韓国:コロナ19「ワクチン帝国主義」と「グローバル公共財」国際主義 | |
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コロナ19「ワクチン帝国主義」と「グローバル公共財」国際主義[INTERNATIONAL] 「コロナ19にすべてがつながる」
カン・ドンジン(チャムセサン企画委員) 2020.10.03 07:56
コロナ19パンデミック傾向が続いている。 コロナ19確診者数は3千万人をはるかに越え、死者数も百万人を突破した。 この傾向がいつ落ち着くのか、終了時点はいつなのか、予測が不可能な状態だ。 これに伴いコロナ19ワクチンと治療剤の開発・普及に全人類の関心が注がれている。 世界各国のワクチン・治療剤の開発と普及に向けた競争も激しい。 主に米国、中国、ロシア、英国などの強大国が先を争って ワクチンの開発と治療剤の確保に動いている。 7月末基準、全世界で175のコロナ19ワクチンを開発しているが、 このうち臨床3相に入ったのは5つだという。 これらの企業は米国、英国、中国の出身だ。 ロシアは秋にワクチンを供給すると明らかにしたが、 臨床3相が済んでいない状態で安全性が疑問視されている。 中国もすでに6月からコロナ19ワクチンの緊急使用指針を承認し、 7月からは臨床試験中のワクチンを緊急的に使うと言われる。 米国のトランプ大統領は保健当局の責任者が可能性を否定しているが、 今年の11月にある大統領選挙の前後にワクチンの供給が可能だと公言している。 強大国はワクチン開発だけでなく、ワクチン供給契約も競争的に行い、 自国でまずワクチンを使おうと血眼になっている。 こうした供給契約は、ワクチン開発企業と主要国家が結んでいる。 米国、英国、ヨーロッパ連合、日本、ブラジル、ロシアなどの国家と サノフィ、ファイザー、アストラジェネカなどの主要製薬企業がその対象だ。 韓国もワクチン開発と確保という競争に加勢しているのは同じだ。 こうした競争はコロナ19以後の世界秩序において主導権を掌握し、 ワクチンと治療剤市場の独占権を獲得する意図だという分析が支配的だ。 これを「ワクチン帝国主義」あるいは「ワクチン国家主義」と称したりもする。 その結果、コロナ19ワクチンと治療剤の供給が少数の強大国と国民だけに 独占的に形成されるのは火を見るより明らかだ。 国際ワクチン研究所の関係者は、 ワクチン帝国主義をコロナ19ワクチン開発と普及の障害として言及したりもした。 この過程で巨大製薬企業に特典が与えられたりもする。 端的な例が米国FDA(食品医薬安全国)がレムデシビルという医薬品を コロナ19治療剤として承認し、貴重医薬品に指定したことが上げられる。 レムデシビルは米国の製薬会社ギリアド(Giliard Sciences)が開発したエボラ治療剤で、 ギリアドは今年2月に臨床試験を通してコロナ19の治療剤として作り直しFDAに承認を要請する。 FDAは一か月後の3月、これの承認を許可して貴重医薬品に指定した。 韓国でも食品医薬品安全処により6月に特例輸入 (感染病大流行など公衆保健危機状況に対処するために関係部署長の要請により食品医薬品安全処長が国内許可されない医薬品を輸入者を通じて輸入する制度)が決定され、 7月からは一部の患者に投与できるように使用を承認した。 貴重医薬品は適用対象がめずらしい医薬品で、代替できる医薬品がないか、 代替可能な医薬品よりも顕著に安全性または有効性が改善された医薬品をいう。 貴重医薬品に指定されると臨床試験が免除され、 政府からの開発費の支援があり、数年間市場独占権が保障されるなど、 多様な恩恵が与えられる。 しかしギリアドはコロナ19が拡散する以前にレムデシビルの貴重医薬品指定を受けるために小細工を働かせたと批判されるなどの論議があった。 しかし100以上の市民団体がレムデシビルは貴重医薬品ではないという抗議書簡を提出し、 結局ギリアドは貴重医薬品の指定を受けてから48時間で指定取り消しを申請する。 