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韓国:煙突座り込み空の懲役1年、スターケミカルのチャ・ガンホ
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煙突座り込み空の懲役1年、スターケミカルのチャ・ガンホ

[寄稿] 5月26日、煙突座り込み1年...解雇者らに自由を!

イ・ホドン(全解闘委員長) 2015.05.08 11:09

2015年5月26日は、スターケミカル解雇者復職闘争委員会(解復闘)のチャ・ガンホ代表が高空籠城を始めてからちょうど1年になる。 分割売却しようとした資本と投降した執行部、絶望して辞めてまった彼の同僚たち。 いったい何のためにチャ・ガンホは工場煙突に自分を閉じ込め、10人の解雇者が高空籠城死守テントと木洞の野宿座込場から動かず、すさまじく戦っているのか? いわゆる3継承が彼らの要求だ。 3継承とは、構造調整によって買収合併される会社の労働組合が、 雇用継承、団体協約継承、労組継承を核心的に要求することを意味する。

工場を分割売却して出て行くというスターケミカル資本に対し、 自分たちの生存権と民主労組を死守することを要求して全身で抵抗する労働者たち。 「青春をすべて捧げた。現場に戻ろう」と叫ぶ彼らの20年の事情はこうだ。

韓国合繊御用労組の民主化と民主労組の現場闘争

スターケミカルの過去の名前はポリエステル原糸を生産する繊維業界のしっかりした中堅企業、韓国合繊だ。 韓国合繊の初期の労働組合は、会長のおいが委員長の御用労組だった。 資本が現場を完璧に統制する事実上の幽霊労組そのものだった。 こうした現場の状況から始まった労組民主化闘争は、1994年に民主労組建設につながった。

1995年12月、チャ・ガンホの入社同期の2人が工場を稼動させるために働いているときに事故で死亡するという事件が発生した。 再発防止と補償を議論した労使交渉の場で、委員長が使用者側代表の工場長から頬を打たれた。 これに怒った労働者の闘争で、使用者側は17億6千万ウォンの損害賠償訴訟を請求した。 公権力の無差別な攻撃が加えられた。 しかし労組は1996年4月7日から全面ストを行った。 2人が焼身するほど激しかったストライキ闘争は、38日間続いた。 この闘争で、労働者たちはこの時期に民主労組の重要性を痛感したという。

韓国合繊労組の5年の闘争と続く民主労組勝利の歴史

繊維業界の堅実な企業だった韓国合繊は、2005年の末から経営難を理由として350人の整理解雇を推進した。 韓国合繊使用者側は、2006年2月、団体協約の合意条項を破棄して整理解雇を強行した。 3月11日、300人の用役チンピラを投入して救社隊を動員し、労働者たちが守っていた工場を暴力的に侵奪した。 これに屈せず、労働組合を中心としてみんな固く団結した労働者たちは、 結局2006年9月に整理解雇を撤回させて工場の稼動に合意した。 感激的な勝利だった。 しかし原料の代金と経営資金が確保できず、2007年5月、韓国合繊は破産を宣言する。

韓国合繊の労働者たちは、破産を宣言した資本が捨てた工場を死守して激しい闘争を展開した。 主債権者の産業銀行とサムスン、そして政府の責任を要求し、民主労組の自尊心をかけて闘い、全国的な連帯の波の支援があった。 2010年、韓国合繊を買収したスターケミカル資本から闘争の目標だった資産買収と、 いわゆる3継承(雇用、団体協約、労組)を勝ち取った。 5年の闘争の結果、100人の労働者が堂々と現場に戻った。 韓国合繊労組の5年の闘争は、亀尾を含む大邱慶北地域はもちろん、 全国的な関心と連帯による「民主労組」が勝ち取った貴重な勝利であった。

食い逃げ予備スターケミカル資本と投降した執行部、辞める労働者たち、抵抗する11人のスターケミカル解復闘

スターフレックスは2010年、韓国合繊を399億で買収し、社名をスターケミカルに変更した。 スターフレックスは工場の敷地と設備だけを買収したのではなく、労働者の雇用、団体協約、労働組合を継承した。 当時、スターフレックスが韓国合繊を買収する過程で399億という安値で韓国合繊を買収できた主な要因の一つが、 スターフレックスのキム・セグォン社長が3継承を約束したためでもある。 熟練した技術力を持つ労働者たちの存在は、化繊産業の困難な現実を考慮すると、 競争力確保という次元でも労使相互に必要だったのは言うまでもない。

