全国非正規職労組連帯会議(議長キム・グムチョル.以下全非連.建設労組首席副
委員長)が雇用維持のために解約100日以上座り込みをしている江南聖母病院の
非正規職労働者の座り込み物品を、該当病院の正規職労組が持ち去ったことを
めぐり、全国保健医療労働組合に送る長文の声明を出した。
全非連は100日闘争文化祭直後の「12月29日午前8時30分頃、正規職労組が一緒
に使っていた事務室にあった非正規職労働者の座り込み物品を保健医療労組の
事務室に持っていってしまった」と話した。全非連は声明で「正規職支部の執
行部の闘争回避的な態度、そしてこの態度を正すための保健医療労組の積極的
な指導力不足」を指摘した。
全非連はこれまで非正規職労働者が保健医療労組中執の決定を尊重し、闘争の
程度を調節したが、正規職支部の執行幹部たちが非正規職の集会と会見にたっ
た一回も参加しなかったと主張した。
雇用安定闘争をしている非正規職労働者たちも『保健医療労組に対する江南聖
母病院非正規職の立場』を発表し「保健医療労組と保健医療労組ソウル本部、
該当正規職支部の謝罪要求とともに今後の闘争計画を明らかにせよ」と要求した。
保健医療労組は9月から江南聖母病院非正規職労働者は組合員として受け入れ、
ともに闘争してきた。正規職支部は10月9日の声明で病院の労労対立を助長する
とこに対して「病院は対話で非正規職問題を解決しよう」と述べた。
保健医療労組本組も11月、『江南聖母病院非正規職の労働基本権抹殺する法院
の仮処分決定を糾弾』という声明を出し、病院の物理的な暴力と法院の占有座
り込み禁止仮処分申請の受け入れを批判した。保健医療労組は11月8日にも交渉
に消極的な病院に対し「非正規職問題解決のために対話しろ」と主張した。
保健医療労組は11月1日には国会図書館で『江南聖母病院と全南大病院院内下請
け非正規職闘争から見た病院事業場間接雇用非正規職問題点と改善方向』企画
討論会をホン・ヒドク民主労働党議員室と共に開催した。
[全文]江南聖母病院非正規職闘争で保健産別労組運動の原則を問う!
全国非正規職労組連帯会議2008年12月31日
外注化阻止、間接雇用撤廃と戦う非正規職労働者に、なぜ年末はこれほど
佗びしいのか!
クリスマスで闘争100日をむかえたが、望んでいた年内妥結が水泡になり、結局
望まない長期闘争のとばぐちに立つ江南聖母病院非正規職組合員の闘争物品が、
12月29日、病院から消えてしまった。病院使用者側と公権力によってではない。
100日闘争を終えた翌日(12/26)正規職労組のCMC(カトリック医療院)支部から保
健医療労組を通じて「午後5時までに非正規職座り込み物品を支部事務室からど
かせてくれ」という要求を伝え、「自主的に片付けなければ支部が直接片付け
る」という立場を通知した。青天のへきれきのような立場を通報された非正規
職組合員たちは「正しくない判断」と医療労組に伝え、組合員代表が直接CMC支
部長と会い、そうした要求をすることになった経緯を聞いて「理解できない」
という立場を伝えたが、CMC支部長は「これ以上どうしようもない」という立場
だけを明らかにした(これまで非正規職組合員たちは正規職支部と公式、非公式
にも懇談会を持とうと何度も保健医療労組に要求したが、実現しなかった。と
ころがこの日闘争100余日で正規職支部長と非正規職組合員代表が荷物の片付け
の問題で始めて出会ったのだ! なんということだろう!)。
非正規職の組合員は議論をして、物品を片付けるのは正しくないと決めたが、
12月29日午前6時頃、保健医療労組ソウル本部幹部が非正規職組合員に「午前8
時半頃に物品を片付けなければならないようだ」と話し、非正規職組合員は
「片付けるのは正しくない。まして私たちの手で片付けることはない」と判断
したことを伝えたが、午前8時半頃、保健医療労組本組と保健医療労組ソウル本
部の幹部が物品をトラックにのせて保健医療労組事務室に持っていってしまっ
た。全国非正規労組連帯会議はこの事態に接して茫然自失とする。100日間闘っ
てきた非正規職組合員が自ら作ったピケと宣伝物、ゼッケンとキャンドルデモ
物品が全て消えたのだ。用役チンピラと法院執行官、救社隊の暴力でしかなく
ならなかったその物品がである!!
