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韓国:錦湖タイヤ再生、経営陣と債権団に責任を問え
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錦湖タイヤ再生、経営陣と債権団に責任を問え

不渡りの脅迫に対抗し、労組が経営統制権を確保しよう

ハン・ジウォン(労働者運動研究所(準))/ 2010年04月10日9時19分

▲3月20日錦湖タイヤ正門前光州全南労働者大会[錦湖タイヤ支会]

暫定合意案を否決、組合員は闘争を選択

金属労組光州全南支部錦湖タイヤ支会(以下錦湖タイヤ労組)が使用者側と暫定 合意した賃金団体協議案は、組合員の賛否投票で賛成44%、反対56%で否決された。 組合員は40%近い賃金の削減、全労働者の雇用不安につながる段階的な請負化、 一時延期でしかない整理解雇留保案に反対の意志を表明したのだ。

組合員の反対は、実際、とても正当なものだ。使用者側と労組の合意案は、 錦湖グループの朴氏一家の欲が作った損失を労働者の犠牲で復旧するもの でしかないためだ。

錦湖事態による犠牲:200億 vs 1400億ウォン?

錦湖石油化学と錦湖産業の一部の株式を使い、循環出資でグループ全体を支配 したパク・サムグ会長一家の損失は、これまで約200億ほどの錦湖産業の株式が 全てだ。

だが錦湖タイヤの労働者は、4か月間受け取っていない未払いの賃金だけでも 700億ウォンほどになる。そればかりか、合意案通りに賃金が削減されると、年 間約1400億ウォンを会社に渡すことになる。会社をこのざまにした経営陣の損 失と比べて、現事態にほとんど関係のない労働者が7倍以上の犠牲を払わなけれ ばならないということだ。

錦湖タイヤは大宇建設と大韓通運を買収するために無理に資金を運営した結果、 2009年だけで1185億ウォンの利子を支払った。経済危機前の2008年、錦湖タイ ヤが営業利益で3600億ウォン程度を稼いだので、正常に営業をしてもタイヤで 稼いだ金の3分の1は利子として支払わなければならないということだ。製造業 でこの程度の利子に耐えられる企業はあまり多くない。さらに債務の償還も考 えれば、錦湖タイヤはいくらタイヤ作って売っても残る金がないという状態だ。 参考までに2009年、錦湖タイヤより1兆ウォンほど売り上げが多かった韓国タイ ヤの利子費用は150億ウォン程度だった。

その上、錦湖タイヤは労働者に賃金も払えない状態で、2010年1月から2月末ま でに短期借入金2060億ウォンを返した。その上、2009年4/4分期に好転した営業 で得た収益も、すべて金融からの借入金の償還に捧げたのだ。

労働者が賃金も受け取れず、稼いだ金をすべて債務償還と利子支払いに使わな ければならないこの事態の責任は、誰が見てもパク・サムグ会長一家にある。 だが、まさに暫定合意案は労働者だけに犠牲を強要するのだから、組合員が怒 るのはあまりにも当然だ。

錦湖タイヤを生かすには錦湖事態の責任者の犠牲

暫定合意案否決のニュースが伝えられると、保守言論はまるで待ちかまえてい たかのように、労働者と否決運動を導く現場組織を非難しはじめた。彼らは労 組の構造調整同意書がなければ債権団は錦湖タイヤ債権返還を始めるだろうと し、労働者が会社を不渡りに追いやっていると主張した。

だが真実は反対だ。まさに会社を追いやっているのは、何の責任も取らず労働 者だけに犠牲を強要するパク・サムグ会長一家と、彼らの投機的な買収合併に 金を借した債権団である。

錦湖タイヤはグループ次元の資金動員による財務問題さえ除けば、営業問題は 比較的に少ない。現代車、起亜車、現代WIA、現代重工業、斗山インフラコアな どに製品を納品しており、国内のタイヤ市場で40%近いシェアを持ち、中国では 20%のシェアでタイヤ業界で1、2位を争っているためだ。

したがって責任者のパク・サムグ会長一家が私財をはたいて流動性危機を緩和 し、債権団も共に責任を取るという意味で、もう少し債務を延期すれば問題は 解決する。だが、パク・サムグ一家は経営権を守るために借金を返すのに必死 になっており、債権団は債権返還欲に目がくらみ、きちんと事態を見ていない。

