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韓国:[ワーカーズ ルポ]麻浦区再開発、続出する撤去民
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法の通りにしたという再開発、法も見捨てた撤去民

[ワーカーズ ルポ]麻浦区再開発、続出する撤去民ら「信じられるのは連帯だけ」

パク・タソル記者 2017.07.04 14:27

「運も実力だ。君の運の悪さを恨め」。
撤去民と会って、お金だけではなく運も実力なのかもしれないと思った。 運が悪ければ貧しい都市住民は誰でも撤去民になるかもしれない。 再開発による協力要求文書、供託金わずかなならば数十年暮らしてきた土地からもおい出される。 峻厳な法はくやしさを訴えても不動の姿勢だ。 まだ大韓民国の中心の地に貧しく無力な人々が暮らしているとすれば、彼らは運良く暮らしているだけだ。 ソウルだけでも200余か所で借家人を追い出す強制撤去が続けられている。 単に運が悪くて撤去民になった人々に会った。 改革に対する期待がいつよりも高い今、麻浦で暮らす人たちは政治を、法を信じられなくなったという。 ニュースでは改革政府に対する期待でいっぱいだが、 撤去地域の与党議員は一度も撤去民に会いに来たことはない。 撤去民たちは国会へ、青瓦台へ、広場へと飛び出して生存権を叫ぶ。 この土地は貧しく、運が悪い人を闘士にする。

麻浦の地図が変わっている

強制執行を防ぐために手伝ってほしいというメッセージが全国撤去民連合会から来たのは5月24日の明け方だった。 24日の午後に強制執行が予告されているので、ソウル市麻浦区孔徳洞麻浦路6開発地域にあるJYミュージカルのシリョン音楽学院前に集まってほしいという連帯要請だった。 新政府になって、あるいは最初の強制執行が行われるかもしれない。 麻浦で24年間シリョン音楽学院を運営してきたパク・チェヨン院長は 「第2の竜山惨事が発生しないように、大いなる関心を望む」と要請文を書いた。 全撤連、マムサンモ、労働党などが集まり、シリョン音楽学院の強制撤去を防いだ。 だが強制撤去執行が完全に終わったわけではない。 強制撤去の執行官は2週間の時間を与えると話して行った。

麻浦路6区域は面積1万6857m2の土地に29階建ての住宅商店複合建物ができる都市環境整備事業が続けられている。 近くには仁川空港鉄道、京義中央線、5号線、6号線、4本の地下鉄路線が通る孔徳駅がある。 再開発業者がソウルの安い土地と言われるここを放っておくわけがなかった。 特に麻浦はソウルの中でも再開発範囲と速度が格別だ。 簡単に見つかる低い住宅は崩れ、高いビルができる。 孔徳洞以外にも新水洞、大興洞、塩里洞、阿蜆洞などの土地で再開発が続けられている。 巷間では「麻浦の地図が変わる」という笑い話まで聞こえる。

功徳の住宅商店複合再開発事業のために、2008年に麻浦路6都市環境整備事業組合が設立された。 2015年から本格化した再開発は、建築施設計画、土地補償などを経て、昨年から撤去に入った。 一部の家主は賃借人と共に再開発に反対したりもしたが、昨年4月、再建築範囲の建物と土地はすべて組合に渡った。 200余人の賃借人はほとんどが補償を受け取って出て行ったが、9人の賃借人が残っている。 昨年7月、商店街の賃借人への最初の強制執行があり、その後も強制執行は五回以上行われた。 強制執行が終わった建物に入るのは不法占有になる。 複雑な訴訟にまきこまれるのを恐れて撤去民は追い出された。

