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松本昌次のいま、言わねばならないこと・第12回 | ||||||
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不滅の『谷中村滅亡史』せんだっての1月18日と25日の2回、NHKでテレビドラマ『足 尾から来た女』(池端俊策脚本)が放映された。タイトルが示 すように、1887(明治20)年あたりから、えんえんとつづいた 足尾鉱毒事件を背景にしたドラマである。鉱毒、土地収用法に よる強制破壊に苦しむ農民の立場に立ってたたかった田中正造 をはじめ、福田英子、石川三四郎などの社会主義運動家や、弾 圧の側に立つ政府側の原敬などが実名で登場し、主人公の「女」 の立場から栃木県谷中村の人びとの悲惨な離散の姿が描かれ、深 い印象を残した。 たまたま、ある読書会のテキストとして、荒畑寒村の『谷中村滅亡史』(岩波文庫)を再読していたので、感慨はひとしおであった。そして、120年余経た現在においても、政・財・官一体となった国益(嫌な言葉だ)をかかげた支配層たちによる民衆抑圧の構図は、何ひとつ変っていないことをあらためて痛感せざるを得なかった。それにしても、弱冠20歳の荒畑寒村が、ほぼ2か月で書き上げ、出版(直ちに発禁)されたという『谷中村滅亡史』の見事さには、舌を巻くほかない。「解説」で鎌田慧さんがいうとおり、まさに「天が書かせたドキュメント」である。福島原発の爆発で、放射能に追われ、住んでいた村や町が“滅亡”の事態に直面している多くの民衆の苦境をよそに、原発の再稼働どころか、新増設まですすめようとする政・財・官のお歴々よ、この“天”の声を聞け!といいたい。無駄だろうけれども。
田中正造の魂がのり移ったような、これらの寒村の言葉は、はたして大仰なものであろうか、また、過ぎ去りし時代にのみ通用するものであろうか。否である。いや、ますます光を増すのではなかろうか。ということは、逆に言えば、現在の状況が寒村の言葉に近づいているということである。はじめにふれたテレビドラマは、むろん、みずからの公の場での失言を取り消したり、どこが悪いと開き直ったりする籾井勝人NHK会長が、会長になる以前に制作・放映されたものである。しかし、安倍政権は、籾井会長の責任を不問に付して、NHKを政・財・官一体の重要な堡塁にしようと、着々と準備している。教育の場においても同様である。それらが“国益”の旗印のもと、かつての“富国強兵”への道につながるものであることは明らかだ。 『足尾から来た女』のようなテレビドラマを、NHKはこれからも放映しなければならない。その勇気を失ってはならない。ドラマは、谷中村の“滅亡”を体験した主人公の村の娘・サチ(尾野真千子がいい)が、怒りをこめて遥かな草原のなかの一本道を、どこまでもどこまでも歩くところでおわる。たたかいの道は遠い。しかし歩きつづけねばならない。 Created bystaff01. Created on 2014-03-01 13:48:03 / Last modified on 2014-03-01 13:59:26 Copyright: Default |