レムデシビルの価格は1日1回、5日間投与される場合、 米国では280万ウォンから375万ウォンになるという。 これは治療的な効用性を考慮した価格の10倍以上、 実際の製造原価の250倍高い価格で流通している。 「グローバル公共財」のための国際主義しかしコロナ19ワクチンと治療剤の開発と供給過程には 「ワクチン帝国主義」的な競争だけがあるのではない。 5月にインドネシアのジョコ・ウィドド大統領が非同盟運動(NAM)テレビ会議で 「適切な価格と適正な時期にコロナ19治療剤とワクチンを確保できるように戦おう」 と要求したことに注目することができる。 彼はこれにより、医薬品、ワクチンに関する特許権・知識財産権は 人類のために柔軟に適用されるべきで、 開発途上国の「平等な接近権」が必要だと強調した。 非同盟運動は第3世界の国家の利益を代弁する機構で、 このテレビ会議には39か国の首脳が参加した。 ジョコ・ウィドド大統領の上のような発言は、 米国、中国、ロシア、ヨーロッパの国家がコロナ19診断キットと医薬品、 防疫用品などを大量に買い入れて、 貧しい国家が競争から押し出されるという危機感から出たものだ。 開発途上国の政治的連帯の強化により、 国際社会がワクチンと治療剤の確保のための支援と負債軽減などを履行することを要求する声だった。 続いて5月には国際保険機構(WHO)が各国に送った書簡で、 コロナ19に対する対応を「公共財」として公平にグローバルな接近権を保障するために、 コロナ19退治のためのすべての知識と技術を全世界が共同で管理するプール(pool)を作ろうと提案した。 これは、コロナ19の診断、予防、統制と治療に使われる技術と知識に関する すべての権利を共同で管理して、 世界のすべての人々が平等かつ自由に利用できるようにするためだ。 ここには特許や資料独占権確保のための競争ではなく、 協力による技術の公共財的性格を強化することによってのみ、 コロナ19の克服が可能だという認識が敷かれている。 これだけではない。 スウェーデン、スペイン、ニュージーランドなど8か国の首脳は7月6日、 ワシントンポストに共同寄稿文を掲載して、 「今後開発されるコロナ19ワクチンは、各国に透明かつ公正に普及させなければならない」と要求した。 この寄稿文で8か国の首脳は 「ワクチン開発の後がワクチンの開発ほどに重要」で、 「ワクチンの開発は一人の勝者だけが残る競争にしてはいけない」と明らかにした。 また「ワクチンが透明で、公正で、科学的論理に基盤をおく原則によって普及させる方案を早く講じなければならない」とし 「どこで暮らしているのかによって生存の可否が決定されてはいけない」と強調した。 ワクチンの供給を担当する世界ワクチン免疫連合(GAVI)は、 グローバルワクチン供給メカニズムである コバックスファシリティー(COVAX Facility)設置を提案し、 77か国が参加の意向書を提出した。 コバックスファシリティーは、高所得国がワクチン開発に必要な財政を負担し、 開発に参加する製薬会社とワクチン供給契約を結べば、 その後、開発が完了した後に参加国と低所得国に支援する方式をいう。 各国の政府と首脳だけが動いているのではない。 4月に世界45か国の研究者、学者、公益団体は、 世界知的財産権機構(WIPO)に公開書簡を送り、 知的財産権がコロナ19対応の障害にならないようにするための必要な措置を要求した。 ワクチンは「グローバル公共財」でなければならないということだった。 国内でも、市民社会団体と個人が4月に文在寅(ムン・ジェイン)大統領に送る 「知識の共有と協力によるコロナ19克服を要求する公開書簡」を発表した。 彼らはこの書簡で 「韓国政府が支援したコロナ19の診断と治療、予防のための研究開発成果を WHO共同管理に任せるという約束をすることによって、 コロナ19防疫の世界的標準を提示した経験を越え、 科学技術の成果を世界の皆と共有」するべきだと要求した。 