韓国:2009年メーデー『44万ウォン世代』の叫びと連帯 | |
[MenuOn] Home | ニュース | イベント | ビデオ | キャンペーン | 韓国 | コラム | About | Help [login ] | |
2009年メーデー『44万ウォン世代』の叫びと連帯[寄稿]青少年労働運動で世の中をながめる
チェ・ソンヨン(アスナロ)/
2009年04月30日11時03分
メーデーは『世界労働者の日』だ。119年前に米国の労働者たちが『8時間労働 制争奪』のために血を流して闘ったことを記念する日だ。だが今日の韓国では 法的に8時間労働制があるのに、10時間以上働く労働者が多い。その上、李明博 政権は最低賃金を改悪して非正規職をさらに量産するといっている。また現在 の世界資本主義は、今や経済大恐慌を迎えようとしていて資本の苦痛分担攻撃 が日ましに強まっている傾向だ。 こうした混乱した時期に、今年のメーデーはこれまでとは違う様相を見せてい る。民主労総は『社会連帯労総』になると話し、苦しむ民衆の集結を主張して いる。現恐慌期に会社から切られる非正規職、女性労働者に、不足だが関心と 闘争を強める努力をしている。 しかしこうした急な時期に、私は誰も関心を持たない『青少年らの労働』につ いて話したい。現在青少年の労働は、きちんと統計に集計・調査されておらず、 周辺部の果てに追い出されている状態だ。こうした状況とからみ、現在青少年 人権運動陣営では『青少年労働運動』への取り組みが始まっている。だから 『青少年労働運動』が主張する労働権と経済的権利について話したい。 アルバイト、認められない労働 全泰壹評伝で描写されるように、過去の韓国産業化の時期に、多くの青少年労 働者は地獄のような労働をあじわっていた。女工に象徴される青少年労働者は 韓国経済の発展の中で非常に大きな比重のある賃金労働者だったのに、そのよ うな記憶は忘れられ、現在では青少年の労働は無関心の対象だ。 まず、『アルバイト』という言葉から、青少年労働への社会の一般的な視点が 読める。略して『バイト』と呼ばれる青少年の労働は単純な『小遣い稼ぎ』に 過ぎないという認識の下にその労働の重要性が認められていない。しかし小遣 い稼ぎのための労働だからその価値が低いというのもおかしいが、さらに大き な問題は、切迫した貧困・貧困で『バイト』をしなければならない青少年労働 者も多数存在するという事実だ。1) このように、青少年の労働が周辺部に追いやられているのは、色々な原因が複 合的に存在する。優先的に青少年を『未成年者』と規定するイデオロギーと、 法が根本的問題として作用する。未成年者は文字通り成年に至らない『未成熟 な存在』という意味を持っている。近代資本主義社会で児童搾取を禁止するた めに、青少年の労働は禁止され、青少年は『家族賃金制』で家庭に隷属し経済 的権利を享受できるようになった。同時に労働しないため、学校と家庭で保護 され、教育を受けるべき存在になった。つまり、資本主義社会で労働とは基本 的には一人の人間が『主体』として生きていくための行為だが、このような労 働権を剥奪された青少年は主体として考慮されない未成熟な存在、未成年者に なったということだ。 そしてこのようにして形成されたイデオロギーの物的土台は、相互を強化する。 青少年自身が労働者というアイデンティティより学生というアイデンティティ を強く持ち、さらに労働する青少年への『遊んでいる子』というような社会的 烙印を内面化する。内面化されたイデオロギーは、当然青少年自身が労働する ことに対する拒否感を持たせる。また『家族賃金制』は青少年を家庭に隷属さ せただけでなく、家族賃金制イデオロギーは青少年の労働が不必要だという論 理に続く。 こうしたイデオロギーは、青少年を『保護』するという名目で『拘束』するこ とでしかない。まず、ほとんどの青少年は階級的に無産階級に属し、それによ り予備労働者という存在性を持つ。それでも労働からの『保護』を言うのは 『反階級的』で、青少年を制度に閉じこめておくだけだ。そして同時に青少年 を労働から『保護』したのは、『危険な労働現場』ではなく『安全な学校』に 拘束されるようになっただけだ。2)は青少年を主体として見ないことで問題を 臨時方便で処理することに過ぎない。 青少年=未成年者というイデオロギーは、青少年を『保護』するという論理に陥 るが、青少年の労働を『軽視』する立場に進むケースも多い。上のように単純 な『小遣い稼ぎ』として青少年労働を取り扱ったり、年齢が若く、だましても いいといった思考で事業主が労働法に違反することが青少年労働軽視の例だ。 実際に最低賃金法違反、時間外手当ての追加手当て未支給、賃金不払い、6時間 労働違反、人格冒とくと暴力など、さまざまな労働権侵害が頻繁に起きている3)。 特に賃金は1か月におよそ『44万ウォン』しか受け取れずにいる現実だ4)。し かし、こうした労働権侵害にも青少年労働を『軽視』する社会はこれに対して 大きな関心を持たず、むしろなぜ青少年が労働するかというように青少年労働者 を攻撃したりもする。 