本文の先頭へ
韓国:S&T重工業労組弾圧、告訴告発1000人、懲戒500人
Home 検索

S&T重工業労組弾圧、告訴告発1000人、懲戒500人

[寄稿] 7か月、終わる兆しのないS&T重工業の団交

キム・テクソン(S&T重工業支会) 2010.10.12 18:09

S&T重工業支会(支会長イ・ドンス以下支会)とS&T使用者(チェ・ピョンギュ、 以下会社)は、2010年の賃金および団体協約団体交渉について、9月16日(木)に 労使間で実務意見を一致させた。そのため支会では9月17日(金)実務一致案につ いて組合員総会を実施した。だが結果は予想外に59%の反対で否決だった。

87年に民主労組運動が始まって以来、団体交渉で成果への提案が不足しても、 組合員総会で賛成率(%)が低いことはあっても、否決されたことはなかった。今 回の総会否決についての組合員の考えは、組合活動が難しくても、これほど会 社が賃上げをしない理由は何もないという意見として反対票を投げたというこ とだ。つまり総会での否決は会社が最善を尽くさないことに対する組合員の怒 りを現わすものだ。

最高オーナーの『希望』という嘘

会社は旧統一重工業の不渡りで2003年にM&Aで買収された。買収当時の代表 理事だったチェ・ピョンギュは、「会社が黒字になればすべて戻す」、「5年以 内に同業者と賃金、福祉などを90%水準に引き上げる」、「会社の作業服を堂々 と着て歩けるようにする」等の本人名義の宣伝物を何回も出して「希望を持と う」と主張しつつ、一方では労働組合が生産より闘争を続けるので会社が苦し くなったと労働組合を罵倒した。

統一教資本と多くの闘争をしてきた組合員たちは、自分の力で一家を成した現 会長の言葉と、5年以内に同種業者と同等の水準の賃金、黒字が出ればみんな戻 すという言葉を信じて、支会の闘争指針より会社が言うまま熱心に働いた。

▲S&T重工業は2004年から黒字行進を継続している。

その結果、会社は2004年から黒字行進を続けている。そして昨年(2009年)には 何と520億ウォンという莫大な利益をあげた。だが会社は今年も賃金85000ウォ ンと黒字半期に50万ウォン引き上げ、成果給300万ウォン、労組活動は法の通り (タイムオフ)適用で終わってしまった。

こうして7年間、会社は会社の不渡りによる精神的苦痛をあじわう組合員に「黒 字が出れば皆上げる」という包装紙で偽装していた。現場の組合員は昨年の黒 字にもかかわらず、世界金融危機という理由で賃金が凍結され、今年は大幅に 賃上げがあると信じた。だが今年も8万余ウォン水準に止まり、会社に失望した 組合員は団体交渉実務交渉意見一致案を否決したのだ。

片手にバラ、片手にナイフ

ポートフォリオとは、個々の金融機関や個人が保有する各種金融資産の明細票 で、多様な投資対象に分散して資金を投入、運用することを称する用語だ。会 社は2004年からポートフォリオという、世界のどこにもない賃上げ方式を提示 し、低賃金政策を駆使し始め、低賃金政策を定着させるために活動家と支会を 無茶苦茶に弾圧し始めた。

団体交渉に明示された組合員の教育時間を認めずに、教育時間に出征式と追慕 祭に参加した組合員300人を懲戒し、団体交渉時に現場巡回をする幹部を事務職 を動員して、暴力を誘発させ、体当たりで押し倒されれば入院して支会幹部を 暴行で告訴告発した。

2009年まで告訴告発された人数は1000人を越える(重複者含む)。組合員の懲戒 も500人を越え、暴圧的が弾圧行為を通じて現場を掌握し、会社が望む低賃金政 策を施行してきた。

▲会社は団体交渉時現場巡回をする労組幹部たちを事務職を動員して暴力を誘発している。

会社は支会を組織的かつ完ぺきに弾圧しようと、労働組合の動きをよく知る旧 大宇自動車で組合活動をしていた人を重役に迎え入れた後、執拗な弾圧を実施 した(この人は現在、代表理事職にある)。会社は片方では希望を話し、他方で は両刃の剣の低賃金政策と、支会と現場への弾圧を実施した。

総会不認定に支配介入まで

普通は労使間で意見した一致した案が組合員総会で否決されれば、使用者側で も支会でも負担に思い、早急な交渉で新しい案を作って終えようと努力するの が常識だ。

だがどういうことか、会社は総会の否決後、一か月たっても一度も交渉の席に 参加していない。しかし交渉に参加しない使用者側は、文書と会社の宣伝物で 労働組合の運営に支配介入している。文書では実務意見一致書に支会長が署名 したので総会否決の責任は支会にあり、交渉はできないと主張している。

団体交渉について、以前の企業別労組だった時は労使間の交渉で意見が接近す れば暫定合意した後に組合員総会を経て、最終的に労使間合意書に署名してい た。だが企業別労組ではなく、産別労組の体制では、交渉権と締結権が産別労 組委員長にある。これは法的にもそうだ。

委員長が全国を飛び回って交渉することはできないので、各支部長に交渉権を 委任して、支部は地域の支会(事業場)交渉を掌握するため、委員長の委任を受 けた支部役員が支会交渉の代表として参加する。

締結権も委員長にある。今回の労使実務意見接近案が組合員総会で通過すれば、 委員長が直接出席するか委員長から委任された者が最終合意書に署名する手続 きが進められる。このような手続きをよく知っている会社側の役員(代表理事と 常務理事)が交渉には参加せず、不当労働行為をしているのだ。

▲現在支会は幹部循環徹夜座り込みと昌原大で朝出勤闘争を実施し、現場組合員の循環部分ストを実施、昌原大で横断幕とピケデモを実施している。

以前は民主労組運動をしながら労働組合幹部をしたという今の代表理事と常務 理事がこんな主張をする事自体が本当に情けない。会社のこうした主張は産別 労組の金属労組を認めないことで、また会社側のこれらの行動は労働組合の運 営に支配介入する不法な行動だ。

会社の不当労働行為を労働部は見ぬふり

4月に始めた賃金団体協議交渉が7か月目に入っても終わる兆しがみえない。現 在、支会は幹部循環徹夜座り込みと昌原大での朝出勤闘争を実施しながら、現 場の組合員の循環の部分スト、昌原大で横断幕とピケデモを実施している。会 社側は組合員の団結を妨害し弾圧する目的で、午後の部分ストの後に昌原大で 闘争に参加する組合員には延長勤労と休日勤労をさせないと脅迫している。

労働部は今年、タイムオフを実施しない大企業の労使関係に介入している。労 働部は、事業場労組、支会専従者を削減し、組合活動を萎縮させて資本に都合 のいい労働組合を作ろうとするMBの労働政策に積極的に忠誠をつくしている。 また労働部は、労働組合の正当なストライキを妨害し、ストライキに参加した ことを理由に不利益をあたえるS&T重工業使用者側の不当労働行為を対岸の 火事のように見物している。

労働部は、支会の正当な「ストライキを理由とするいかなる不利益も与えるこ とはできない」という労働法に違反しているS&T重工業の不当労働行為を認 め、会社を厳重に調査して処罰しなければならない。昌原地方労働庁事務所は S&T資本の不当労働行為をなぜ知らないふりをしているのか? 被疑者の陳情 がないから? いや違う、あんな連中にどんな期待ができるだろうか。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2010-10-13 07:37:32 / Last modified on 2010-10-13 07:37:32 Copyright: Default

関連記事キーワード



世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ
このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について