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韓国:女性クロコダイルをご存知ですか
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女性クロコダイルをご存知ですか

[寄稿] 30年縫製労働者夫婦の怒り...「5年夜勤の結果が解雇だなんて」

オ・ドヨプ(作家)/ 2009年01月12日9時16分

『女性クロコダイル』をご存知でしょうか? ワニの絵の商標がついた女性カジュ アル。この服を作って売る『(株)ヒョンジアパレル』という会社があります。 先日は『アーノルド・バッシーニ』という男性ブランドを作り、韓国最高の演 技者、ペ・ヨンジュンを専属モデルに契約した会社です。

この会社のチェ・ビョンオ会長は、ファッション業界の神話と呼ばれるように なります。30の年齢で東大門にみすぼらしい衣料品店を開き、事業を始め、25 年で女性カジュアル市場の先頭に立ちました。シャトゥレン、オリビアハス ラー、ラジェロ...... 新しく市場に披露したブランドごとに消費者の反応は良 かったです。2007年度の韓国内売り上げ821位、純利益は481位の絶好調企業で す。前年対応売り上げ成長率は30%を越えました。2008年には売り上げが5千億 を越えました。2011年には売り上げ1兆ウォン規模の総合ファッション専門企業 になると野心に充ちたステップを踏み出しています。

女性クロコダイルをご存知ですか

昨年10月、チェ・ビョンオ会長がある集りで講演をしました。講演を聞いたあ る参席者は『理論だけで騒ぐ講師と違い、人間に対する基本的な尊重と配慮、 そして分かちあい経営の哲学を持った方』で『偉い』と言いました。ああ、そ うです。『人間尊重、分かちあい経営』。いかに韓国社会が望む経営者の姿で しょうか。

尊敬すべきチェ・ビョンオ会長が運営する会社の記事が昨年12月9日、マスコミ に出てきました。ある経済専門紙には、事業収益の一部を劣悪な教育環境のア フリカの子供のために後援支援金として使うとし、国際救護団体ユニセフと分 かちあいパートナーシップを締結したという記事でした。

同日、この美しいイベント会場の外の風景を扱ったインターネット新聞の記事 もありますね。アッ、ところがこれがどういうことでしょう? ヒョンジアパレ ルの職員がプラカードを持って『5年間夜勤をして日曜に特別勤務した代価が解 雇だなんて.......』と叫んでいるではないですか。まさか、偉い経営者がいる 会社で......

イベント会場内外の二つの風景

何か理由があるだろう、という気持ちでヒョンジアパレルを訪ねて行きました。 今年53になるイ・ジェソク氏はヒョンジアパレルのサンプル室作業場ドアをあ けて入るやいなや椅子に座れというと、取材手帳を出す暇もなく話しはじめま した。

「私はこの分野で三十年以上働いてきました。本来ヒョンジアパレルにはサン プル室はありませんでした。前の会社で知っていた人がここの開発室の部長で した。サンプル室を作ろうと言われてここにきて、仕事をはじめました。5年前 のことです。サンプル室は店舗に出す商品をあらかじめ作る仕事をします。こ こで作ったサンプル服を持って品評会を経て、製品を選定します。服のパター ンが決定すれば、裁断してミシンもみんなします。この作業は一人では大変で す。普通二人がパートナーになって仕事をするのですが、私は妻と一緒に働き ました。ひとり分の月給だけで、二人でこの仕事を始めのです」。

イ・ジェソク氏はいかに悔しい話が多いのか、5年間の話を息もつかずに続けて いきます。

二人一役

「一日平均12時間、会社にいて、毎日残業をしました。土曜が隔週休業になっ たのも一年ぐらいにしかなりません。名節休業前は代替勤務もして、公休日に も特別勤務をしました。今まで勤労者の日には休んだこともありません。品評 会が終われば普通、サンプル室は少しの余裕があるのですが、私たちはその翌 日に他のブランドサンプル作業をしなければなりませんでした。日曜は代理店 を訪問して商品実態調査をします。済州島を除いて全国を歩き回ります。私は 車がないので、バスや電車のような大衆交通を使います。略図一つであちこち の代理店を尋ね歩くのは普通は難しくはありません。代理店が見つからなけれ ば電話して道を聞けば良いのですが、会社はそれを禁じています。代理店に行 くという情報が漏れてはいけないって」。

代理店を訪問する話が始まると、イ・ジェソク氏の声が大きくなります。

「この系統、縫製の仕事をする人はたいてい勉強ができず、学歴が低いのです。 経歴は数十年にもなりますが職責は社員ですよ。代理店を訪問して名刺を出す と、店主から見下されたりもします。訪問はとても嫌です。本社の調査ですか らいいはずがありません。服を売るので忙しいのになぜ来るのか、私が会長と は友人だがお前は何だ、こんな侮辱を受けたりもします。サンプル室の業務で もないのに、休日に出かけて行って、悪口だけ聞くのです。私の年齢は50なの に.....(目がしらが赤くなる)。こんな侮辱を受けても、牛のようにただ働きま した。良いのが良いと、ただ我慢してただ働きました。」