彼らは無条件に追い出されたのではない。 それなりの手続きがあった。 麻浦路6組合と賃借人、ソウル市コーディネイター、麻浦区庁関係者が参加する事前協議体は、昨年6月から今年の4月まで合計7回開かれた。 事前協議体はソウル市が2013年に賃借人の移住対策として、一定の構成員を備えて最低5回以上対話することにした制度だ。 しかし協議体では調整できず、今は明け渡し訴訟手続きが続いている。 撤去民が建物と土地を不法占有しているとし、再開発組合が返してもらうために裁判所に提起する訴訟だ。

ソウル市は鑑定評価金額の30%をさらに補償するという交渉を引き出したりもしたが、 賃借人たちは鑑定評価額があまりにも低いので無意味な引き上げだとして提案を断った。 賃借人非常対策委員会と組合はずっと交渉をしているが、意見の差の調整は容易ではないとようだ。 賃借人たちは1年以上戦って、法に依存できないということを悟った。 彼らの損失は鑑定評価士が計算し、これを拒否して粘れば不法占有になってしまうのが現実だった。

私の老年を破壊した再開発と強制撤去

孔徳洞のある住宅で50年暮らしてきたソン氏は去る3月9日、 強制撤去から4か月間、外を転々としている。 午前9時、老人学校に行くために家を出るが、 「黒い服を着て入れ墨した男たち」が押しかけた。

ソン氏夫婦は強制撤去を止めようとして倒れ、近くの赤十字病院応急室に運ばれた。 彼女は今年75歳、夫は80歳だ。 戻ってみた家は酷い荒れようだった。 扉がなくなり、ごみ箱はひっくり返っていた。 数十年間かけて集めた家財道具はほとんどがなくなっていたが、 残っているものは床に投げ飛ばされていた。 物を保管しておいた所を探して行くと、 冷蔵庫の中の食べ物は腐っており、めちゃめちゃになった品物は胸を騒然とさせた。

強制撤去直後、組合がソン氏にモーテルを支援したのはたった3日だけだった。 その後は一日4〜5万ウォンの宿泊業者は利用できず、地下鉄の駅で寝たこともある。 恐ろしくてそのまま夜を明かしたという。 その後、一日1万ウォンの清涼里旅館で一か月間過ごした。 夫を病院に入院させてひとりで麻浦区庁、ソウル市庁、警察署、裁判所を回ってくやしさを訴えたが、 「機関長」という人とは一度も会えなかった。 ソン氏の言葉は誰にも届かないまま散った。 5月13日以後、ソン氏は夫とともに空き家があるという慶南の咸陽にしばらく行っている。

助けてくれる人はいないのかとソン氏に尋ねると、なぜ子供たちに迷惑をかけなければならないかと問い返された。 ソン氏夫婦が住んでいた家は23坪の一戸建て住宅だった。 鑑定評価士は1坪当たり1300万ウォンを策定した。 実取引価額の1/3にもならない価格だった。 「食べるものも、着るものも買わず、家一つ買うためにすべてを込めて50年暮らしたのに、こんな世の中がありますか? 私はまだダンボールを拾って売って暮らしています。 肉も買って食べられず、野菜もとても安いものを買って食べます」。 つましく貯めて買った家は、ソン氏夫婦の全財産だった。

賃貸住宅供給申請対象者のソン氏は来る23日、孔徳の13坪の賃貸住宅に引越す予定だ。 必要以上の金が出て行くようで月貰は避けたかったが、月貰を払わなければならないというのでどうしようもない。 強制撤去の後遺症で持病があった夫はまだ手が震え、おしっこを漏らす。 「わずかな金で50年暮らしたわが家から出て行けというのは、誰のための開発ですか? この金ではソウルで他の家を買うこともできません。 死ねという話です。 雷に打たれるべきやつらです」。 ソン氏は涙を流した。

「闘争して進化した。法改正のために戦う」

麻浦路6区域に残った賃借人はもう五本の指で数えられる。 JYミュージカル・シリョン音楽学院、ヨンホカーセンターは毎日集会をして関係者らを追いかけながら抵抗している。 彼らはみんな鑑定評価士が提示した営業補償金を受け取って出て行かなければならない境遇だ。 だが長い間育てた事業をたたむこともできず、鑑定価額の金額は事業を再開できない水準だ。

