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『道路の無法者』貨物労働者...彼らを危険に追いやるのは?

長時間、深夜労働不可避...眠気、危険、過剰積載運行が事故につながる

ユン・ジヨン記者 2012.06.27 14:47

『道路の無法者』と呼ばれる貨物労働者の頻発する事故を防ぐために、長時間 労働と深夜運行、低い運送料などの構造的な問題を解決しろという声が高い。

特に6月25日、貨物連帯が全面ストライキに突入して、長時間、深夜労働による 貨物労働者の健康権問題と労働災害認定問題が話題になっている。保健団体を はじめ、労働、市民団体まで、貨物労働者の健康権と労働災害認定の実現を 要求してストライキに力を貸した。

『道路上の無法者』トラック...高い事故発生率はなぜ?

『走る時限爆弾』、『道路上の無法者』などと呼ばれるトラックは、その名の 通り、高い事故発生率を記録している。

トラックの高速道路車両利用率は9.1%に過ぎないが、交通事故件数の割合は24.0%に のぼる。死者数の割合は何と40.6%になる。高速道路車両利用量に対する交通事故の 件数と死者数を比較すると、乗用車に対し各々3.6倍、8.4倍になる数値だ。

特に交通事故がおきた時、死亡につながる確率は乗用車より4.3倍高く、大きな 交通事故になる割合も乗用車の3.1倍も高い。実際、高速道の路交通事故死亡者 全体の数は2007年420人から2010年389人に減ったが、トラックの死亡者は122人 から148人に増えた。

このような高い死亡、事故発生率は、トラック運転手の危険運転、居眠り運転、 過剰積載および適材不良運行などによるものだと伝えられている。だが表面に 現れる運転手の運転態度の裏には、彼らを事故と死に追いやる制度的な問題が 存在するという指摘も提起される。

労働者運動研究所のキム・ドングン研究員は6月25日、危険な道路に追いやられ る貨物労働者の実態をイシュー・ペーパーとして発刊した。研究所はイシュー・ ペーパーで、貨物労働者の危険な運転態度が殺人的な長時間労働と深夜労働に よる居眠り運転、低い運送料料よる深夜運行と過剰積載運行などに始まると 主張した。

実際に2011年の運輸労働政策研究所調査によれば貨物労働者の1週平均労働時間 は69.9時間で、法的超過勤労時間の12時間をはるかに超えることが明らかになっ た。特にコンテナ貨物労働者の労働時間は月315時間で、その他産業部門労働者 の労働時間と較べ、圧倒的な長時間労働に苦しんでいることが明らかになった。

頻繁な深夜労働も日常化している。緑色病院が2009年に行った調査によれば、 貨物労働者の1か月平均の深夜運行は14.3日で、二日に一回の割合で深夜労働を している。そればかりか、労働者の63.6%は1か月に5日以上、眠らずに運行する 連続勤務に苦しんでいることが明らかになった。

特に、政府が主導的にトラックの深夜労働を誘導していて、深夜労働の割合は ますます増加する傾向だ。政府は現在トラックの深夜運行を誘導するために、 午後9時から朝6時に運行する場合、高速道路通行料金を50%割引している。

多段階下請の低賃金構造...貨物労働者『危険運転』に追いやる

そのため労働界と市民社会は、貨物労働者を長時間、深夜労働に追い立てる 賃金構造と貨物市場の体系、政府政策が高速道路の安全を威嚇すると主張する。

実際にヨーロッパの基準によれば、運輸労働者の週労働時間は48時間を超えて はならず、一日の労働時間は13時間を超えることができない。また深夜労働が 行われる場合、一日の労働時間は10時間を超えられないことになっている。

キム・ドングン研究員は「韓国の貨物労働者の労働時間は、この基準と比較す ると、非人間的といえるほどの長時間労働」とし「長時間運転は眠気を誘発し、 集中力を低下させ、交通事故の重要な原因になる」と指摘した。

このような貨物労働者の深夜、長時間労働は事実上、多段階下請構造による低 い運賃問題に始まる。貨物連帯の調査によれば、4段階の斡旋業者を通じ物量を 受ける車主の月純収入は69万ウォン水準であることが明らかになった。月労働 時間の314時間基準で換算すれば、時給は2197ウォンだ。

このように極端な低賃金の構造の中で、労働者は危険を甘受して長時間、深夜 労働による危険運転をするほかはない。キム・ドングン研究員は「貨物労働者 の極端な低賃金問題を解決しなければ『低賃金』と『長時間、深夜労働』、 『事故』と続く悪循環の輪を切り出せない」と強調した。

貨物連帯はこうした問題を解決するために、△標準運賃制法制化、△運賃30% 引上げ、△営業用トラックに対する免税油支給、△貨物自動車運輸事業法などの 貨物運送関連法制度全面再改正、△貨物運送労働者をはじめとする特殊雇用 労働者の労働基本権保障と労災保険全面適用などを要求し、全面ストライキを 続けている。

キム・ドングン研究員は「市民の交通安全と貨物労働者の安全と健康を守るた めには安定した貨物運送収入の保障と貨物労働者の労働基本権強化が必須」と し「特に貨物労働者の生存のためにも運送料の大幅的値上げは不可避だ」と 説明した。

長時間、深夜労働貨物労働者の健康権威嚇..、「労災保険の全面適用を」

貨物労働者は長時間、深夜労働で健康権まで脅かされる。2011年運輸労働政策 研究所の調査によれば、貨物労働者の41.4%は自分の健康状態に否定的な認識を していることが明らかになった。

特に貨物労働者は慢性的な筋骨格系疾患、高血圧、胃腸病などに苦しんでいる。 上の調査で筋骨格系疾患を抱えていると答えた割合は31.6%で、これは製造業の 労働者の筋骨格系疾患の症状有病率が23.9%であることを考慮すると、比較的 高い数値だ。

このような慢性的な疾病でも、貨物労働者は『特殊雇用労働者』に分類され、 労災保険の死角地帯に置かれている。事故や怪我をしても医療費から車両の 修理代まで全て労働者の負担になる。

だから保健医療労組と労働健康連帯など17の労働安全保健団体は26日、汝矣島 国民銀行の前で共同記者会見を行い、安全な道路のための標準運賃制の導入と 労災保険の全面適用を要求した。

彼らは「貨物労働者は各種の労働災害に日常的に露出し、何の社会安全網の保 護も受けられない」とし「何よりも貨物労働者の労働基本権を保障するべきで、 その第一歩として貨物労働者に労災保険を全面適用すべき」と強調した。

民主労総も26日、声明書を発表して労災保険の死角地帯の貨物、建設労働者に 対する労災保険全面適用を要求した。民主労総は「25日からストをしている 貨物運輸労働者と27日からストライキに突入する建設労働者の共同要求の一つが 労災保険全面適用」とし「民主労総は労災保険法の勤労者の定義を改正して、 250万の特殊雇用労働者に労災保険を全面適用する改正立法を要求する」と 明らかにした。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2012-06-28 10:29:00 / Last modified on 2012-06-28 10:29:01 Copyright: Default

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