労働者たちの歓呼とスターケミカル資本の約束は長続きしなかった。 再び構造調整が行われた。 当時の経営状況を高麗大のチョン・フンジュン教授はこのように鋭利に指摘した。

「公示資料によりスターフレックスの営業利益を調べると、 スターケミカルを買収する前の3年間(2007〜2009)と比較して買収後3年間(2011〜2013)の営業利益は276億ウォン増加した。 営業利益がこのように増えた理由は、スターフレックスがスターケミカルの原資材を安く、容易に供給を受けられたからだと解説できる。 ところがスターフレックスはさらに安く原資材を購入するため、 スターケミカルの人員構造を非正規職に変え、人件費を削減しようとした。 しかし労働組合の反対にあたり、スターケミカルを再売却する方向に事業戦略を変えたのだ。 経営陣の立場としては、どうせスターケミカルを買収するのに使われた399億のうち相当部分を営業利益で回収した状態だった。 実際、会社は買収のための貸与金のほとんどを返した状態で、 スターケミカルの土地と設備を別に売却し、追加的な収益を望んだのかもしれない。 しかし、スターフレックスの経営戦略で一つ見過ごされていたものがある。 まさに会社のために働いてきた労働者たちだ。」

だがキム・セグォン社長は2年ほどで労働者たちを古草履のように捨て、分割売却を推進した。 これに対して「食い逃げ資本」と規定されるのは、キム・セグォン社長としてはくやしいとしても、「自ら招いた危難」ではないのか。 問題は、労働組合の執行部もこれに劣らなかったということだ。 当時の労組執行部は、スターケミカル資本の構造調整計画に歩調を合わせ、 民主労組運動の歴史を断絶して「投降的逆進」をすることで、頼るものがない労働者たちは残念なことに路上に居座るようになる。 ただしこれに同意せずに民主労組と生存権死守を決意した少数の解雇労働者たちが 「スターケミカル解復闘」を結成し、熱い闘争を展開している。

いわゆる民主労組運動に問う。民主労組とは何か?

勝利の知らせを全国に伝えられ、2年余りの工場稼動と共に回復した日常は、 工場の稼動中断と廃業、分割売却が推進されて一瞬の夢のように過ぎ去った。 労組執行部は屈服し、修羅場になった現場は11人の解雇労働者を除き全員辞めてしまった。 民主労組破壊と襲いかかる構造調整の攻勢に命がけで抵抗する11人の解雇者。 結局、2014年5月27日の明け方にチャ・ガンホが闇を破って偽装廃業と不当解雇撤回を要求し、 自分が働いていた工場の煙突に上がった。 5月26日には満1年になる。

同意できない資本の「食い逃げ」行為に断固として「だめだ」と抵抗できる労組、民主労組だ。 いかなる困難も解雇者が突破して現場に戻り、民主労組を再建をするために抵抗する労組、民主労組だ。

5年の闘争勝利の象徴である韓国合繊労組は「11人のスターケミカル解復闘」として細々と残っているが、 民主労組再建と生存権死守闘争の旗のように私たちの横で粘っている。 スターケミカル解復闘の闘争勝利のための援護と支持が、一番ひどく壊れた民主労組の気風をその現場から再建して振興させる近道だ。 このような現場を無視した民主労組の連帯性は僭称であり、口頭禅ではないだろうか?

11人の解雇者らがすさまじく死守してきた自分たちの生存権と民主労組の旗を放棄しないように、 民主労組運動が支援してくれることを懇切な心情で望む。 これまで連帯してくれたすべての人に感謝し、 民主労組の勝利をその結果で補償される日を一日でも早めるために、もう少し共にしよう。 地上と高空で座り込みして、自分と家族の人生を抵当に取られた代価として、 チャ・ガンホをはじめ11人の解雇者に座り込み監獄からの自由と現場復帰の希望は多すぎるものではない。

まず、5月26日にちょうど1年をむかえるチャ・ガンホの高空籠城文化祭と、 準備されているスターケミカル解復闘後援酒屋に参加してくれることを希望する。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2015-05-10 18:58:28 / Last modified on 2015-05-10 18:58:30 Copyright: Default

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