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韓国:双竜、解雇-生計-捜査が強要した『自殺』
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「心が傷ついた... 雨の音も気になる」

[メディア忠清]双竜自動車、解雇通知-生計-警察捜査が強要した『自殺』

チョン・ジェウン記者 www.cmedia.or.kr / 2009年09月17日12時04分

全身に傷を負って病室に横たわっていた双竜自動車労働者イ○○氏。首の中も 傷で、やっとおかゆが口に入るだけの彼は、同僚を見るやいなや涙を浮かべて 話し始めた。

「申し訳ない。私が強い姿を見せるべきなのに…」

整理解雇通知を受け取り双竜車の77日ストライキに参加した李氏は、9月14日の 午前2時30分頃、自宅2階のベランダでゴムホースに首を吊り自殺を試みた。ス トライキの後、憂鬱症と不眠症で苦しんだ彼は、同僚、家族と対話したくても 会話の門を開けなかった。ますます少なくなる口数…。

同僚が「兄にどんな罪がありますか」と言い、李氏は申し訳ないという言葉と 共に「私がこうしていてはいけないのに、強くなるべきなのに」と繰り返した。 そして、「首のホースの跡がひどいか」と尋ねてぎこちなく微笑した。

何が彼を『崖っぷち』に追いやったのか。

あんながんばって生きてきたのに

「暮らすことはどういうことか。なぜクビになったのか私には理由もわかりま せん。残った人は勤怠が良い? それは違うでしょう…労働者が悪いことをした わけでもないのに。知り合いの先輩が事業しようと言っても聞き流した。そう いう話は気にしませんでした。ストライキの後、会社は合意事項をみんな破り、 同僚は拘束されて。同僚と共に闘って最後まで責任を取らなければいけないの に…お父さんは早起きした鳥が先に餌を取るといつも言ってました。私は毎日 会社に一時間早く出て行って、工具を開いて、作業の準備をして、『今日は何 をしようか』考えました。それなのになぜ私が解雇対象者になったのか理由が わかりません。本当に暮らすために77日間、熱心に闘いました」

李氏は解雇される前、地道なボランティア活動で、地域で有名だった。錦江の 平沢貯水池でのゴミ拾い、マラソン大会の時は交通整理活動など何十種類もボ ランティア活動をしていた。特に双竜車正門前では3年間交通整理のボランティ アをした。『それほど熱心に暮したのに』会社は李氏を解雇した。

「私が地面に倒れていたのを妻と子供がみんな見ました。私が憂鬱症なのか、 不眠症かわかりません。ベランダにホースが見えて、首にかけたのですが…そ の後は何も思い出せません。病院でした。一瞬でした…子供たちに恥ずかしい。 中学3年、1年と小学生の子供がいるのに、自分で学校に給食費申請して。思春 期で大変だったはずなのに…申し訳ない」

保証金500万ウォン、月々50万ウォンの李氏の家には5人の家族が暮している。 整理解雇通知を受けた後、李氏の妻が一週間に一日休んで土曜日まで働いてい るが、せいぜい月給は120万ウォン。5人家族がこの金で暮すのは…不可能だろ う。今は50万ウォンの支払いもできず、引っ越さなければならない状態だ。李 氏は「引越しのことを考えると頭が痛い」と話してうな垂れた。

「希望退職した同僚は慰労金を受け取れず、ネットカフェを予約して中途金を 払えず、何も出来ずにいます。私は、今入院していますが、金がかかるので意 識を取り戻したらすぐ二人部屋から大部屋に移動しました。たくさん拘束され て…でも違います。こうして絞り取れば、腐ったところが裂けるでしょう。な ぜ国民を殺し続けて、貧しい人を崖っぷちに押し出すのでしょうか」

警察捜査でアルバイトもできず

生計問題でアルバイトでもしなければならない李氏は、警察の捜査のために安 定してアルバイトもできないと吐露した。知りあいがやっている幼稚園で仕事 を手伝って20万ウォンを受け取ったのがすべてだ。

