本文の先頭へ
韓国:双竜車、冥福を祈る方法
Home 検索

双竜車、冥福を祈る方法

[連続寄稿](1)今は申し訳ない思いをせず行動してみよう

パク・ヒョヌク(労働芸術団宣言) 2012.05.11 11:41

「謹んで故人の冥福を祈ります」。
私が一番よくつく嘘の一つです。

私はまだ、何かの観念的な絶対者の存在を信じることができません。そのため 彼に何かを祈ることもできません。あるいはどこかあるかも知れないと思って 祈ってみることができないか思っても、私は、冥福を祈る方法を知りません。 それよりも、その言葉を言わなければならない状況に置かれる時、たいてい、 私の精神状態はあまりすっきりしていません。とても腹が立ち、とてもその死 を受け入れられず、その死の前に曖昧に立たなければならない自分が憎くて、 苦しくて... ですから、とうてい『謹んで故人の冥福を祈る』ほど整頓された 精神状態でもないし、そんな資格もないし...

長い間一緒にしてきたある事業場の仲間だけで、私は最近、この嘘を22回つき ました。まだその死を慰める言葉を見つからなかったからです。人の気持ちは みんな似ていると言いますが、私だけがそうでもないようです。とても短い間、 双竜自動車の22人の遺影が祭られている大漢門の焼香所に座っているときは、 そこに来る人のほとんどが「申し訳ない」と言いました。そうです。似た気持 ちでしょう。

肉体が持つ労働の能力のほかは、このすさまじい資本主義システムで生き残る どんな能力も持たない労働者から、その唯一の生存手段を奪ってしまう解雇。 双竜自動車の労働者たちは、だから「解雇は殺人」と叫びました。その労働者 当事者だけでなく、彼の労働力に頼って生存を営んだ家族にも及ぶ殺人ですか ら。そうです。あなたも見たでしょう? 真昼に二つの目に生々しく映った、そ の上、全社会の構成員がゆっくり座ってみろとばかりにTVを通じて生中継され たその殺人行為を。あの極悪非道な殺人犯が、他でもないあなたと私が構成員 のこの社会体制だから、そして、だから焼香所に来るたびに「申し訳ない」と 言ったのでしょう。

しかしすまないと思わなくてもいいのです。少なくとも彼ら22人の仲間の遺影 を全身で守る労働者には。彼らは哀れな人でも、痛ましい隣人でもありません。 彼らはその殺人行為には決して同調せず、相変らずその殺人犯と戦っているか らです。そして彼らの闘争は、私たちにこう話します。「今この殺人犯をはね 除けられなければ、その殺人犯と殺人行為から自由でありえる人は誰もいない」 と。だから申し訳ないと思うのなら、その殺人行為から自由でなくても、これ という行動をすることができない私たち自身にそう言うべきなのでしょう。

今、私たち自身に対しても、もう申し訳なく思うのはやめましょう。いや、少 なくとも申し訳ないと思わなくなれるように、今は行動しなければなりません。 資本主義という言葉を文字通り解いてみれば、『お金が根本』という意味でしょ う。とにかくただ膨張しようとする生理一つだけで形成された『利益』に霊魂 と人間性を全て売り払ってしまった殺人集団の資本家と国家権力に対し、全力 をつくして抵抗しなければ、われわれ労働者・民衆に線香のにおいは、さらに 深まって行くでしょう。まだわれわれは線香の匂いを認識できます。

それで申し訳ないと話すことで、故にもうこれ以上の死を防ぐ希望もあります。 私たちは大漢門の焼香所で、多くの人々に包囲された平沢の工場で、その希望 を確認しました。ついにその香りを認識することもできない程、無感覚になる 前に、もうこれ以上手遅れになる前に、今彼ら殺人魔と正面から対抗しなけれ ばなりません。他でもない私たちすべてが生きる道ですから。本当にこの世を 離れなければならなかった多くの命を慰めることですから。

その時、始めて冥福を祈る方法がわかるかもしれません。始めて嘘をつかなく ても良くなるのかもしれません。

追伸
5月18日は22番目に亡くなった双竜自動車労働者の四十九日です。そして5月19日 は汎国民大会があります。今、追慕を越え、この現実に正面から対抗するための 闘争の日です。5月19日の土曜午後4時、ソウル駅にみなさん集まってください。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2012-05-11 23:58:20 / Last modified on 2012-05-11 23:58:35 Copyright: Default

関連記事キーワード



世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について