本文の先頭へ
LNJ Logo 韓国:建設労働者はなぜ50mのクレーンに上がったか
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1382193899932St...
Status: published
View


建設労働者はなぜ50mのクレーンに上がったか

建設労働者を血吸うシタウケの正体

パク・チュンヨプ、チョン・ヨンギル記者 2013.10.19 16:01

大邱市達城郡多斯邑鋤斉里1002番地、トンファ住宅工事現場には50m上空で暮らす人が三人もいる。高さ50mのタワーパレスに住んでいるのではない。狭い入り口、ぼこぼこと穴があいた床と安全装置ない欄干に、ビニールの切れ端に頼り小屋を作った。そこには生涯、何十もの高層アパートを作っても、まさにそのアパートには入れない建設労働者がいる。彼らは空に近づきたくはなかった。なぜ彼らはそこに上がったのだろうか。

韓国労総-民主労総の縄張り争い?
建設労働者の血を吸うシタウケの正体

トンファ住宅工事現場の50mのクレーンに上がったのは、民主労総建設労組大邱 慶北建設支部のクォン・オジュン主席副支部長、パク・キョンテ琴湖地区長、 ペ・ジノ組織部長だ。10月10日、ペ・ジノ組織部長がクレーンに上がって座り 込みを始め、クォン・オジュン主席副支部長、パク・キョンテ琴湖地区長が 14日にクレーンに上がった。

▲50mクレーン座り込みに突入した建設労働者。左からパク・キョンテ建設労組大邱慶北建設支部琴湖地区長、クォン・オジュン主席副支部長、ペ・ジノ組織部長

クレーンに上がった労働者の要求は「御用労組解体」と「団体協約履行」だ。 建設労組は8月にトンファ住宅の建設で土木公正を担当する(株)ソクチョン建設 との団体協約を締結した。団体協約内容は、▲(建設労組以外)その他いかなる 団体も交渉団体と認めない、▲作業者採用時は組合員を優先採用、▲地域労働者 の80%以上直接雇用するということだ。

土木工程を担当する建設労働者はチームで働く。それで労組はチームを組んで、 土木工程に参加しようとした。するとソクチョン建設の管理者は、これが気に 入らなかったのか、会社が望む人員を配置してくれと要求した。労組はこれを 拒否した。会社が気に入る労働者だけをさっさと選び、雇用するということは 事実上、団体協約が無用になるためだ。

すると9月25日、ソクチョン建設は韓国労総嶺南建設労組所属労働者12人を工事 現場に投入した。それと共に、これまで働いていた建設労組所属労働者とは働 くことができないと通知した。

ソクチョン建設のソン・ヨンギュ理事は、「民主労総であれ韓国労総であれ、 われわれには関係ない。会社としてはきちんと仕事さえすれば良い。きちんと 仕事をする人に働かせたいのだ。しかし民主労総は会社の人事権まで侵害する」 と話した。

ソン・ヨンギュ理事は「団体協約を結んだというが、現場を担当する職員は、 労組の圧迫のために一般理事が印鑑を押した。代表理事が職印をおしたのでは ないので無効」だと主張した。

そのため建設労組大邱慶北建設支部のイ・ギルウ支部長は「会社の好みに合う 人だけを働かせるのなら、団体協約に何の意味があるか。彼らは建設労働者の 血を吸うシタウケ(下請け業者)」だと反論した。

建設労働者が労組を作るまで、建設現場はいわゆる「シタウケ」のチーム長が 専門建設業者から請負っていた。たとえば、会社が10人のチームのチーム長に 人数分の賃金全体を支払うと、その賃金をチーム長がまた労働者に支払う。 チーム長が労働強度と賃金もすべて決める。チームの規模が大きくなれば、 チーム長は働かずに、中間で労働者の賃金をピンはねすることがよくある。 また、会社が望む作業量に合わせるために労働強度を高める役割もする。

建設労組はこうした慣行を破るために、不断に努力した。チーム長と建設技能 工の賃金を決めて団体協約を結び、中間で労働者賃金を着服するチーム長がい れば、組合員資格を維持できないようにした。こうした規約を破ったチーム長 の何人かが建設労組から追い出されたこともあった。

トンファ住宅の現場で出発した韓国労総嶺南建設労組は、こうしたシタウケが 主軸だ。建設現場の古い慣行だからか、新生労組側は違った説明をする。

嶺南建設労組のチョン・グァンシク事務局長は「われわれはシタウケではない。 民主労総が独善的に運営し、現場から追い出された労働者がいる。食べて行か なければならない。雇用権は会社固有の権限なのに労組はやり過ぎの傾向がある」 と説明した。チョン・グァンシク事務局長も以前は民主労総建設労組の所属だった。