この事態の背景には、非正規闘争を無視してようやく団体協約を維持してきた
正規職支部執行部の闘争回避的な態度、そしてこの態度を正す保健医療労組の
積極的な指導力不足がある。
11月末、カトリック医療院(CMC)と江南聖母病院側は、正規職支部交渉について
保健医療労組の12月非正規職集中闘争を撤回しなければ、交渉懈怠とユニオン
ショップ解止を含む団体協約改悪も辞さないという立場を伝えた。これは非正
規職闘争を抹殺して、労組弾圧と支配・介入などの不当労働行為を露骨に明ら
かにする不当な要求であることは明らかだ。しかし残念なことに正規職支部は
交渉で円満な解決を試みるからと集中闘争撤回を要請し、保健医療労組は緊急
に12月4日中執会議を開き、その要請を受け入れた。この闘争を物心両面で支援
している多くの団体、そして何よりも闘争の当事者である非正規職組合員の明
示的な反対にもかかわらず、である。
しかし解雇されて戦い、100日が迫る状況で、交渉による年内妥結というか細い
可能性を信じて非正規職組合員たちは保健医療労組中執会議の決定を尊重し、
交渉に力を付けるために闘争計画の相当部分を放棄したり変更して進めてきた。
自分の運命を自ら決めるのではなく、正規職支部の代理交渉に任せなければな
らない非正規職の仲間たちの悲しみをどう言葉で表現できようか!
しかし年内妥結の夢はカトリック医療院と病院側の「絶対不可」の立場を確認
してちりぢりにつぶれ、やむを得ず非正規職組合員たちは-本当に望まなかった
が-長期闘争の決意を新たにして、12月24〜25日、真冬の厳しい寒さの中で保健
医療労組と連帯団体と共に100日集中闘争を平和に展開していた。ところが集中
闘争も放棄して涙ぐましく耐えてきた非正規職組合員の努力への代価が「支部
事務室から座り込み物品を片付けろ」ということか! この事態の前で資本家は
どれほどせせら笑うだろうか! 団体協約を改悪すると脅迫するだけでも資本家
が得ようとする全てを得られるのにだ!
われわれは、正規職労働者の団体協約よりも非正規職労働者の生存権のほうが
重要だと言うのではない。両方とも同じように重要だ。われわれは単に団体協
約を守るために非正規職闘争を放棄したり犠牲にすることが果たして正しいの
かを尋ねているのだ。
CMC支部執行部と交渉団の仲間たちは胸に手をおいて考えてほしい。この数年間、
ロビーで一度も集会をせず、闘争の時に闘争チョッキ着用戦術も執行が難しい
期間、果たして闘争で団体協約を死守してきましたと堂々と話せるのか? ある
いは2年前に保安業務が外注に渡ったこと、派遣職使用に合意したことで、契約
職で働き、派遣に強制転換され、2年で解雇され、今戦っている派遣労働者の問
題、そして最近の食堂業務まで外注に渡るなどの病院内非正規職拡散に問題を
提起せず、戦わないことで団体協約が守られたのではなかったのか?
私たちの疑問は決して行きすぎではない。これまで病院側が何度も「非正規職
闘争を支援すれば団体協約を改悪する」と脅迫をした。病院の意図はとても明
確に読める。病院側はその上、非正規職組合員に支部事務室を使わせないよう
に措置するよう勧めさえした。つまり、非正規職問題から手を引く代価として
のみ、団体協約を改悪しないという話ではないか!
