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韓国:[清掃労働者デモ行進連続寄稿](4)放棄できない夢に向かって
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御用労組を越え、清掃労働者の権利探しが始まる

[清掃労働者デモ行進連続寄稿](4)放棄できない夢に向かって

オム・ジンニョン(全国不安定労働撤廃連帯) 2012.05.29 09:33

[編集者注]6月15日午後4時30分、弘益大正門前で『放棄できない夢、われわ れはまだ夢を見る』という題で『3回清掃労働者デモ行進』が開かれる。2010年 6月5日に第1回を開いてから毎年6月に開かれる清掃労働者のデモ行進は、この 社会で幽霊のように暮らす清掃労働者の存在と要求を知らせる場として、清掃 労働者の飯とバラの権利のためのデモ行進だ。労働組合と多くの市民社会団体 で構成された3回清掃労働者デモ行進準備委員会は、清掃労働者デモ行進準備委 への参加提案を始め、『女性、非正規職、最低賃金、複数労組窓口単一化』等 2012年の清掃労働者をめぐる多様な争点を含む連続寄稿を行う。

御用労組という障害

第3回清掃労働者デモ行進を準備しながら、現場の労働者が最大の困難だと訴え ているのがまさに複数労組の問題だった。正確には使用者側により設立されたと 推定される御用労組による困難だ。

考えてみれば、複数労組許容は誰よりも非正規職労働者の長い間の願いだった。 現場での非人格的な待遇に耐え、労働組合を作って闘えば必ず複数労組の是非 にかかり、まともな交渉を一度もしないまま解雇され、街頭での闘争を続けな ければならなかった。複数労組だからいけないという理由で独自の声を上げる のも難しく、御用労組の弾圧で権利の主張は誰よりも難しい非正規職労働者だ。 それで複数労組許容が延期されるたびに、真っ先に血の涙を流したのも、 まさに非正規職労働者たちだった。

しかし複数労組許容と共に導入された交渉窓口単一化制度。この悪法を活用し た弾圧は、清掃労働者にも例外ではなかったし、むしろ非正規職労働者にとって 御用労組の弾圧はさらに大きな威嚇になっている。

2008年、使用者側の解雇に対抗して、14日間の座り込みの末に学校側を交渉に 引き出し、雇用保障を約束させた誠信女子大。今、そこには民主労組がない。 そして民主労組を瓦解させられなかった事業場では、必ず御用労組ができて 民主労組を圧迫している。

昨年の元旦に解雇され、闘争を始めた弘益大清掃労働者。長い占拠座り込みと その闘争に集まった多くの連帯の手。それにより、労働者は復職することがで きた。だが使用者側は弾圧を止めなかった。闘争に対して損害賠償請求訴訟を 続ける一方、現場では御用労組を作り、労働者の力を瓦解させようとしている。

また、全州大では月70万ウォンの低賃金に苦しむ労働者が最低の権利のために 労働組合を作った。すると使用者側はすぐ別の労働組合を作り、窓口単一化を 理由に労働組合のすべての要求を拒否している。その上、労働委員会は使用者 (オンリーワン)が同じだという理由でチョンニャン・マートで働くレジ係など の労働者と、学校で働く清掃用役労働者の交渉単位の分離さえ認めず、労働者 の権利を制約している。

これだけ違う。延世大、梨花女子大、弘益大などの清掃労働者が労働組合を作 り、権利を少しずつ勝ち取ってきた事業場すべてに複数労組ができた。非正規 職の願いだった複数労組許容が、むしろ窓口単一化という悪法で労働者の権利 を抑圧する制度になって戻っている。

民主労組の権利

これを正面突破しようとした清掃労働者の行動は集団交渉闘争だった。昨年に 続き二回目の公共運輸労組ソウル京畿支部の集団交渉闘争は、多くの業者と 個別に交渉をせず集団交渉で労働条件を統一的に形成し、闘争の力をつけるため だった。同じ時期に一括妥結するという目標にはまだ達しないが、学校別に、 業者別に労働者を区別せず、共に戦う構造を作ったという点で意味が大きい。 そして特に、今年の集団交渉闘争は複数労組交渉窓口単一化制度を突破する 試みだったという点でさらに意味がある。

だがその過程もなかなか難しかった。法条文のどこにも集団交渉を禁じてはい ないが、現実では使用者の個別の同意でのみ可能だった集団交渉. 使用者が今 の弘益大のように集団交渉を拒否し、個別に窓口単一化手順を取れば集団交渉 に応じることを法的に強制する手段はない。

このために民主労総が法制度改善要求案として、交渉窓口単一化制度廃止と超 企業単位交渉について、使用者の交渉義務を法制化するよう要求しているが、 現在も、そして法が改善されても、最も効果的なのは労働者の団結力で使用者 を圧迫することだ。そしてその最大の武器は民主労組を放棄しない私たちの気持ちだ。

清掃労働者だけでなく、今の多くの事業場が共に味わっている困難が御用労組 による弾圧だ。使用者側は御用労組を利用して労働者たちを分断し、互いに背 を向けさせる。しかし民主労組の権利を放棄しなければ、当分は難しくても、 悪法を突破していく力をわれわれは再び蓄積できるだろう。

御用労組によって苦しんでいるが、清掃労働者は誰よりも民主労組の大切さを よく知っている。幽霊として暮らさなければならなかった時期を乗り越えて、 清掃労働者として堂々と自分を表わした彼らだ。また何より民主労組の組合員 という自負心で固く団結した労働者だ。民主労組という放棄できない夢、その 夢を見ることも私たちの権利だから、今日も堂々と戦っている。

放棄できない夢に向かって、一歩一歩

健康に働く権利、解雇されず、再契約のたびに雇用不安に苦しまず雇用の安定 を保証される権利、馬鹿にされず尊重される権利、適正な賃金を受けて安定し た生活を享受する権利、そうした権利のために清掃労働者が戦った。

その戦い、本当に長く続いてきた。許されない夢と思っていたが、自分の権利 だと知り、権利を実現するために労働組合を作って共に闘えば、そんな夢が一 つ一つ、近づいてくることも知った。そしてその夢に向かうデモ行進が、今では 御用労組という障害を力強く乗り越えるために、また力を集めている。

6月15日、清掃労働者のデモ行進が行われる。人間らしい世の中を夢見て、誰も 疎外されず、差別されない世の中を夢見る人々は参加しよう。清掃労働者たち の生に自身の人生を見る人、清掃労働者の闘争に自分の闘争を重ねる人も、 みんな参加しよう。放棄できない夢に向かって、一歩一歩共に進もう。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2012-05-30 02:01:06 / Last modified on 2012-05-30 02:03:03 Copyright: Default

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