新薬を含む医薬品物質の開発と生産、供給には多くの難しさが伴う。 コロナ19ウイルスのように変異が激しい場合、その困難はさらに加重する。 米国バイオ協会によれば、新薬開発の前臨床段階から臨床三相の試験段階を経て、 最終的に商用化までの成功率は平均9.6%に過ぎないという。 天文学的な費用がかかり、費用をかけても開発が成功すると自信を持つのは難しい。 数社の巨大製薬企業を除けば新薬開発は考えることもできない。 巨大製薬企業も独自で新薬の開発することはできない。 米国疾病統制基盤センター(CDC)、国立保健院などをはじめとする公共機関と政府などが参加して、政府財政が投与される。 そして臨床試験段階では患者をはじめ多くの人が参加することになる。 これはコロナ19ワクチンと治療剤の開発でも同じだ。 韓国でも開発を支援するために3次の追加経費を投入して1936億ウォンの予算で臨床試験などを支援し、 関係部署が合同で許認可の事前相談や迅速処理などの規制支援と 生物安全施設の利用や効能評価などの研究開発サービス支援を続けている。 ワクチン開発を支援するためにワクチン開発ガイドラインを作り、 公共ワクチン開発支援センター、ワクチン実証支援センターなどのインフラ拡充も進めている。 コロナ19確診者の自発的な参加もある。 血しょう治療剤を開発するために、 機関生命倫理委員会の規制改善や完治者の血しょう確保の支援も行われている。 コロナ19ワクチンと治療剤は、開発段階から「公共財」なのだ。 しかし、このようにして公共的に開発されたワクチンと治療剤の供給により 製薬企業は莫大な利益を得るが、 高価格によって貧しい人々と貧しい国の人民は、ワクチンと治療剤の恩恵から排除される。 「競争と独占」ではなく「連帯と協力」を「公共財」であるワクチンと治療剤が特許と生産を独占し、 製薬企業の利益を高めるばかりで 多くの人と貧しい国がその恩恵から排除されるようなことが起きないための方案もなくはない。 その一つが特許発明の強制実施権を活用する方法だ。 強制実施権は特許権者の同意なしで強制的に特許を使うことができる特許権の例外的な実施権だ。 TRIPS(貿易関連知的財産権協定)では、自国の国家危機状況に特許の強制実施権を発動できるという規定をおいており、 感染病大流行のような公衆保健危機は国家危機状況といえる。 韓国の場合、特許法に 「政府は国家非常事態または公共の利益のために非商業的に実施することができる」という規定が存在する。 ブラジル議会ではコロナ19の対応に必要な医療技術特許の強制実施を迅速に発動する法案が4月に通過した。 強制実施が可能でも、製薬企業は生産を敬遠するかもしれず、 多くの貧しい国は医薬品を生産するインフラが整っていることはほとんどない。 したがって韓国の場合、医薬品の公共的な生産ができるように、 必要な施設と人員を備えなければならず、 政府はこれに必要な財政を投入しなければならない。 国際的には、公共的に生産されるワクチンと治療剤が すべての国と国民に同等に供給されるように、 共有と協力が必要だろう。 コロナ19は短期間では終わらない。 また8か国首脳がワシントンポストの共同寄稿文で言及したように、 世界人類すべてが安全になるまで、誰も安全ではない。 コロナ19は何よりも今、世界を不平等とパンデミックの危機に陥れる 「競争と独占」ではなく「連帯と協力」の国際主義が必要であることを示している。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2020-10-12 02:41:21 / Last modified on 2020-10-12 19:09:09 Copyright: Default 世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ |