタール・イオセリアーニ監督/1966年/白黒/95分/ビターズ・エンド提供
『歌うつぐみがおりました』オタール・イオセリアーニ監督/1970年/白黒/82分/ビターズ・エンド提供
『田園詩』オタール・イオセリアーニ監督/1976年/白黒/98分/ビターズ・エンド提供
「イオセリアーニ監督短篇特集」オタール・イオセリアーニ監督/約101分/ビターズ・エンド提供
『珍しい花の歌』(1959年/16分/R)、『四月』(1962年/47分)、『鋳鉄』1964年/17分/R)、『ジョージアの古い歌』(1968年/21分/R)、イオセリアーニの初期の傑作短篇を一挙上映。

Gプログラム[テンギズ・アブラゼ監督「祈り 三部作」]
『祈り』テンギズ・アブラゼ監督/1967年/白黒/78分/ザジフィルムズ協力 
『希望の樹』テンギズ・アブラゼ監督/1976年/カラー/107分/ザジフィルムズ協力
『懺悔』テンギズ・アブラゼ監督/1984年/カラー/153分/ザジフィルムズ協力

Hプログラム[母と娘──ヌツァとラナ]
『母と娘──完全な夜はない』ラナ・ゴゴベリゼ監督/2023年/カラー・白黒/89分
『ウジュムリ』ヌツァ・ゴゴベリゼ監督/1934年/白黒/56分/サイレント・サウンド版
[併映]『ブバ』ヌツァ・ゴゴベリゼ監督/1930年/白黒/39分/サイレント・サウンド版 ★
『ペチョラ川のワルツ』ラナ・ゴゴベリゼ監督/1992年/カラー・白黒/106分
『金の糸』ラナ・ゴゴベリゼ監督/2019年/カラー・白黒/89分/ムヴィオラ提供

上映作品紹介:https://x.gd/ajbVm
Aプログラム:ラナ・ゴゴベリゼ監督特集
 「金の糸」(2019)、「インタビュアー」(1978)で日本でも知られるラナ・ゴゴベリゼ監督は現在95歳。
 彼女は戦後のジョージア映画の発展を担ってきた一人であり、今も旺盛に製作を続けている。
 その長き挑戦の軌跡を回顧する。

ひとつ空の下 − 3つのエピソード
 ラナの長篇第1作であり、3話から成るオムニバス。
 1921年、赤軍侵攻下で避難する貴婦人の愛。
 1941年、大祖国戦争勃発下の娘の日々。
 1961年、「雪どけ」期の女性建築士の想い。
 歴史の節目となった年を背景に各時代の女性の運命を鮮烈に描く。
 ラナ・ゴゴベリゼ監督/1961年/白黒/80分

インタビュアー
 ラナの作品はいずれも高い知性と繊細な感性を感じさせ、女性と時代、女性と社会を鋭く捉える。
 本作はジョージア初のフェミニズム映画といわれ、女性新聞記者の家庭における葛藤、そして彼女の女性たちへの取材の日々をとおして現代を浮き彫りにする。
 ラナ・ゴゴベリゼ監督/1978年/カラー/95分

昼は夜より長い
 20世紀初頭の東ジョージア、秘境トゥシェティの山間の村が主な舞台。
 旅芸人が狂言回しとなり、主人公エヴァの波乱の生涯が、老いた彼女の回想でジョージアの近代史とともに語られる一大絵巻。
 1983年カンヌ国際映画祭正式出品作品。
 ジョージア国家賞。
 ラナ・ゴゴベリゼ監督/1983年/カラー/105分 ★

渦巻
 「転回」という邦題で1986年東京国際映画祭最優秀監督賞を受賞。
 80年代のトビリシで異なる人生を歩んでいた何人もの運命が交錯し、緊密に絡み合ってジョージアに生きる人々の心模様、歓びや哀しみを描く。
 ゴゴベリゼ監督の力量が遺憾なく発揮された名作。
 ラナ・ゴゴベリゼ監督/1986年/カラー/98分 ★