イ・ギルウ支部長は「下請けを通じ、労働者の賃金をピンはねする慣行を維持 させようとする奴らだ。それをできないようにしたから追い出したと言う」と し「会社は下請け業者を使って工期を短縮させて労働強度を上げる。下請業者 は会社の望みを助けて、雇用権を握り労働者の賃金をピンはねする」と話した。

嶺南建設労組の副委員長はソクチョン建設元理事のムン・テグォン氏が担当し ている。労組が設立された時も、トンファ住宅現場に投入された26日の前日の 25日だ。また、取材のために一緒に会ったソクチョン建設のソン・ヨンギュ理事 と嶺南建設労組のチョン・グァンシク事務局長は互いの意見を支持した。

「労組破壊シナリオ」を稼動させた創造コンサルティングと複数労組
民主労総、民主労組を守るために全面的な闘争に立ち上がる

2009年、金属労組ヴァレオマンド支会を始め、サンシンブレーキ、ユソン企業、 KECなど、主に金属労組事業場で既存の労組を瓦解させ、第2労組の設立が連鎖 的に起きた。労務法人創造コンサルティングと会社、関係機関が協力して 「労組破壊シナリオ」が稼動した情況が、国政監査等で明らかになった。この シナリオは、ストライキ誘導、職場閉鎖、第2労組設立、労働条件後退の順で 進められた。

トンファ住宅の現場で働くと、こうしたシナリオを思い出す。昨年と今年のス トライキで、大邱全域の住宅建設現場で団体協約を締結し、2000人もの組合員 規模に成長した建設労組大邱慶北建設支部は、建設業者の利益にとって邪魔な 存在になった。これまで高い強度労働で工期を短縮し、利益を上げた建設業者 は死なず、怪我をセずに働く権利を要求して労働強度を下げる建設労組の闘争 はうれしくない。

建設労組の座り込み以後、トンファ住宅は組合員100余人を業務妨害で告訴告発 し、イ・ギルウ支部長をはじめ幹部8人に損害賠償仮差押えを請求した。

そのため民主労総大邱地域本部所属単位事業場労働組合は、これは建設労組だ けの問題ではなく民主労組の弾圧と規定した。

民主労総大邱地域本部は10月17日午前10時、トンファ住宅(大邱市中区)の前で 記者会見を行い、「民主労組死守闘争に連帯する」と明らかにした。

大邱地域一般労組のクォン・テクン委員長は「建設労働者と一般労組に所属す る組合員の生存権は違わない。一般労組が今年、大学清掃労働者共同ストで 団体協約を結ぶと韓国労総が来た」とし「懐柔の方式も組合費を下げる、集会に 行かせないなどだった。ソクチョン建設を背後から操作して、民主労組を弾圧 するトンファ住宅に対抗する建設労働者の戦いに連帯する」と話した。

建設労組のソン・チャンフプ大邱慶北建設機械支部長は「アパートの現場では 不法が乱舞している。この不法に必要なのが下請業者だ。嶺南建設労組は労働 者が作った労組ではない。そのためか、韓国労総大邱地域本部の関係者も嶺南 建設労組を助けないと言った」とし「トンファ住宅とソクチョン建設が、建設 労組を甘く見ている」とし、全国建設労組次元の対応をすると話した。

建設労組「シタウケ労組を表に出して隠れている専門業者、御用労組を解体しよう」

10月17日午後1時30分、建設労組は700人ほどが参加して大邱国債補償運動記念 公園で建設労働者総力闘争決意大会を開き、「団体協約履行」と「御用労組解体」、 「不法下請中断」を要求した。

イ・ギルウ支部長は「高空籠城8日目の今朝7時、われわれは今回の闘争を改めて 宣言し、全面ストライキまで宣言した。大邱元請社協議会が構成され、建設労組 をどうすべきか悩んでいる。シタウケを表に出して労組を作り、専門業者は後に 隠れた」とし「使用者側は私たちが散ることを願ってばかりいる。ここに組合員 一人も離脱せず、2000人が同じように集まって勝利しなければならない」と話した。

民主労総のイム・ソンヨル大邱地域本部長は「建設現場である老いた労働者が、 息子と一緒に働き、お父さんが流す汗を見て学校をやめて現場で働いているという。 私も建設労働者の息子だ。30年大工として働いたお父さんは、自分の名前で家を 買うこともできなかった。建設現場で多くの家とアパートを作っても、手に残る のは貧困と蔑視だった」とし「私たちも労働者、人間らしく生きなければならない」 と訴えた。

決意大会を終えた彼らはトンファ住宅本社を通り、請求交差点までデモ行進を 続けた。

付記

チョン・ヨンギル、パク・チュンヨプ記者はニュースミン記者で、この記事は ニュースミンにも掲載されます。チャムセサンは筆者が直接作成した文の同時 掲載を許容しています。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2013-10-19 23:44:59 / Last modified on 2013-10-19 23:45:00 Copyright: Default

関連記事キーワード



世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について