「警察は『家で待機しなさい』と言います。いつまで待機しなければならない のでしょうか? 警察の罵声も耐えました。でも私が何か間違いをしたのか... いくら高圧的な捜査でも、ストレスを与えてえはいけません。アルバイトもき ちんとできません。アルバイトして調査に出てこいというけど…働いて抜けれ ば嫌われます」

李氏は警察捜査で多くの同僚が苦しんでいると話した。同僚が、毎日のように 電話をしてくる。

「警察は同僚1人が私の名前をあげたからと、追及しました。しないことをした ということはできないでしょう。警察は腹を立てて、ののしって、皮肉を言い ました。無線機で私が話したのをすべて聞いたといって…しかし根拠の資料は 一つもありませんでした。純情な同僚をそそのかしておびやかして…」

77日ストライキの後に変わった私

李氏は15日間家を出たことがあった。子供たちに一度も悪口を言ったことがな かった李氏がある日子供たちに怒って悪口を言った。

「子供たちに一度も悪口を言ったことがなかったのに... 一度話をしたのに、 子供たちが聞かなくて部屋の中を歩き回るので、私も気づかないうちに悪口が 出てきました。子供たちに申し訳なくて、自分自身の姿に耐えられずに、家を 出てしまいました。家に帰って、子供たちに『お父さんはもう悪口を言わない よ』と約束しましたよ。はがゆい日の連続でした」

ストライキが終わった後、李氏は憂鬱症と不眠症を病んだ。バイクの音と冷蔵 庫の音は、ストライキの時に昼夜を問わず響いていた警察のヘリコプターと会 社側の宣撫放送よりもずっとましだったが、それさえ李氏には耐え難かった。

「寝られず、酒を飲んで寝る時もありました。バイクの音が聞こえても幻聴が 聞こえて眠りから覚めました。ぼうぜんと座って一夜を過ごすのです。昼に居 眠りをしますがその時はただ寝るんです。一人でぼうぜんと座っている時が多 いのです。家に冷蔵庫の音が障って消してしまったことがありました。その時、 妻が冷蔵庫を外に出したりもしました。耳が遠くなったというのか、人の話が よく聞こえませんでした。話に集中して耳を傾けても、ぶつぶつという声しか 聞こえません。雨の降る日には雨の音も気になって…」

何より心が傷ついた…

話をすればするほど李氏の胸の内が出てきた。整理解雇選定基準さえ不確かで、 納得できない解雇通知、生計問題、強圧的な警察捜査、ストライキの後に変わっ て行く自身の姿…しかし李氏は何より『心が傷ついたこと』が最も苦しかった という。

「なぜ一緒に働いていた同僚とこうして戦わなければならないのか。同じ労働 者どうしなぜパチンコでねらわなければならないのか。いくらその人にも暮ら しがあるといっても、とてもみじめで、うまくやれならなかった。一緒に働い た人が敵になるということが…それでも一緒に暮そうと熱心に戦った。心を傷 つけた瞬間からあらゆる事を一人で考えるようになりました」

77日間、労働者と家族6人がストレスによる脳卒中、自殺などで命を失い、スト ライキの後に労働者2人が自殺を試みた。双竜車鎮圧に参加した戦闘警察は、 「世の中がおぞましい」と自殺した。

死の理由は違っても、死の責任はただ死んだ者とその家族にかぶせられる。彼 らは本質的に世の中に向かって『もう殺すな』と叫んでいるのに、この社会は 個人が世の中に適応して暮すことを強要しているように見える。『死』と『自 殺』そのものがそのことを示している。『自殺』を薦める社会への本質的な問 いと責任が消えれば、絶えず予想して質問して答えを探すことが、この社会の もうひとつの役割ではないか。『おぞましい世の中』が自殺を強要することを 立ち止らせるためにだ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳 )に従います。


Created byStaff. Created on 2009-10-03 12:36:17 / Last modified on 2009-10-03 12:36:20 Copyright: Default

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