Bプログラム:エルダル・シェンゲラヤ監督特集
 ジョージア映画人同盟の代表を長く務めたE・シェンゲラヤ。
 彼の寓意豊かな作品は国民から圧倒的な支持を受けてきた。
 現在91歳。
 極上のユーモアとペーソス、人間への温かな眼差しと権力への批判を込めた傑作の数々を紹介。

奇妙な展覧会
 エルダル独特のユーモアとペーソスが開花した作。
 西ジョージアの古都クタイシで、一人の彫刻家が師から受け継いだ大理石を前に傑作を夢見るが、激動する時代に翻弄されてゆく。
 自らの人生を受容してゆく姿を描いた人間愛に溢れる国民的映画。
 エルダル・シェンゲラヤ監督/1968年/白黒/93分

奇人たち
 ジョージア国民にこよなく愛される作品。
 無一文の青年が、憲兵隊が横暴を振るう奇妙な町で、牢獄に幽閉された老発明家とともに空飛ぶ機械を完成させようとする──自由への願いと全体主義への痛烈なアイロニーが込められた奇想天外な冒険物語。
 エルダル・シェンゲラヤ監督/1973年/カラー/79分

サマニシヴィリ家の継母
 19世紀末の緑豊かな田園が舞台。
 貴族だが今は貧しい老父が突然再婚を決意する。
 家族のために身を粉にして働く息子には父の遺産が減ることは大問題だった。
 しかし彼は父の相手を探すために旅に出る。
 心に染み入る悲喜劇。全ソ連映画祭グランプリ。
 エルダル・シェンゲラヤ監督/1977年/カラー/87分

青い山 − 本当らしくない本当の話
 カンヌ国際映画祭で歴史的名作ベスト20に選ばれた。
 若い作家が自作の小説を出版するために出版所を訪れる。
 そこの異星の住人のような職員の奇妙な姿をとおし、役人社会の現実を笑いと風刺で描いたエルダルの代表作。
 ソ連邦崩壊を予見した作品。
 エルダル・シェンゲラヤ監督/1983年/カラー/95分 ★

Cプログラム:よみがえる歴史的名作
 ジョージア人の魂の礎である叙事詩『豹皮の騎士』の唯一の映画化作品、また日本では未だに知られざる名匠レフヴィアシヴィリとエサゼ、彼らに続く世代となるバブルアニとジョルジャゼ、各監督の個性溢れる作品を上映する。

カジェティ砦
 原作『豹皮の騎士』は、ジョージア人の心の礎ともいえる12世紀の長篇叙事詩。
 この国の黄金時代に宮廷詩人ショタ・ルスタヴェリからタマル女王に捧げられた。
 その詩のクライマックスである騎士たちのカジェティ砦攻略とネスタン姫の救出を描く。
 コンスタンティネ・ミカベリゼ監督/1936年/白黒/33分

◎『カジェティ砦』併映作品
少女デドゥナ
 母を亡くし、山間の村で父と暮らす少女の質朴な生活を静謐な映像でとらえる。
 自然と人間の暮らしを繊細に謳い上げた詩的作品。
 現在、プリントは失われ、今回は監督から提供されたDVDから上映素材を制作した。
 マンハイム映画祭グランプリ。
 ダヴィト・ジャネリゼ監督/1985年/カラー/64分

19世紀ジョージアの記録
 深い森を舞台に謎めいた陰謀が描かれる。
 モノクロームの夢幻的ともいえる詩的で象徴的な映像、迷宮のような世界に政治体制への思いが込められた伝説的作品。
 権力による暴力が超現実的な虚構空間で寓意的に表現され、時代を超えた内容である。
 アレクサンドレ・レフヴィアシヴィリ監督/1978年/白黒/67分

ひとめ惚れ
 熱烈なサッカーファンのアゼルバイジャン人の少年が2歳年上のベラルーシ人の娘に恋をする。
 文化や年齢の違いが人々を巻き込む大騒動へと発展する。
 台詞が飛び交う群像劇を得意とするエサゼ監督(「ナイロンのクリスマスツリー」)の真骨頂の世界。
 レゾ・エサゼ監督/1975年/カラー/90分/R

ロビンソナーダ 私の英国人の祖父
 1987年カンヌ国際映画祭最優秀新人監督賞受賞作。
 時代は赤軍に侵攻される1921年頃。
 ジョージアの山村でイギリス人電信技士が村の娘と恋に落ちる。
 時代が揺れ動く中で、彼は村人たちから追い出されるが、電柱の周囲は英国領だと主張して居座る‥。
 ナナ・ジョルジャゼ監督/1986年/カラー/76分

Dプログラム:ギオルギ・シェンゲラヤ監督と「ピロスマニ」
 「ピロスマニ」は奇跡の映画である。
 1978年における日本公開は、観客の心に画家ピロスマニとジョージアの存在を強く印象づけた。
 ジョージアの過去と現在、そして未来が込められたジョージアに関心のある人には必見の作。

ピロスマニ
 ピロスマニ(1862?〜1918)は日々の糧とひきかえに絵を描き続けた。
 シェンゲラヤ監督は画家の人生と魂を清冽に描き、その姿にジョージアの人と文化、歴史、風土への思いを重ねた。
 そして映画「ピロスマニ」はイコンのように崇高な輝きを帯びてゆく。
 ギオルギ・シェンゲラヤ監督/1969年/カラー/86分

アラヴェルディの祭
 タルコフスキー監督が「この作品によって映画の新しい時代が始まった」と評したという。
 カヘティ地方の大聖堂で行われる由緒ある祭で一人の男が起こした行動をとおし、ジョージアの民族的伝統の意味を問う鮮烈な映像詩。(原作は未知谷刊)
 ギオルギ・シェンゲラヤ監督/1962年/白黒/42分 ★

◎『アラヴェルディの祭』併映作品
ムラヴァルジャミエル 追悼三部作
 エルダル・シェンゲラヤ監督が亡き盟友に捧げる短篇三部作。
 「井戸」はミヘイル・コバヒゼ監督に、「歌」は合唱アンサンブル「ルスタヴィ」のアンゾル・エルコマイシヴィリ氏に、「小鳥」は弟ギオルギ・シェンゲラヤ監督に捧げられている。
 エルダル・シェンゲラヤ監督/2022年/カラー・白黒/60分

Eプログラム:ジョージア映画祭アンコール
 過去2回のジョージア映画祭から5作品を再上映する。
 戦後の国民的ミュージカル、新風を吹き込んだ作品、1960年代のコバヒゼ監督、ココチャシヴィリ監督の名作。
 いずれもジョージア映画を語るうえで見逃せない名作。

ミヘイル・コバヒゼ監督特集
 コバヒゼ監督のユーモアとエスプリ、洒脱な感性は永遠である。
 「結婚式」(1964年/20分)、「傘」(1967年/19分)、「音楽家たち」(1969年/13分)を上映。
 亡きコバヒゼ監督に捧げられたE・シェンゲラヤ監督の「井戸」(2020年/20分)も併映。
 *4作品で72分を予定

マグダナのロバ
 1956年カンヌ国際映画祭短編部門グランプリを獲得、ジョージア映画を世界に知らしめた。
 後の巨匠アブラゼ監督とチヘイゼ監督の第1作。
 病気のロバを救った貧しい母子の姿を描き、硬直化した映画界に新風を吹き込んだ。
 旧邦題「青い目のロバ」。
 レゾ・チヘイゼ+テンギズ・アブラゼ共同監督/1955年/白黒/71分 ★

◎『マグダナのロバ』併映作品
ピロスマニのアラベスク
 パラジャーノフ監督はトビリシ生まれのアルメニア人。
 その傑出した才能のために投獄され、長く沈黙を強いられたが、ジョージア映画人の協力で復活を果たす。
 画家ピロスマニへの敬愛の思いを自らの汎コーカサス的ともいえる目眩く美意識で描く。
 セルゲイ・パラジャーノフ監督/1985年/カラー/22分/R

ケトとコテ
 19世紀半ばのトビリシ、商人の娘ケトと公爵の甥コテが、仲人ハヌマの助けを得て困難を乗り越え、無事結ばれるまでを描く。
 今もジョージアの人々に愛される国民的娯楽映画。
 戦後の沈滞した社会に活気を生むために製作された絢爛豪華なミュージカル。
 ヴァフタング・タブリアシヴィリ+シャルヴァ・ゲデヴァニシヴィリ共同監督/1948年/白黒/90分 ★

大いなる緑の谷
 名匠ココチャシヴィリ監督の代表作。
 広大な草原を背景に、祖先からの伝統を重んじる牛飼いが、近代化や集団農場化という中央政府の政策に歩み寄れず、家族とともに苦悩する姿を描く。
 俳優たちの力強い演技、白黒の映像が心に迫る不朽の名作。
 メラブ・ココチャシヴィリ監督/1967年/白黒/85分

Fプログラム:オタール・イオセリアーニ監督特集
 昨年12月に亡くなった世界的名匠イオセリアーニ監督。
 彼がソ連時代にジョージアで製作した作品はすべて上映禁止にされた。
 しかしその反骨精神、ユーモアとアイロニー、哲学的思索と詩的感性は永遠である。
 追悼上映。

落葉
 葡萄とワインのジョージア人との深い関係。
 自らの矜持を示した長編第1作。
 ワイン工場に就職した青年が、品質よりも増産に走る工場に疑問を抱いて行動を起こす姿を、ユーモアを交えて描く。
 庶民のなにげない日常の描写が愛おしく、心に残る。
 オタール・イオセリアーニ監督/1966年/白黒/95分/ビターズ・エンド提供

歌うつぐみがおりました
 オーケストラの一員である青年は時間を惜しむように、演奏中も抜け出してはデートや宴会等、生きる歓びを求めている。
 しかし慌ただしい都会人の生活はどこか孤独で哀しく、監督の現代社会への冷静な観察とともに人間への愛が感じられる。
 オタール・イオセリアーニ監督/1970年/白黒/81分/ビターズ・エンド提供

田園詩
 クラシックの演奏家グループが、西ジョージアの田舎で夏の休暇を過ごす。
 都会人と農民、モーツァルトと牛の鳴き声、異なる世界で暮らす両者の交流。
 農村にはのどかな時が流れ、大きなドラマが起こるわけではないが、妙なるドラマがいくつも誕生してゆく。
 オタール・イオセリアーニ監督/1976年/白黒/98分/ビターズ・エンド提供

イオセリアーニ監督短篇特集
「珍しい花の歌」(1959年/16分/R)、「四月」(1962年/47分)、「鋳鉄」(1964年/17分/R)、「ジョージアの古い歌」(1968年/21分/R)、イオセリアーニの初期の傑作短篇を一挙上映。
 オタール・イオセリアーニ監督/約101分/ビターズ・エンド提供

Gプログラム:テンギズ・アブラゼ監督「祈り 三部作」
 巨匠テンギズ・アブラゼ監督が20年の歳月をかけて完成させたジョージア映画の金字塔。
 「人の美しい本性が滅びることはない」という信念のもと、人間の迷妄や欲望がもたらす社会の暴力を描き、人間性を虐げるものを告発する。

祈り
 コーカサスの厳しい山岳地帯で暮らすキリスト教徒とイスラーム教徒、村同士の因縁の対立をとおして、人間の愚かさと過ち、それらを超える精神を白黒の荘厳な映像で描く。
 国民的作家V・プシャヴェラの叙事詩が原作(冨山房インターナショナル刊)。
テンギズ・アブラゼ監督/1967年/白黒/78分/ザジフィルムズ協力

希望の樹
 20世紀初頭の東ジョージアの美しい農村が舞台。
 時代の大きな変化を予感して村人たちはそれぞれに動揺を隠せない。
 そのなかで美しい娘と青年の純愛が村の因習のために打ち砕かれてゆく。
 ギオルギ・レオニゼの短篇集が原作(未知谷刊)。
 テンギズ・アブラゼ監督/1976年/カラー/107分/ザジフィルムズ協力

