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今朝、地下鉄と電車が延着した理由

[記者の目]鉄道と地下鉄労働者は原則を守ろうとしている

イ・コンマム記者 iliberty@jinbo.net / 2008年11月19日15時07分

耳につきささった単語『サボタージュ』

記者は毎日地下鉄で出勤する。毎朝地下鉄は疲れもせず同じ時刻に同じところ に到着する。地下鉄に乗り損ねても少し待てばまた地下鉄が到着する。個人的 にはバスに乗るほうが好きだが、時間に合わせて着かなければならない出勤時 間には必ず地下鉄を利用する。地下鉄は渋滞もせず、事故がおきない以上正確 な時刻に望む所に到着できるためだ。

ところが今朝は違った。地下鉄に乗るために階段をのぼると、多くの人々が地 下鉄を待っていた。地下鉄が来る方向に首を差し出してみるが、ずいぶん経っ ても地下鉄は到着しなかった。人々は時計を見ながらいらだっていた。この時、 駅にがんがんと鳴る放送が始まった。

「14日から鉄道労組の『サボタージュ』で地下鉄の到着が遅れています。少し の間、お待ち下さい」

「へぇー、なんだ」出勤の準備で記者のそばに立っていたひとりが癇癪を起こ した。

記者の耳に入った『サボタージュ』という単語。毎日のように運輸労組鉄道本 部とソウル地下鉄労組の記事を書いている記者の耳に当然ささる単語であった。 「サボタージュではなく安全運行闘争なのに」という言葉が口元をぐるぐる回っ た。

ストライキを予告しなければ安全運行ができない労働者たち

運輸労組鉄道本部(鉄道本部)は11月17日、「安全運行闘争により一部の列車が 多少遅れて、不便をおかけした乗客の皆さんに謝罪申しあげます」という言葉 で始まる声明を出した。

▲闘争チョッキを着て働く鉄道労働者[出処:運輸労組鉄道本部]

鉄道本部の『安全運行闘争』は、事実闘争と言うのも恥ずかしい。当然守るべ き規則を守ることだからだ。安全運行は鉄道公社側が決めた作業規定によって 働くことをいう。鉄道公社側は、安全を理由として職種別に作業の時に守るべ き作業規定を定めている。

例えば、鉄道公社側が用意した作業規定では、2人以上が鉄道を巡回することに なっている。少なくとも、ひとりは走ってくる列車を監視する役割をしなけれ ば安全に作業ができない。しかしこれまで鉄道公社の各種構造調整で、現場で は人数が足りず、一人で鉄道を巡回をするようになり、結局作業中に列車にひ かれて労働者が死亡する事件は一二度ではなく発生している。作業規定をきち んと守らなかったために発生した事故だ。

このように、鉄道労働者たちは足りない人員のおかげで作業規定をきちんと守っ て働くことができない。だから鉄道労働者に作業規定を守ることは『闘争』に なってしまった。

これは当然守らなければならないのに...

車両を整備する労働者は、規定通りに車両を検修し、運転をする労働者は各種 の運転速度を守って無理な運転をしない。施設を維持する労働者は夜間に4時間 の睡眠時間を確保し、施設装備遮断作業と移動時規定速度を遵守し、電気設備 で働く労働者は2人1組の作業を原則として業務用列車を規則通りに運行するこ と。地下鉄を運転する労働者は駅進入時に白線の内側に乗客がいたら、非常停 車後に最大限安全を考慮して進入し、扉を開いて乗客が完全に乗車下車した後、 扉を閉め、繰り返し扉を開閉しないこと。出庫列車の出発時、出入り口の点検 完了後に列車運行をすること。ただ目を通すだけでも当然守るべきことだ。

では、むしろ乗客は延着する地下鉄を運転する労働者に対して怒るのでなく、 鉄道公社側に抗議電話をするべきではないだろうか。「これまで基本的な規則 も守らず鉄道を運行してきたということだ。大事故の危険を抱えていたのでは ないか」ということだ。

それで鉄道労働者たちは「安全運行が闘争になってしまった現実を鉄道公社は 恥じなければならない」と話している。

▲鉄道労働者はサボタージュではなく安全運行をしている。[出処:運輸労組鉄道本部]

「安全運行闘争はいわゆる順法闘争で、社規を守る闘争です。予備車両が足り ず、運行車両が規定に明示された点検をきちんと受けられません。だから安全 事故が発生すればそのたびに鉄道公社は乗務員に責任を転嫁します。だが実際 に徹底的に安全運行規則を遵守して運行すれば、(鉄道労働者たちは)懲戒を覚 悟しなければならないのが現実です。安全運行は無条件であるべき当然のこと なのに、これが闘争になってしまったという笑えない現実です。」

困難な時期、法と原則を守らない人は誰?

李明博大統領は、鉄道本部とソウル地下鉄労組のストライキに「この困難な時 期に公企業が不法ストライキをすれば厳格に扱う」とし「最も重要なことは、 法と原則を守ること」と脅した。とにかく鉄道本部とソウル地下鉄労組のスト ライキは、必須維持業務を守る『合法ストライキ』だという点と、経済危機に 金持ちには減税し、きちんと維持すべき公企業をむちゃくちゃに売り払って、 結局大韓民国を最悪の経済危機に追いやったのは、まさにあなたのためだと李 明博大統領に忠告したい。

鉄道本部とソウル地下鉄労組は法を守る、原則を守る闘いをしているのだ。頑 として人員を削減すれば大事故の危険があるから、現場で働く労働者と共に本 当に必要な人員はどれくらいで、鉄道と地下鉄を本当に安全に運行するには何 が必要か、対話をしようということだ。鉄道と地下鉄運営の原則はゴルフ場で も作って利益を上げるという論理でなく、大韓民国で暮す人なら誰もが安全、 便利に、最低限の料金だけで利用できるようにすることだ。

解雇者復職問題もすでに使用者側がした約束を守れというだけだ。解雇された 労働者は2003年の盧武鉉政権の時、鉄道の民営化を全身で防いだ人々だ。鉄道 は国民のものだという原則を守るために先頭に立って戦った人々である。当然、 復職されなければならない。

法と原則を守る安全運行が闘争になってしまった残念な現実。李明博政権と韓 国鉄道公社、ソウル・メトロは、自分たちが法と原則を守っていない事実を忘 れてはならない。今朝地下鉄と電車が延着した理由はまさに彼らのためだ。

原文(チャムセサン)

翻訳/文責:安田(ゆ)
著作物の利用は、原著作物の規定により情報共有ライセンスバージョン2:営利利用不可仮訳)に従います。


Created byStaff. Created on 2008-12-14 15:13:56 / Last modified on 2008-12-14 15:13:56 Copyright: Default

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