労働者と光州全南市民の代案:パク・サムグ一家財産返還、健全な投資と労働側企業作り

したがって錦湖タイヤ再生の道は次のようだ。

まず会社の資産で投機に没頭したパク・サムグ会長の経営権を剥奪し、彼らの 財産を企業で返還する。現在、朴氏一家は錦湖石油化学を通じて錦湖タイヤを 所有している。錦湖石油化学が所有する株式を無償出資し、これにより目前の 流動性危機を解決しなければならない。

二番目、債権団は構造調整の圧迫をやめ、債務償還延期期間をもう少し延長し なければならない。また2月に何の条件もなく支援することにした運営資金1千 億ウォンを今すぐ支払わなければならない。債権団はまるでリストラしか会社 を再生できないかのように主張しているが、問題の核心は錦湖グループの無理 な資金運用であって、労働者の賃金ではないからだ。

三つ目、光州、全南市民が立ち上がって錦湖タイヤ経営陣と債権団の責任を問 わなければならない。一部の市民は労働者が闘えば錦湖タイヤに問題が起き、 地域経済が打撃を受けると感じているが、これは間違った考えだ。逆に、非正 規職が少なかい企業である錦湖タイヤから正規職を大量解雇して非正規職を拡 大すると、地域内の非正規職の拡大、労働者解雇がドミノのように広がりかね ない。地域の雇用にとって大きな悪影響だ。さらには朴氏一家と債権団が削減 した労働者の賃金は、債務償還金として光州・全南地域から出ていく。つまり、 残るものは雇用悪化、消費減少の悪循環だ。

その上、これまで錦湖タイヤの経営陣は光州全南企業という錦湖のイメージに より、地域で各種の恩恵を享受しても投資はしなかった。錦湖タイヤの設備資 産は2005年の8千億ウォンから2009年には6千億ウォン程度に急減した。光州全 南市民は新規投資どころか既存の設備管理もまともにしない錦湖タイヤの経営 陣ではなく、健全な投資と労働側経営で地域の雇用条件を改善しようと主張す る錦湖タイヤ労働者の主張に力を貸さなければならない。国外工場建設だけに 熱を上げるパク・サムグ会長と現経営陣は、光州全南地域に何の役にも立たない。

四つ目、労働組合が主導して所有権問題を含む錦湖タイヤの新しい展望を提示 すべきだ。今すぐ未払い賃金の全額を受け取れず、危機以前の賃金水準を回復 できなければ、それにふさわしい経営統制権を確保するべきだ。無条件に基本 金を削減し、非正規職を拡大する暫定合意書を受諾するのは有り得ない。債権 団さえ、借金を返してもらえないからと監査官を派遣して経営を統制している。 労働組合の経営統制は、国内の投資拡大と非正規職正規職転換といった地域親 和的な雇用政策につながるだろう。

続く不渡りの脅迫、生きた者と死んだ者の仲間割れへの労働者の返事は「団結闘争」

今この瞬間にも資本と保守言論は錦湖タイヤ労働者を非難している。会社側は すでに191人にリストラを通知することで整理解雇者と雇用有志者を分けようと している。保守言論は不渡り処理と法定管理の可能性に言及し、労働者を脅し ている。また賛否投票で示された組合員の闘争の意志を一部現場組織の扇動と 歪曲することで組合員と現場組織を分けようとする。

しかしいつも労働者が闘争するたびに繰り返された資本と保守言論の軽薄な宣 伝に錦湖タイヤ労働者が誘惑されることはない。悪意に満ちた資本の宣伝に対 する労働者の答はいつも団結した闘争であり、地域市民と共にする闘争だった。

債権団は4月20日頃までに錦湖タイヤ労組が構造調整合意案を出さなければ不渡 りを含む何かの措置を取ると脅している。だが恐れる必要ない。おびえた獣の 方が大きく吠えるように、今窮地に追い込まれているのはパク・サムグ経営陣 と債権団だ。法定管理に行けば、パク・サムグ会長が今のように経営権を維持 するのは容易ではないだろう。債権団も相当な債務削減に耐えなければならな い。反対に労働者は今よりさらに屈辱的で脅迫的な構造調整案を受ける可能性 は少ない。現在提示された案が最悪だからだ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-04-19 02:04:14 / Last modified on 2010-04-19 02:04:16 Copyright: Default

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