ヨンホカーセンターのキム・ヨンチェ社長は麻浦路6貰入者非常対策委員長をしている。 106坪規模のカーセンターを運営している。 営業補償金はソウル土地収用委員会、中央土地収用委員会を経て、多少上がったが、 他の地域に今と同じカーセンターを作るにはあまりにも足りない。 キム委員長によれば、カーセンターの特徴上、移動できない装備が多い。 しっかり埋めたので掘りおこせば壊れて使えなくなる。 洗車場も必ず廃水処理施設を設置しなければならず、地下に貯水組がある。 いくつかの装備の見積もりを出すと1億を超えた。 キム委員長分の営業補償金は9700万ウォンだった。 ソン氏夫婦と同じように鑑定評価額が問題だった。 シーソーのような鑑定評価の結果は問題になりつつある。 鑑定評価法人が発注の過程で大きな影響力を行使する団体の便宜を図る可能性、 業種の特異事項を考慮しない計算のために雑音が出てくるのだ。 彼はもう補償を越えて、法改正のために戦うつもりだという。

同じような境遇の人々との連帯も彼にとって重要な課題だ。 昨年の夏には星州を訪問し、THAAD反対を叫び、最近では開浦洞の強制撤去現場に行って一日中共に戦った。 彼の連帯は横にいてやることだ。 「強制撤去が終われば撤去民はどこであれ腹いせができなければなりません。 警察、用役にひとことでも言ってくやしさを表現します。 この時に悪口でも言えるように守ってやりたいです。」

麻浦で生まれ育ったパク・チェヨン院長は今の場所で8年間、塾を運営してきた。 20数人の講師と200人ほどの学生が通うそれなりに大きな塾だった。 しかし本格的な撤去作業が周辺から進められて、現在は一年以上運営できなくなっている。 講師も半分以下に減った。 塾の前は撤去の残骸でいっぱいだ。 パク院長は昨年の5月26日、賃借人9人と共に麻浦警察署に刑事告発された。 公益事業法第43条違反、不法占有の容疑だった。

パク院長は「表では交渉しようと言い、裏では告訴してだまし打ちする」とし 「交渉で問題を解決するためには、すべての進行状況を中断するべきではないか」と批判した。

パク院長は「寄付採納」の問題を指摘して、座って見物するだけの地方自治体を批判した。 寄付採納とは、土地用途変更、容積率引き上げ、都市計画施設解除などで利益を上げる事業者が、 単に自分の不動産の一部を該当地方自治体に寄付することをいう。 開発による追加利益の一部を公共のために使う制度だ。 パク院長はある討論会で「結局、住民と地域発展に尽くした零細商店街の賃借人の私有財産権を侵害して得た利益を 公共機関や組合、建設会社が分けて持つようになる」とし 「賃借人の損害は巨大な一体になった彼らの利益に埋もれ、 戦っても勝てず、 やく放棄することが推奨される」と批判した。

組合長「法の通りにしたのに組合もくやしい」

麻浦路6都市環境整備事業組合長は、残っている賃借人のために大きな損害を受けていると憤激を放った。 建設の遅れが続き、108人の組合員のうち現在は66人しか残っていないという。 「ソウル都心でこのように乞食のように暮らすことはできない」という町のお年寄りの要請を受けて、 法の通りに事業を進めただけなのに、 悪役になってくやしいといった。

誰かの言葉の通り「法の通りの終着点は暴力」だった。 私たちはいつまで追い出される人々の悲鳴を聞かなければならないのだろうか。 今日も誰かが無理やり生活の基盤から追い出されるみじめさを感じている。[ワーカーズ32号]

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2017-07-07 02:16:24 / Last modified on 2017-07-07 02:16:26 Copyright: Default

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