全国非正規労組連帯会議は江南聖母病院非正規職闘争に連帯し、病院内で現場
巡回と宣伝戦を進め、この闘争に現場の正規職組合員が明らかな支持を送って
いることを目で確認した。喜んで宣伝物を受け取り、直接雇用署名運動だけで
も正規職組合員数百人が賛同してくれた。何よりも正規職組合員たちは病院側
の不当な弾圧に対して屈することなく闘う非正規職組合員がいるから 病院がみ
だりに正規職労働者を弾圧できないという事実をよく感じていた。元請・下請
連帯とは、正規職労組の『執行部』と非正規職労組の『執行部』の連帯を意味
するのではない。現場でともに働く正規職-非正規職平凡な労働者の連帯でこそ、
本当の元請・下請連帯だ。われわれはこの闘争に多くの正規職組合員が支持し
ていることを確認し、果たして正規職支部が自分の組合員の意志をきちんと代
弁しているのかにも疑問を呈したい。
使用者側のあくらつな弾圧があることを知りつつ、数人の正規職組合員は集会
とキャンドルデモに賛同した。これまで60回以上進められたキャンドルデモ、
数十回の集会と記者会見に正規職支部執行幹部がたった一度も参加しなかった
ことと、いかに対照的だろうか! だから今の事態は、労-労分裂とは距離が遠い。
現場での元・下請け労働者連帯はいくらでも可能性が開かれている。ただ正規
職支部執行部が非正規闘争を裏切り、その可能性を遮っているだけだ!
また、われわれはこの闘争を陣頭指揮する保健医療労組にも明らかな意思を伝
えたい。
12月9日〜10日の集中闘争を廃棄して交渉局面を開き、解決しようという戦術
は-それが正しかったかどうかの議論を排除しても-結果として失敗した。10月〜
11月の非正規職労働者の闘争が相当な波をたてて進められた時、病院側は非正
規職問題解決について相当悩まざるをえなかった。反対に集中闘争が廃棄され
た12月の局面が終わるころ、むしろ病院側はさらに意気揚揚とし、正規職支部
の交渉さえ怠る。「闘争なしで争奪はない」という平凡な真理がまた確認され
たのだ!
今度の3〜4月に予定されているソウル聖母病院の開院は、結局正規職/非正規職
を行き来する途方もない構造調整を伴うに違いない。戦わなければ正規職労働
者の権利も保障されないという事実、非正規職労働者の闘争があるから正規職
への病院側の攻撃が遅れていることを、現場労働者たちはよく知っている。今、
CMC側は次の保健医療労組産別交渉不参加まで脅している。つまり、今回の事案
は単に非正規職の問題ではなく、病院資本家が保健医療労組と一勝負の戦争を
宣布したのだ。
保健医療労組が今するべきことは、失望と失意に陥った非正規職組合員の気持
をなだめ、共に額を突き合わせて新しい闘争の展望と集中闘争計画を樹立して
執行することだ! 正規職支部執行部の闘争回避的で非正規闘争を裏切るような
行為を絶対に容認せず、現場の組合員を立て直して、闘争に立ち上がるように
促さなければならない状況だ!
われわれは保健医療労組幹部が正規職支部室内にある非正規職組合員たちの闘
争物品を撤去する行為をしたことに深い遺憾を表わすところだ。また長期闘争
になろうとしている状況で一日もはやく新しい闘争の展望と集中闘争計画を樹
立すること、現場で正規職・非正規職一般組合員の共同闘争を組織することを
要求する。明日から保健医療労組の新指導部の任期が始まるだけに、早い内に
指導部が直接非正規職組合員と会い、100日の闘争に対する反省的評価とともに
明らかな闘争計画と闘争の展望を樹立することを希望し、全非連は常にこの闘
争に責任を持って連帯することを約束する。
「勤労基準法を守れ」と全泰壹烈士が叫んだ。勤労基準法を作れではなく、守
れということだ。どんなにすばらしい制度と法、団体協約条項があっても遵守
を強制する大衆的力がなければ、空文句になってしまう。これがまさに全泰壹
烈士の叫びが教えた多くの教訓の一つだ。今日われわれはここにもう一つ追加
しなければならない。闘争せずに守ろうとすれば、他の大切なものを犠牲にし
なければならないということだ。その上、犠牲しなければならないことが、一
番低いところで苦しむ非正規職労働者の闘争と生存権ならどうするのが正しい
か? 労働組合のABCも知らない人でも簡単に答えられる問題ではないのか!
鉄道労組の労使合意で再び251人の非正規労働者が今日付けで集団解雇と外注化
の危機に瀕し、テント座り込みに突入する予定だという。使用者側の弾圧だけ
ではなく、同じ側と思っていた労働組合の合意で二重の苦痛と悲しみを受ける
非正規労働者にとって、この年末はなぜこんなに悲しいのか! われわれは本当
に問いたい! 未組織非正規労働者と連帯するために産別労組建設が必要だと、
いつも扇動してきた私たちの運動の指導部にである!