能力なのか学閥なのか

チェ・ビョンオ会長がサンプル室にくると、イ・ジェソク夫婦にすまないと思 うといいます。二人が働いているのにきちんと賃金を用意できないのが残念だ と話しかけましたし。イ・ジェソク氏夫婦が頑張って働く姿が良かったのか、 これからサンプル室は夫婦社員を採用しろといいました。会社が新しいブラン ドを市場に発表し、サンプル室職員を増やす時、実際に夫婦を採用しました。

昨年、イ・ジェソク氏夫婦は模範社員に選ばれて、サイパンで海外研修に行く ことになっていました。出国に必要な書類もみんな準備しました。ところがいっ たいどういう事でしょうか。11月12日、昼食を食べて作業室に戻ってくると、 12月12日付での解雇通知書が置かれているではありませんか。

「納得できる理由があれば解雇を受け入れます。毎年新しいブランドを市場に 発表して、巨額の費用を注ぎ込み、我が国最高の演技者を専属モデル使って、 5年間夜も残業して死ぬほど働いた私たちを解雇するのが理解できません。優秀 な社員を何で選定するのですか? 仕事が出来ないわけでも、会社がつぶれる危 機でもないのに。昨年の秋にメインバンクが変わり、新しい銀行がただで経営 コンサルティングとやらをしました。不要な人材が多いからと、107人だかを減 せと。その時から理由もわからず解雇通知が飛び始めました。500人だった職員 が今は400人程度です。不必要な存在なら、なぜ夜残業をさせるのですか? こ こまで会社を大きくしたのは誰ですか。」

優秀社員から不必要な人材に

好調な会社をコンサルティングするといって何日か行き来した人の一言で、百 人ほどの職員がメシの種を失いました。何の声もあげずに大半の人が出て行き ました。解雇通知を受けたサンプル室職員六人だけが会社と戦っています。み んな夫婦社員です。女性たちは十代からこの系統で働いていた人が多いです。 数十年間の経歴が、勉強ができる人の舌三寸で『不必要』になりました。イ・ ジェソク氏は受け入れられず、巨大な企業と戦い始めました。

「会社ではこう言います。やってみろ。5、6年はかかるが、法的にやってみろ。 がんばれるか。タマゴで岩を砕こうとするようなことだというのはわかってい ます。大きな会社に対抗するのは難しいことを知っています。今になってこっ そりちょっと金をやるから出て行って、アウトソーシングで働けって。私たち は他のことは必要ありません。一番も二番も復職だ。本当に会社が苦しくて理 由があるのなら、未練なく出て行きますが、今これはない。こうでした。私の 言っていることはおかしいですか? 理解できますか?」

何もおかしくありませんでした。取材を終えて戻っても理解できません。職員 を解雇し、数十人の記者をホテルに呼び、アフリカの子供たちに事業収益の一 部を寄付するチェ・ビョンオ会長が、とうてい理解できません。講演会場で 『人間尊重と配慮』を強調されたチェ・ビョンオ会長はどこに行ったというの でしょう。『分かちあい経営』の企業イメージだけ良くしてもっと多くの利益 をあげようとする『ショー』をしているのですか? チェ・ビョンオ会長様、 何かの間違いなら一日もはやく解雇者を復職させて下さい。

ショーをしているのですか

イ・ジェソク氏の夫人、チャ・ヨンミ氏は解雇通知を受け、何も考えられずに ただ涙をぼろぼろと流しました。一人しかいない息子は軍入隊志願申請をしま した。一人の口でも減らさなければなりませんでした。夫婦が共に稼ぎ、同じ 日に同時に追い出されたので、他の方法はありませんでした。

一緒にサンプル室で働いていたハン・スジャ、イ・グァンニョン夫婦も同じで した。ハン・スジャ氏は手がぶるぶる震え、仕事にならないといいます。解雇 されて間もなく1ヶ月になります。だが自分が解雇されたという事実をまだ実感 できないといいます。その日から頭がガランと空いて、何も考えられず、時々 現実に戻ると狂いそうだと言います。精神病になるかもしれない、そんな気が するそうです。

新しい服を作るたびにどうすれば着る人がもっと楽できれいかだけを考えて、 匠の精神で働いたヒョンジアパレル・サンプル室の3組の夫婦。一生の仕事と思 い生きてきた彼らは50を越えて初めて解雇されました。『女性クロコダイル』 という有名ブランドで働くという自負心と、ヒョンジアパレルという大きな会 社にいれば収入は少なくてももっと安定するのではないかという期待が一瞬に して無惨に崩れました。

崩れた未来

もう一言いいます。ペ・ヨンジュンを専属モデルに契約したという事実を先を 争って扱ったマスコミ各社、ユニセフに寄付する愛の手助けを大きく騒ぎ立て た記者、真冬の通りに追い出された労働者の声には何も注目しないのですか?

だからこれを書いている瞬間、とても寒いです。もっと大きな寒さが労働者を 襲うのではないか、とても恐ろしい2009年です。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2009-01-15 04:30:52 / Last modified on 2009-01-15 04:30:53 Copyright: Default

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