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現代車非正規労働者たちの孤軍奮闘

「座込場で正規職になる」

合同取材チーム 2010.11.29 08:59

現代車非正規労働者工場占拠座り込みが今日で3週目に入り、孤立した座込場で 正規職になるための労働者たちの孤軍奮闘が、時には笑いを、時には無念さを かもし出している。

「保守的といわれる法院がみんな、私たちが正しいと言ったじゃないですか。 法院が私たちを正規職させろというのに、いつこんなことがまたあるでしょう。 もう最後までやらなければ正規職になれません。初めての機会で、もう始まっ てしまったのですから、終わらせる最後の機会です。」

座込場の労働者たちは確固としてそう信じていた。しかし法がそう言っても、 この世がそれをそのまま聞き入れるだろうか。彼らもそうではないことをよく 知っている。それで彼らが選択した道がまさに『座込場で正規職なる』だ。

家庭ではなく自動車工場のラインで基本衣食住を解決しなければならない生活 なので、多くのことを工場の中で見つけて活用する生活だ。ダンボール、黒い ゴミ袋、接着テープ、ビニール、金網フェンスなど全てを総動員した座込場の 生活が多様な風景を作り出す。

自動車工場の座込場に洗濯ロープがあるわけもなく、多くの人員の洗濯物をほ す所も多くない。その上、ロープを見つけられない労働者たちは金網フェンス の穴に紙を丸めてつっこみ、洗濯物を乾す。靴下は、ロープで乾すよりずっと はやくかわく長所もあり、奇抜な発想だ。

▲湯でゆがんだプラスチックのコップを持つ手がさびしい。

占拠座り込みが長びき、座込場の中では紙コップを見つけるのも容易ではない。 結局労働者たちは紙コップを再使用するために、枕元に紙コップかけを作った り、それもない人は空のペットボトルを切って個人カップを作った。湯でゆが んだコップにコーヒー一杯を分けて飲む労働者は「ああ、すばらしい味だ」と 言って互いに笑う。

4〜5百人の労働者が生活するには、座込場の施設不足による困難も侮れない。 大便器2つ、小便器2つで生理現象を解決するのでトイレの前はいつも満員だ。 急だがうっとうしいトイレの列並びの皮肉な状況を、労働者たちはトイレの壁 に掲示板を作って解決した。トイレ壁面の掲示板に毎日掲示される占拠座り込 み関連の報道は、順番待ちのつらさを忘れなければならない労働者たちにとっ てこの上なく良い読み物だ。

▲急だがうっとうしいトイレ列並びの皮肉な状況。

体を洗う空間は、トイレの中に洗面台とシャワー施設が各々一つずつ、そして トイレの外に水道1つが全て。そこで洗濯までする状況なので、狭い3坪ほどの トイレの中も常に混雑するはずだ。だが座込場で井戸を掘ることもできないの で、混雑した時間を避けて使うしかない。それでシャワーを『挑戦』と表現す る労働者もいる。込んだトイレを突き抜けたりなるべくあまり混雑していない 時間を選んで、氷のような冷水を全身に浴びる準備が必要だ。

11月末、初冬に入り、使用者側が暖房を切った座込場は、ますます温度が下がっ ている。だが占拠座り込みの長期化を憂慮する使用者側は寝袋の搬入を防ぎ、 労働者たちは寒さと対抗する多様な方法を披露した。

寝袋やふとんなしで眠らなければならないので、その代用として薄いビニール と横の同僚の体温で冷たい寝床に耐える。その一方で同僚どうし「これもみな 思い出だ。私たちがいつこんなに一緒に寝たことがあるか? それもシャワーも せず」、「『シャワーもせず』それはどういう意味だ!」と冗談をやり取りする。 それも見つからない人はゴミ袋に使う黒いビニールの中に足を入れ、新聞紙を つないだ紙のふとんをかけたりもする。

寒いがしょうがない。とにかくもっとかぶなければならない。破れた薄い作業 ズボンを青テープでつないで、もう一枚かぶる。「オイ、なにしてる?」「テー プがもったいない」。ただ、同僚らの非難に屈してはいけない。「足がものす ごく冷たいんだ」。ある労働者は明け方の寒さに足とふくらはぎが冷えると、 銀箔シートの切れをガムテープではり、両足を一度に入れる防寒ぐつを作った。

▲座込場の救世主、万能ガムテープ

▲朝の冷たい空気に足とふくらはぎがとても冷える。

▲時々将棋の駒を作り、正規職になる時間に耐えているのかもしれない。

一方、狭い空間で長く生活をするので、単調な座込場生活での暇つぶしを探し たりもする。座込場の片隅に転がっている木を削り、将棋の駒を作っている労 働者もいた。彼は「人は多いが将棋の駒は足りない、一つで多数が順番に使う ので作り始めました。ところが事実、座込場の中だけで生活するから個人時間 には特にすることがない」と、暇があれば36個の将棋の駒一つ一つを精魂を込 めて作っていた。言葉は無愛想だが、あるいはそうして正規職になるための時 間に耐えているのかもしれない。

今日で現代車非正規労働者の占拠座り込みは3週間目に入った。28日に現代車の 使用者側は『交渉ではなく協議』を、『社内下請労組との協議なので下請業者 代表の共同参加』を主張した。だが、必ず正規職名札を付けて出て行くという 非正規労働者はここまできてその希望を捨てられないという。

現代車蔚山第1工場で非正規労働者は今日もトイレの列を作り、自分たちについ ての報道を読み、冷たい空気に耐えて薄いゴミ袋の中で眠るだろう。そして時々 将棋の駒を作って、焦る家族との画像通話をして、正規職の名札を付けて出て 行く日を夢見ているのだろう。

このとんでもない非正規労働者たちの『座込場で正規職になる』は、約束なく 続いている。(蔚山=メディア忠清、蔚山労働ニュース、チャムセサン合同取材チーム)

▲写真撮影を見ていたある労働者が「数字だけ増えてはいけないのに、ア〜本当に頭が痛いね」といいながら気さくに笑った。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-11-30 03:32:52 / Last modified on 2010-11-30 03:33:02 Copyright: Default

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