懺悔
 スターリンによる暗黒の時代を初めて描いて、ソ連邦の「改革」の象徴となった作品。
 架空の地方都市で元市長の墓が何者かに暴かれ、犯人の女性が捕らえられる。
 彼女の証言で元市長の独裁によって多くの市民が粛清されたことが明らかにされてゆく。
 テンギズ・アブラゼ監督/1984年/カラー/153分/ザジフィルムズ協力

Hプログラム
母と娘 − ヌツァとラナ
 ジョージアで最初の女性監督ヌツァ・ゴゴベリゼはラナ・ゴゴベリゼ監督の母である。
 ヌツァは1930年代、スターリンによる粛正のために流刑された。
 ヌツァとラナ、二代にわたる映画への取り組みと彼女たちの時代を捉える。

母と娘 − 完全な夜はない
 ラナ・ゴゴベリゼ監督が95歳にして、ソヴィエト体制下における母ヌツァとの日々を語った作品。
 ヌツァはスターリン時代に家族を粛清され、自らも10年間流刑された。
 厳しい時代を生きた母へのオマージュ。
 今年のベルリン国際映画祭に正式出品された。
 ラナ・ゴゴベリゼ監督/2023年/カラー・白黒/89分

ウジュムリ
 ソ連邦初の女性監督による長篇劇映画。
 完成後、ヌツァは粛清され、作品も押収されて近年まで存在すら確認できなかった。
 西ジョージアの湿地帯で中央政府の啓蒙政策、水路建設の人々と土着の住民の軋轢を描く。
 ギア・カンチェリの音楽が入った新版。
 ヌツァ・ゴゴベリゼ監督/1934年/白黒/56分/サイレント・サウンド版

◎『ウジュムリ』併映作品
ブバ
 コーカサスのラチャ地方の大自然のなかで、村人の厳しい労働と四季折々の暮らしを描いたドキュメンタリー。
 幼子の描写や村人たちの群舞に、斬新なモンタージュを用い、彼女の傑出した才能を感じさせる。
 「ウジュムリ」と同じく近年発見された。
 ヌツァ・ゴゴベリゼ監督/1930年/白黒/39分/サイレント・サウンド版 ★

ペチョラ川のワルツ
 1937年の大粛清という苛酷な時代を真正面から描いた自伝的作品。
 父は人民の敵として処刑され、母は北の大地に流刑され、雪原での厳しい日々を強いられる。
 娘アナは一人残され‥。
 アブラゼ監督「懺悔」に続く、スターリン時代の暗黒を描いた作品。
 ラナ・ゴゴベリゼ監督/1992年/カラー・白黒/106分

金の糸
 作家エレネは娘夫婦と暮らし、79歳の誕生日を迎えた。
 そこへ娘の姑のミランダが引っ越してくる。
 彼女はソ連時代、政府高官だった。
 またかつての恋人アルチルから数十年ぶりに電話があり、3人の記憶が重ねられ、過去の困難な時代が浮き彫りにされる。
 ラナ・ゴゴベリゼ監督/2019年/カラー・白黒/89分/ムヴィオラ提供

ジョージアについて
 ジョージアはコーカサス山脈の南に位置し、ロシア、アゼルバイジャン、アルメニア、トルコと国境を接している。
 面積は北海道の約80%、人口は約370万人。
 ジョージア人を中心に多様な民族が暮らし、主な宗教はジョージア正教である。
 ジョージア語では国名をサカルトヴェロという。
 3000年の歴史があるといわれ、東西交易の要所であるために周辺の国々から度重なる侵略を受けてきたが、今日まで独自の言語、文化を守り通してきた。
 ロシア帝国の支配から1918年に独立。
 1921年から70年間、ソ連邦に組み込まれていたが、1991年に独立を回復する。
 しかし内戦に加え、アブハジア、南オセチアにおける分離独立の紛争が激化し国内は混乱した。
 このために映画も傷つき、1000以上の作品が上映不能になった。
 現在、ロシア、ウクライナの戦争の影響を受けながらも、ワイン発祥の地といわれるこの国には世界から多くの観光客が訪れ、世界の人々に新鮮な驚きを与えている。

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