たとえ青少年労働が過去の産業化時期のように、賃金労働の多くの部分を占め はしないとはいえ、だが青少年の労働する自由を抑圧したり、あるいは青少年 の労働を搾取する権利が正当化されるのではない。 青少年保護ではない青少年「労働の保護」 青少年の労働する権利を肯定する時、当然青少年の労働は「保護されるべき だ」。しかし青少年を保護するという視点からの論理は、上のように結局青少 年が危険な労働をしてはならないという論理に帰着しやすい。それで青少年の 『労働』が保護されるべきで、これは『青少年として』保護されるのではなく、 『労働者として』当然保護されることでなければならない。 したがって最低賃金制と6時間労働制がほとんど守られず、賃金不払いの問題、 労働現場の危険と人権侵害問題などは当然是正されるべき問題だ。社会的に最 低水準で合意したことさえ守られない青少年の労働人権の実態に対して、現在 労働部と労働庁が見せる微温的な態度ではなく、政府の断固たる監督と対処が 当然必要だ。 だが監督の問題だけでは解決しない。単に合法か不法かという議論は労働搾取 の問題の範囲を限定するだけだ。青少年労働の問題は、青少年だという原因と 同時に、労働者という二重の矛盾を内包している。したがって労働が自己疎外 から解放されるためには、単に合法を主張するだけでは不足する。合法的な労 働の権利の保護は、矛盾の一部分を解決するだけなのだ。 そして一つ、懸案的な『両親同意書』の問題がある。現在の法では、青少年が 働くためには両親の同意書が必要だ。だがこれが果たして青少年の「保護か、 抑圧か」には真摯な悩みが必要だ。青少年、子供の労働給与を両親が代わりに 受け取ることを禁止しているのは、青少年を保護し、主体的な存在と認める良 い法条項かもしれない。しかし青少年が自ら労働に対して両親の同意を得なけ ればならないことが、果たして青少年へのきちんとした保護だろうか? むしろ 実質的に労働を禁止するようにするのではないだろうか。 青少年を主体として認識する時 数年前、韓国では、戸主制廃止の問題が話題になった。戸主制の論争を白黒の 立場で乱暴に区分すると、戸主制廃止が家庭の崩壊につながるという主張と、 女性が家父長的な秩序に対抗できるようになるという主張が対抗した。私はこ こで後者を積極的に支持して主張する立場だ。韓国社会で家父長は金を稼ぎ、 家族を食わせ、生かす存在として認識─家族賃金制─される。このような家父 長の犠牲は、一方では家父長の権威とそれに対する服従を前提に形成される。 では、この家父長的な秩序を破るためには女性の労働による経済的権利の獲得 がとても重要なわけだ。すなわち家父長の家族賃金にしがみつく受動的存在で はなく、自ら独立して暮せる主体的女性になる時、家父長的な秩序は破られる ということだ。 さらに、女性と共に青少年を家庭に属して保護される受動的存在ではなく、自 ら労働して独立することもできる経済的権利を持つ『主体』として見ることも 重要だ。青少年が両親に(特に家父長に)従属することも経済的な側面で家父長 が稼ぐ家族賃金が大きな理由だ。だから子供は両親にただ服従しなければなら ず、家庭暴力のような事があっても両親に抵抗できない。そして不当な家庭内 の問題に抵抗し、青少年が家出しても、両親の同意がなければ労働ができず、 家出は短期で終わるほかはない。結局青少年は家父長的秩序に従属せざるをえ ない。したがって家庭での青少年の問題を解決するためにも、青少年労働の問 題を重く扱わなければならない。 そして青少年労働者を主体にする時、彼らが働く事業場での問題も違う対応が できる。これまで青少年は事業主の人権侵害や不法行為に順応したり労働庁に 申告するしかなかった。だが青少年労働者も労働三権で保障された権利を享受 する自由があり、積極的な団結と闘争で労働問題を解決することもできる。実 際、現在、青少年団体をはじめとする社会団体が青少年労働者を組織する事業 を準備・実行している。 もちろんこれは容易ではない。青少年労働の特性から短期契約職が多く、青少 年を主体として見ない社会の視線が青少年に内面化されているため、積極的な 抵抗を模索するのは容易ではないのだ。 したがって青少年自らの主体的な組織化と活動・闘争に加え、民主労総次元で 一般労組・地域労組による連帯事業も必要だろう。また準組合員第5)のような 政策で、青少年労働者を組織する方式も可能だろう。 韓国社会の周辺部で、しかし連帯を叫ぶ SPM事態以後、韓国社会の階級対立は急速に深刻になっている。すでに非正規職 労働者への整理解雇はうわさなく形成されている。こうした問題は単に解雇か 破産した個人だけでなく、家庭自体を破綻に至らせている。したがって『貧困 青少年』の問題も深化されているのだ。 こうした貧困には雇用だけでなく、社会福祉制度の拡充も至急な問題だ。貧困 の問題を個人の責任に押し付けるのではなく、国家が社会安全網を打つ社会福 祉制度が必要だ。教育問題だけでも登録料や私教育費による家庭支出が深刻な 状態に達している。私教育費に耐えられない家庭は貧困が相続され、登録料に 耐えられない家庭は大学生が休学して労働しながらやっと大学に通うほかはな い状況だ。こうした問題には国家が『無償教育制度』を実行しなければならない。 そして学閥社会の韓国は学歴と学閥の差別が深刻だ。こうした社会で青少年の 労働権を保障するのはむしろ強い階級再生産を呼ぶ余地も充分だ。だから基本 所得制度のような革新的な制度の悩みも必要だ。 しかし問題は、いくら叫んでも今のMB政府が聞く耳を持たないという事実だ。 現実的に、いくら代案的政策を主張しても欺瞞的な非正規職法の改悪をしてい るのに、政府に訴えるのはおろかなことでしかない。 現在、MB政府が施行する最低賃金法改悪は、青少年の暮しに直接的な打撃を与 えると予想される。それだけでなく、雇用の柔軟化は青少年にも雇用不足の苦 痛をあじわわせ、資本家の苦痛分担に対する青少年労働者の闘争も必要だ。6) 青少年労働者の問題は、単に青少年だけの問題ではない。それは青少年を含む すべての労働者と弱者の問題だ。したがってメーデーに青少年も立ち上がるだ ろう。男性と女性、正規職と非正規職、非障害者と障害者が連帯するように、 青少年も一つの主体として、非青少年と共に連帯するだろう。 重ねて〜さらに悩みが必要な問題 以上の文にもある悩みだが、もっと深い論争と代案が必要な問題が存在する。 1. 青少年の経済的地位と権利についての悩みがさらに必要だ。上の文で青少 年の経済的地位に対する2つの矛盾した立場が存在する。一つは青少年の労働の 権利を認めなければならないという立場で、そしてもう一つは青少年のための 基本所得制度のような社会福祉制度を拡充しろという主張だ。前者は青少年を 主体と認識しなければならず、したがって自由な労働の権利も認めなければな らないという論理だが、後者は労働の権利は労働しなければならない貧困青少 年と、労働しなくても良い裕福な青少年の間の階級格差を深めるので、社会福 祉制度に焦点を合わせなければならないということだ。 もちろん2つとも同時に進めるのが正しいのだろうが、問題の焦点は青少年の 『経済的地位』と『経済的権利』がある程度認められるのが、正しいのかにつ いてである。経済的に自ら労働して独立して暮す地位と権利を認めることが果 たしてどの程度望ましいのか、反対に青少年が労働の必要をあまり感じず『学 習労働』するようにすることが正しいのかについてのジレンマは、社会的論争 と合意が必要だ。 2. 最近、青少年人権運動陣営で議論されている内容がまさに『青少年労働組 合』のような内容だ。青少年の労働問題を代理的に解きほぐすのではなく、結 局は青少年が自ら組織化して闘争することが根本的な問題解決にならざるをえ ないという点で、これは必然的な悩みだ。では優先的に青少年労働者自らが 『アルバイト生』という、イデオロギーに内面化されたアイデンティティで労 働権を侵害されることに対する不感症についての悩みが必要だ。 そして青少年自らの組織化だけでなく、一般労組や地域労組次元での組織化と 連帯、そして民主労総蔚山地域本部がしようとしていた『準組合員制』のよう な外縁を広げる方式の組織化も必要だろう。 *注* 1) 2008、『アルバイト青少年の賃金と労働人権実態報告』、青少年労働人権ネッ トワーク。アルバイト賃金使い道項目を見れば生計費計測調査に入る項目が被 服費、交通費などで62.3%になる。またアルバイトを止めると最も心配なことに ついての項目では「特別に心配ない」が10.6%で、約90%が生計型アルバイトに 該当するということが分かる。 2)こうした現実はある青少年を死に追いやった。「17才高校生の自殺、その理 由は?」、 OhmyNews(http://www.ohmynews.com/NWSWeb/View/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0000431498) 3) 2008、『アルバイト青少年の賃金と労働人権実態見て|報告』、青少年労働 人権ネットワーク. 4)青少年労働1か月の賃金を計算すると、最低賃金に至らない時給3000ウォン× 法的最大労働時間40時間×4週=1か月賃金額480000ウォンになる。ここで賃金の ピンはねなどを考慮すれば44万ウォン程度だと言える。20代非正規職の1か月の 賃金が約88万ウォンだとすれば、青少年の労働は非正規職の「半額」にしかな らない。このような現実から見て、20代が「88万ウォン世代」だとすれば青少 年は「44万ウォン世代」である。 5) http://www.nodongnews.or.kr/News/View.aspx?pdsid=3240& type=&totalid=4340&keyword=準組合員制&keyfield=content 6)青少年の労働力需要が必要なところは主に中小零細事業場だ。中小零細事業 場は内需に最も直接的で、したがって現在韓国の内需問題は中小零細事業場だ けでなく、青少年の雇用および賃金にも影響を及ぼすだろう。 翻訳/文責:安田(ゆ)
Created byStaff. Created on 2009-05-03 18:24:19 / Last modified on 2009-05-03 18:24:44 Copyright: Default 世界のニュース | 韓国のニュース | 上の階層へ |